笑う招き猫 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460063

作品紹介・あらすじ

男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ!駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。体に浴びます大爆笑-。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。第16回小説すばる新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  •  桃餐(とうさん)プロ? まるで倒産寸前みたいなプロダクションに所属する女性漫才コンビ「アカコとヒトミ」。初ライブで、客席が失笑から無反応へ、終いには凍りつくという盛大なスベりの場面から物語は始まります。

     二人は共に28歳・独身。大学時代からの腐れ縁でお笑いの道へ進んだのでしたが、当然いい時も悪い時もあります。互いの境遇の相違と嫉妬、すれ違い、喧嘩‥。それでもそれらを乗り越え、真摯に笑いを追求する姿は、一見無謀に思えても尊く、明るい未来を予感させます。
     物語の展開、登場人物の対話にリズムがあり、読みやすいです。筆者のノリに引き込まれるように、ライブ会場でネタを共有している感覚になります。

     世の中にはM-1やR-1で優勝し、売れっ子を目指している芸人の卵みたいな方はごまんといるんでしょうね。その日暮らしで将来の見通しも持てない不安と常に闘っているのは、ある意味すごいです。
     加えて、「万人ウケする笑い」ってあるのかな?と考えてしまいます。もしかしたら、万人に通用する感動や泣かせより難しいのでは?と思います。
     その点、アカコとヒトミは決して妥協せず、高みを目指す姿勢が清々しく、応援したくなりました。

     山本幸久さんのデビュー作にして、小説すばる新人賞受賞(「アカコとヒトミと」改題)の本作は、笑いと夢をもたらす爽やかな青春小説でした。

  • 道の途中、夢の途中こそが人生なんだと思える一冊。
    その途中を共に過ごせる相手というのは本当に貴重。

    ヒトミとアカコ、苦悩を抱えていても舞台に立つ二人の姿がカラっとしていて気持ちのいい一冊。
    人生どうなるんだろ?そんな迷いや今の環境への不安を感じた時、気持ちを軽くしてくれる一冊です。

  • 著者のデビュー作で第16回すばる新人賞受賞作。新人女性漫才コンビが活躍するエンターテイメント。序盤は言葉の選び方や食事エピソードが続く構成などデビュー作らしく何となく固さが素人目にも感じられた。しかし、いったんエンジンがかかると主人公二人と共にストーリーが流れ出す。登場人物も多種に考えられている。気軽に読める秀作。おすすめ。

  • 百八十センチ超えのヒトミ。ポッチャリのアカコ。二人合わせて『アカコとヒトミ』。そう、彼女らは漫才師。

    波瀾万丈な人生があるわけではない。心臓を掴まれるような緊張感があるわけでもない。嘆息するような人生の教訓があるわけでもない。ただ漫才に人生をかける二人の、単調で、ちょっぴり刺激的な毎日を描いた作品。山本幸久さんの処女作であり、原点。何気ない毎日のお仕事の中に潜む幸せを思い出させてくれます。

  • 28歳の女性漫才コンビ。テレビに出たいわけじゃなく、しっかり漫才をやりたいという2人。漫才も楽しいが、ふだんの会話が面白い。突然、歌い出したりもする。さらに彼女たちを取り巻く人たちも、それぞれに個性的。特に頼子さんが素敵。コンビの1人が自転車で走り回る地域が、私の活動範囲に重なっていることもあって、よく知っている地名が出てくるのも嬉しい。続編はないんだろうなぁ。でも、この後の彼女たちも見てみたいなぁと思う。

  • 後半が少し息切れしてしまった感がある。
    でもこういう話は嫌いではない。
    人物の掘り下げ具合が程々だったのは好評価だと思う。

  • この本はツボにはまった。一気に読了。漫才の描写も秀逸でくすっと笑ってしまう。

  • 面白かったです。
    漫才をテーマにした小説では自分はベストだと思います。
    けど続編はいらないですね。
    これで満足です。

  • 主人公達が歌う歌がよくできていた。この作家さんすごいなー。

  • テンポも良く、気持ち良く読めた。この作者の本は初めて読んだけど別の作品も読もうと思った

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著者プロフィール

山本幸久
一九六六年、東京都生まれ。中央大学文学部卒業。編集プロダクション勤務などを経て、二〇〇三年『笑う招き猫』で第十六回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。ユーモア溢れる筆致と、魅力的な登場人物が読者の共感を呼び、幅広い世代から支持されている。主な著作に『ある日、アヒルバス』『店長がいっぱい』『大江戸あにまる』『花屋さんが言うことには』『人形姫』などがある。

「2023年 『あたしとママのファイトな日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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