- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087455304
作品紹介・あらすじ
総帥・兀朮率いる金軍が南下し激しいぶつかり合いとなるも梁山泊軍が撃退。そして、宣凱が金国へ単身、講和交渉へ乗り込む。一方、南宋は岳飛が着々と戦いの準備を進めていた。(解説/張競)
感想・レビュー・書評
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しかし、金国と講和をするなら、梁山泊はどういう国の姿を求めているというのか。物流による支配は、金国も南宋も拒絶する。それでも、染み出す水の流れのように、物流はどこへでも入ってくるのか。
「楊令の理想が、そのまま生きるのか」
「それは、わかりません。自由市場は、闇市ということになるのですから。しかし自由市場は、物流のひとつのかたちに過ぎません。物流はどんなかたちをとることもできるのだ、と私は思います」
「ならば、梁山泊は国を見ていない。人を見ているだけだ。つまり民ではないか。そして民が、揃って豊かになるのか。民のほとんどは、今日のことしか考えていない。結局は、商人が勝手に支配する国ができあがる」
秦檜は、わずかだが酔いを感じた。
「梁山泊と金国との講和、というところまでにしておこうか、許礼。それ以上は、きわめて見えにくい」
「はい、私も見えません」(95p)
当代随一の知識人、秦檜にも見えるはずはなかった。誰も、楊令さえも、見えてはいなかったのだから。しかし流石に秦檜、一瞬とはいえ、現代世界の自由市場の問題点までも見透かしてしまった。ただ、大切なのは「替天行道」に導かれてこの時代にあって「帝を戴」かず「民が揃って豊かになる」道を、梁山泊の人々は夢を見て、未だそこから外れていない。ということだ。空想的社会主義と言えばそれ迄だが、そのためにこの大河物語の中では、何百人という英雄たちが死に、何万人という兵士たちが死んだのである。
黒旗兵の照夜玉は、危惧した通りに胡土児に討ち取られ、大水滸伝一話以来の登場人物九紋竜史進は生を拾う。已に水滸伝以来の英雄たちは11人を数えるばかりであるが、智多星も操刀鬼も退場の日は近い。宣凱、王貴、張朔の成長は著しいが、彼らに何処まで替天行道の志が貫徹するのか、あと14巻を愉しみに辿ってゆきたい。
2017年2月9日読了 -
金国と梁山泊の戦い
そして講和交渉に宣凱が
岳飛の療養所に交易路で南宋の辛晃に襲撃された王貴が運ばれる。
韓世忠の造船所でとどまる王清
南方を開拓する秦容
兀朮、岳飛、韓世忠、王貴、王清、秦容、それぞれがいろいろな思惑の中で生きている。
岳飛と兀朮は大将としての風格がでてきて人間的にも成熟し魅力的
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世代交代!
レジェンドが退き際を求め、新たな世代が台頭する。
双方が悩み考え抜く事で、組織は強くなり物語はますます面白くなってくる! -
梁山泊と金の戦は決着がつかず、後に梁山泊は金との講和の道をとり金はそれに応えた。
金と南宋の戦が始まろうとしていた。
戦の最中ウジユを守るため楊令の遺児 胡土児が楊令の仇討ちに駆けてきた蘇琪を討ったのに世の非情さを感じた。
秦容が軍から離れ南国で甘ショ農園を開拓しようとするのにほのぼのした。 -
ベンチャー企業の熱意あり、大企業の定年おじさんの悲哀あり。秦容チームの今後がたのしみ。
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もはやなんのために戦うのか?
好敵手との戦いを楽しむ。
そんな雰囲気??
この先、どういう展開にして盛り上げていくていくのか。
楽しみにしています。 -
やっと盛り上がってきた感がある
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秦容が梁山泊を離れて南方に新天地を求めるというなかなか興味深い展開。
初期の小規模な叛乱軍から中華全土を越えて西域・日本から東南アジアまでグローバルな物語に発展したなという感じ。
第二・第三世代の面々がそれぞれの志と理念で行動していくなかで際立つのが「闘いの中で生きる漢」史進の哀愁。北方氏はこの不器用すぎる男にどんな花道を用意しているのか。
いくら時代が進んでも史進には変わってほしくないというのが正直な感想。