雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455533

作品紹介・あらすじ

スクールカースト、保健室登校…学校生活に息苦しさを感じる女子中学生たちの揺れ動く心を綴った連作短編集。劇的なハッピーエンドではないが希望を感じさせる結末が共感を呼ぶ。(解説/春名風花)

感想・レビュー・書評

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  • 女子中高生の生きづらさを描いた短編集。
    学校という狭い空間で生きづらさを抱える女の子達が、いじめや不登校に苦しみながら希望を見いだしていく物語。
    正直、読んでいて描写がリアルすぎて辛くなるシーンが多い印象でした。陰口を言う場面や親の干渉具合が自分がまるで経験しているかのような感覚になり、何度も本を読むのを途中で辞めしまいたくなりました。
    その辛い展開の後は、新たな出会いで新しい光が彼女たちにさして終わっていくところはとてもホッとしました。
    彼女たちの幸せを願わずにはいられないと思います。

  • いじめにあった事も見たこともない。

    そう思っているが実際は自分の周りでも気が付かないだけでこんなことが行われていたのか知らん。

    解決の手立ては有るのか知ら。

  • 保健室登校しているナツとサエ。2人の平和な楽園はサエが「自分のクラスに戻る」と言い出したことでー。
    学校生活に息苦しさを感じている憂鬱とかすかな希望を描き出す6つの物語でした。
    彼女たちの悩み苦しみに涙でした。

  • どのお話もラスト、主人公が自信を持って行動しようとするところで終わっていて応援したくなるような気持ちになりました。
    こんな人もいるんだって気付かされました。
    自分の軽い気持ちで発したいじりやいたずらが誰かを辛く惨めな気持ちにさせ、深く苦しめる可能性があると分かりました。

  • 中学3年間は、私にとっても人生で1番、いい思い出のほぼない期間。

    「だって、わたしたちは、たまたま同じ年に、たまたま近くで生まれただけに過ぎない。たったそれだけの理由で一緒くたにされて、教室という狭い空間に閉じ込められてしまう。自分に嘘をついてまで、そんな繋がりを大事にする必要なんて、ほんとうは、どこにでもないんだ。」

    表題作の『雨の降る日は学校に行かない』が、読んでいて一番きつかったです。
    クラスメイトだけでなく、担任の先生の言葉も。
    「(親に)聞かれたら、答えなきゃならない」と思う気持ちも。

    最初の話につながっているとわかってホッとしたけど、現実には解決につながらないケースの方が多いんだろうなあ。

    この本に出てくる「飯島さん」のような立場の子にこそ読んでほしいと思います。







  • 普遍的なテーマだと思うけど、良かった。
    心理描写が繊細で、主人公たちの気持ちがよく伝わってきた。私が特に好きなお話は「放課後のピント合わせ」。しおりの最初の方の行動は、見ていて気持ちの良いものではなかった。でも、しおりの行動にも理由があることがわかって、なんとも言えない気持ちになった。
    「死にたいノート」の涼の気持ちも少しわかる気がした。物語を綴ることが好きなのも同じだった。より良く明日を生きたいと思わされた。

  • 心から安心出来る居場所だなんて何処にあるのだろう。今日が何月何日何曜日何時何分で、今が何時間目で、私以外の皆が今何をしているのか知った事じゃ無い。それがどれだけ私を孤独にするか、解決する事も出来ぬ涙の月日の経過に思い知らされるのです。
    ねぇ、なんで来ないの?ねぇねぇねぇ!事情等誰に語って解って貰えただろう。
    は、なんで来てんの?一歩の勇気に一斉に向けられる視線。スカートを翻し、保健室に駆け戻った瞬間に震えが嗚咽に変わる。
    1年前まで私と同じ場所に居た子が翌年笑いながら言う。サボってて良いのか?ああ、この子と私の抱える事情、闇は同類では無かった。
    家では母親が怖くて飛び出して、学校では人が自分が怖くて居場所が無かった。もう、居場所が無いの!そう号泣した私の手をひいて頭を撫でて去った人の手の温かさを、私は一生忘れない。
    死にたい、は、生きたい、に聴こえた。死にたい死にたいと、幸せになりたいと叫んでいた。
    人より繊細なんです、生きづらい部分がある、大人しいね。わかってる。わかってるわかってる言われなくたって自分が1番解ってる。
    雨の降る日は学校に行かない。晴れの日は傘で涙の雨を隠せないから外に出れない。台風が好き。何もかも、私の不安定な心も全て!空にあげる!あげる!飛び越えて!
    たった1つで良い。認めてあげるだけで、人は、人生は変われるのです。学校だけが、君の居場所では無い。

  • 世界は広いということに気づけば楽に生きられるはず

  • 中学時代、保健室登校だったので共感が持てました。こういう話、もっと増えてほしい。

  • 全教室の学級文庫に置くべき本だなと思った。

    色々な登場人物が出てくるけど、全ての登場人物にフォーカスしたい気分。どう思ってるの?何を感じてるの?たぶん教師は現実でそれをやらなくてはならないんだろうな

    春名風花さんの解説もよかった。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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