謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)

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著者 : 高野秀行
  • 集英社 (2017年6月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455953

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謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 高野秀行『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』集英社文庫。

    以前から気になっていた本がやっと文庫化。ソマリランドとプントランド、ソマリアという謎に満ちた国々を巡る紀行ノンフィクション。かなりの労作だと思うが、自分自身が高野秀行とは波長が合わないためか、面白いとは思わなかった。

    これまでに何冊か高野秀行の作品を読んでいるが、唯一面白かったのは『未来国家ブータン』のみ。

    興味深いテーマの作品を手掛けているのに、面白いと思わないのは何故かと考えてみると、文章が肌に合わないのだ。昭和軽薄体と呼ばれた椎名誠の文章に似ていながら、椎名誠のようにデフォルメして面白可笑しい表現がなく、ついつい流して読んでしまうのだ。

    高野秀行の熱烈なファンには申し訳ないが、自分にとっては金と時間の無駄だった。

  • おもしろい
    紀行本の中で今まで一番
    しかも知識も得た
    たしかに、作者のフィルターが入ることは否めないが
    それはどの文系的記述においてもあり得ること
    すばらしかった

    特にソマリ人の考え方が合理的で好きだと感じた
    一方で実際に行くと、北海道同様、なかなか衝撃を受けそう

  • 超混乱したある「国」で考える「国家」の意義。

    そこは北斗の拳かONE PIECEか、それともラピュタか。そんなアオリだけで、この本の面白さが伝わる。著者は、アフリカ東北部のソマリア連邦共和国内にあるという、ソマリランド共和国に行こうとする。そもそもソマリア自体が「崩壊国家」であり、しかしその一角のソマリランドは、「そこだけ十数年も平和を維持している独立国」だという。ちなみに国際社会には国と認められていない。そこは「リアル北斗の拳」か「リアルONE PIECE」なのか。

    そもそも、無政府状態で崩壊しているソマリアにどうやって入国するのか。そこからどうやってソマリランドに行くのか。また、現地での足や通訳、安全保障は。もうそのひとつひとつが興味深い。著者の語るような文章がぐいぐい引っ張ってくれる。ソマリランドで知ったことは、――海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア。またどこかの映画のような「国家」が現れる。著者はもちろんそこにも「入国」を試みる。そしてそこで見たものは。

    日本に生活する私からすると、信じられないことの連発。ややこしいソマリの氏族関係も、あえて誤解を恐れずに日本の氏族(源氏やら平氏やら清盛やら政宗やら)にたとえてあることで、すんなりと頭に入ってくる。そしてどっぷりつかることで理解していく、どうしてそれが成功しているのかわからないほどの高みにあるハイパー民主主義。利益を重視し、契約を重んじる彼らのやり方。

    分厚い本だがどんどん読めて、楽しんだ後にふと考える。とてつもない力のある本。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    “崩壊国家ソマリア”の中で奇跡的に平和を達成しているという謎の独立国ソマリランド。そこは“北斗の拳”か“ONE PIECE”か。それとも地上の“ラピュタ”なのか。真相を確かめるべく著者は世界で最も危険なエリアに飛び込んだ。覚醒植物に興奮し、海賊の見積りをとり、イスラム過激派に狙われながら、現代の秘境を探る衝撃のルポルタージュ。第35回講談社ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞作。

    高野秀行というジャンルが確立して、他の冒険ものやエッセイ物では替りが効かない存在感が日増しに増大しています。とにかく突撃して行く姿勢は年齢を重ねてもさほど変わらないようで安心。
    ソマリランドは、ソマリアの北部で絶賛立国中の国なのですが、なんと国際社会では非公認の国で公式にはソマリアの一部にカウントされている不思議な国です。しかも内戦でとんでもない事になっていると思われているソマリア、海賊の本場ソマリアの北に有るに関わらず、平和な国で夜でも女の子が町にフラフラ遊びに行っても大丈夫なくらいに治安が安定している。何故なのか??
    という疑問を高野氏が身を持って解明していく熱い本です。一番熱いのはあまりに現地と融和してソマリ人化した高野氏が、次第に堅い友情を築いていくくだりでしょうか。
    とにかくボリューム満点で、ドスンとした物が心に残る名作です。

  •  内戦の末に国内が大混乱に陥った失敗国家ソマリア。
     という先入観があったのだが、この国はいったい何なんだ。

     自治政府を名乗る民主主義国家ソマリランド。
     独自の通貨を発行(しかも印刷はイギリス)し、通貨は周辺国よりも強い。
     長老会と政党政治による民主主義は、どこかの国の衆愚制よりも優れている。
     エチオピアと港湾都市からの関税以外に産業は全くないのに、首都ハルゲイサは活気がある。

     そして東に位置するのが海賊国家を称するプントランド。
     海賊行為による収入が莫大なんだから取り締まる人間がいるわけがない。
     その海賊行為はスマートで、全ては金で動く。
     海賊はONE PIECE的なロマンではなく、ビジネスである。

     そして首都モガディショを含む南部ソマリアは北斗の拳状態の戦乱が続いているのに、人はなぜか笑顔で落ち着いている。
     ホテルの外から銃声が聞こえてきても「ソマリアン・ミュージック」だと気にしない。
     昨日また死体が転がってたよ、は挨拶代わりの日常生活の一部だ。
     さらに南部ではイスラム主義の過激派組織アル・シャバーブが跋扈している。

     この混乱の中で生まれた民主主義は何なのか。
     ブラックホーク・ダウン。大国が関わるとろくなことが無い。

  • お盆で読み切ったーーーー!!!!!!
    文庫化したら絶対読もうって決めてました、分厚さに怯んだけど高野さんなら読めると確信して読み終えました。

    高野さんはすごいよね、どこへ行ったってどこにいたってぜったいにぶれない、自分の目で見たことが事実。だから絶対的に面白い。説教臭さなんて欠片もなく、ただただ高野さんが見たこと感じたことを面白おかしく時に真剣な言葉で伝えてくれている、何より高野さんという人柄にほだされてしまう。
    高野さんに連れられて私たちもあっという間にソマリランドに夢中になる、ソマリ人が近くに感じられる、こんなノンフィクション作家いないよ。ソマリランドの人たちは自分たちの国のことを真剣に考え議論し行動して幾度も戦闘を乗り越えソマリランドを作った。私たち日本人なんて彼らの足元にも及ばない。この国では誰も自分の国のことについて真剣に語ったり怒ったりしない。それって異常なことだし、何ていうか、国としてけっこう絶望的なことなんだよね。

    だからこそソマリの人たちが生き生きと見えるんだろうし、高野さんがソマリ人化していくのだって頷ける。いそいそと大黒屋からワイヤッブに送金する姿だって最高にいい。高野さんがソマリのみんなに愛されていく姿を想像して嬉しくなる。ほんと、こんな人いないよ。

    恋するソマリアも絶対に読みます!
    そして頭が足りなくて分からないこともあったけど、高野さんの本、引き続き読み続けるよ!!

  • 前作ブータン編が印象に残っていて、尚且つこの分厚さ。買わずにいられなかった。

    そして、この分量をどうやって読ませてくれたのか不思議なくらい、面白い一冊だった。
    ソマリアという国名は、ああ、知ってるくらいにしか思っていなかったのに。
    ハルゲイサを中心とする平和な氏族国家(自称)ソマリランド。
    ソマリランドの南に位置している海賊を生業とするプントランド。
    そして、モガディショを首都とするアル・シャバーブのテロが絶えない南部ソマリア。

    筆者が、これだけ治安の悪い地域に平和を掲げるソマリランドなんて国があるのか、と疑問に思うのも頷ける。
    この三つの国?を行き来しながら、何故、ソマリランドは独立し、武装解除し得たのかというテーマを追いかける旅。
    このテーマがあって、良かった。

    イスラム主義のことは興味のある問題だったので、そこにも触れられていて、更に嬉しかった。

    国際社会(または欧米諸国)が介入することで、現に何が起きているのか。
    お金の行き来は、人の生活になり、生活は社会を作り上げていく。
    トラブルを起こし、解決のため先進国からお金を得られることに美味しさを覚えることも。
    国としての質向上に尽力し続けることで、先進国に認めて欲しいとアピールすることも。
    そのどちらもが現実として描かれている。

    こういう本を道徳で見ても仕方がない。
    高野秀行という人の目で見たセカイ、で充分だ。
    今の日本は、ともするとニセモノの正しさが蔓延り、賢い者ほど口を閉ざすしかないように思う。
    それは最早、空気を読むというレベルではなく、君子危うきに近寄らず、のセカイである。
    だけど、ソマリランドのように、裕福ではなく、狡さもあり、でも誇りと言葉を持つ、そんなガヤガヤとした活気を読むと、考えさせられるものは確かにある。

    ブータンに引き続き、国として見放され閉ざしたことで、かえって功を奏することがあるんだな。
    部族と氏族の違いも、改めて成る程と思った。
    言葉からイメージ出来るもの、それは価値観にも繋がるのだということを意識出来たのは大きい。

    『恋するソマリア』と対談本も読みたくなった!
    出来れば文庫化されたら(笑)と言うと、筆者にイヤがられそうな気がする。

  • ソマリランドという国名からソマリアという内乱で不安定な国を真っ先に思い浮かべた。著者が、日本はもちろん世界でも認知度が低いソマリランドを取材対象として現地へ乗り込むノンフィクションは、以前読んだ『アヘン王国潜入記』を彷彿とさせる素晴らしい仕上がりになっている。遊牧民の血が流れるソマリ人の思考である個人主義と氏族主義が、奇跡の民主的国家の成立に寄与していると感じた。日本では真似の出来ないやり方だ。西洋の真似をして近代化を成し遂げたが、個人主義の根付かない日本人に、独自の民主的国家を運営できるのだろうか?

  • プロローグ 地上に実在する「ラピュタ」へ
    第1章 謎の未確認国家ソマリランド
     1 ラピュタへのビザはどこで取得できるのか
     2 ソマリ人は傲慢で、いい加減で、約束を守らず、荒っぽい
     3 市場に札束がごろごろ
     4 動物だらけの遊牧都市
     5 世界でいちばん暑い街
     6 海賊に拉致されたドイツ人と刑務所の海賊
    第2章 奇跡の平和国家の秘密
     1 ソマリランド観光案内
     2 天変地異には要注意
     3 知られざる覚醒植物カート
     4 ソマリランドはなぜ治安がいいのか
     5 ワイルド・イースト
     6 だいたいソマリランド最高峰登頂記
     7 ソマリランドが和平に成功した本当の理由
     8 独立は認められないほうがいい?
     9 「地上のラピュタ」は、ライオンの群れが作る国家
    第3章 大飢饉フィーバーの裏側
     1 ソマリア三国志
     2 北斗の拳を知らずしてラピュタは語れない
     3 世話役はカートの輸出業者
     4 被差別民の意見
     5 ハイエナには気をつけろ
     6 アル・シャバーブの影
    第4章 バック・トゥ・ザ・ソマリランド
     1 奇跡の政権交代
     2 ソマリの超速離婚
     3 血の代償
     4 ワイヤップの裏切り
    第5章 謎の独立国家プントランド
     1 海賊の首都ボサソ
     2 氏族の伝統が海賊を止められない理由
     3 籠の中のカモネギ
     4 プントランドも民主主義国家?
     5 ソマリランドの「宿敵」はこう語る
     6 世紀末都市ガルカイヨ
     7 謎の源氏国家ガルムドゥッグ
     8 史上最大の作戦
     9 続・史上最大の作戦
    第6章 リアル北斗の拳 戦国モガディショ
     1 モガディショ京都、二十年の大乱
     2 世界で最も危険な花の都
     3 剛腕女子支局長ハムディ
     4 旧アル・シャバーブ支配区を身に突入
     5 完全民営化社会
     6 現場に来て初めてわかること
     7 カートとイスラム原理主義
     8 アル・シャバーブを支持するマイノリティ
     9 アル・シャバーブはマオイスト?
     10 すべては「都」だから
    第7章 ハイパー民主主義国家ソマリランドの謎
     1 戦国時代のソマリランド
     2 「地上のラピュタ」に帰る
     3 アフリカTV屋台村
     4 ソマリランド和平交渉の全てを知る長老に弟子入り
     5 ソマリの掟「ヘール」の真実
     6 ソマリ人化する
     7 世界に誇るハイパー民主主義
     8 伊達氏の異能政治家・エガル政宗の恐るべき策謀
     9 地上のラピュタを超えて
    エピローグ 「ディアスポラ」になった私

  • 単行本の頃から気にはなってて、文庫化に当たりいち早くゲット。自分の予備知識としては、ソマリアがアフリカにあるってことくらい。だから正直、細かいことを書かれてもチンプンカンプンだし、思ったより凄いボリュームに、読む前からちょっと不安な気持ちが… でもそれは全くの杞憂でした。氏族の関係とかを詳しく知りたい人でも、分かりやすいように日本史に準えられているし、それ抜きで、”氏族とは”って部分だけでも十分楽しめる。周りからの干渉を受けず、独力でここまでの民主主義国家形成を成し遂げたのは、圧巻の一言。作者も書いてるけど、今の日本にこそ、ここから学ぶべきことが数多あると思える。形だけの二院制とか、一瞬で喝破されてるけど、国民個人が自分の所属する国家に対してよく考えているからこそ、見えてくることなんでしょうね。考えさせられることも多かったです。良書。

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謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)の作品紹介

内紛の絶えない地域で民主主義を成立させる国がある、その名はソマリランド。国際社会で国として認められていない“そこ"に潜む謎を探るべく現地へ! 講談社ノンフィクション賞受賞作。(解説/野村進)

謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)はこんな本です

謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)のKindle版

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