ZOO 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 1314
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460377

感想・レビュー・書評

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  •  16歳のデビュー作に衝撃を受けながらも、沼にもハマらず、他の方の〝祭り〟にも加わらず(^^)、時間が経過してしまいました。
     なにせ、我が愛しの積読本集団が、小さいマエナライをして並び(中には割り込みするヤツも)、目を輝かせながら指名を待っているんです。この悩ましい状態、皆さんも同じでは?

     本来2003年に刊行された『ZOO』の文庫化にあたり、5作品がそれぞれ5人の監督で映画化され、その5篇が収められ、分冊したその1が『ZOO1』とのことです。

     内容は、いわゆる「黒」あり「白」ありで、共通テーマや統一感は感じません。どちらかというと黒ですが、黒は黒でも漆黒のような全てを吸い取る闇のような暗黒でなく、透明感のある黒またはブルーブラック寄りの色味を感じます。
     理不尽な虐待、殺人、絶望の監禁、死体などの状況そのものは強烈な黒ですが、人の感情を含めた他の部分は淡々と柔らかく描写され、そのコントラストが強く、独特の世界観が構築されているようです。つまり、ホラーなのにクールなんですね。他の幽霊、SF、幻想っぽい話も、不思議な魅力を放っています。

     「黒乙一」ワールドが醸し出す、不気味さ・怖さの中毒性を垣間見る気がした本書でした。引き込まれるように、続けて『ZOO2』へ移ります。

    • かなさん
      本とコさん、こんばんは!
      我が愛しの積読本集団の下りに
      激しく共感します(*'▽')
      私の場合、図書館で借りる本がよく割り込み、
      積...
      本とコさん、こんばんは!
      我が愛しの積読本集団の下りに
      激しく共感します(*'▽')
      私の場合、図書館で借りる本がよく割り込み、
      積読本に手が付けられなくって…!

      『ZOO2』のレビューも読ませていただくの、
      楽しみにしていますね!
      2023/09/15
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      かなさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      積読本‥、一生改善しませんね。でも、ある意味うれしい悩みでもあり、上手に付き合ってい...
      かなさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます!
      積読本‥、一生改善しませんね。でも、ある意味うれしい悩みでもあり、上手に付き合っていきたいものです。

      乙一さん・・・カメレオンみたいで凄いですね。
      読者視点でのジャンル分けも、意味をなさないような、
      そんな天賦の才能ではないかと感心させられます。
      2023/09/16
  • 別名、中田永一さんの作品は読んだ事ありましたが、乙一さん初読みになります。

    乙一なんて名前なので、勝手に甘いファンタジー系な作品を書く作家さんだとばかり想像してました。だって明らかにペンネームだし、乙という字から乙女という言葉しか連想できなくて…。浅はかではありますが(照)

    だけど、いい意味で裏切られびっくりです。

    映像化された5編を集めた短編集でしたが、どれもストーリーの完成度が高い!
    残酷でありながらスカッとするような、でも切ない読後感。好きです。

    余談ですが、乙一さんは’78年福岡生まれ。(わー、同い年で出身も同じ)
    そして久留米高専に在学しておられたとの事(きゃー、高専つながりじゃん。)
    と、勝手に親近感をもっちゃいました。

    カザリとヨーコ/SEVEN ROOM/SO-farそ・ふぁー/陽だまりの詩/ZOO

  • 昔読みましたが、「SEVEN ROOMS」が怖くてでも引き込まれるように面白い物語で忘れられません。1度読んだ小説の内容も忘れがちな私にしては珍しいことです。でも恐ろしくてまた読もうとは思いません。

  • 短編集です。
    奇抜な設定にも関わらず、乙一さんが紡ぎ出す物語の強さにグイグイと引き込まれます。
    全ての作品がとても面白かったですが、最も好きな作品は『陽だまりの詩』です。
    作られたロボットである主人公が、世界と触れ合い人間の感情を獲得していくという話です。
    これだけなら奇抜でも何でも無いですが、やはり乙一さんらしく仕掛けが施されており、驚きとともに、心がじわっと暖かくなりました。感情の機微の表現が素晴らしく、登場人物達の行動の端々から滲み出る人間臭さに惹かれること請け合いです。

    続編である『ZOO 2』も読んでみようと思いました。

    短編集なので、隙間時間にするりと読めてお勧めです。

  • 乙一さんの『銃とチョコレート』を読んでから、他の作品にも触れてみたくなり、購入。
    愛好家の方からすれば周知の事実かもしれないが、こんなにとてつもなく恐ろしい物語を生み出してしまう人なのかと、衝撃が走った。
    作中の一本である『SEVEN ROOMS』はとびきり恐怖を感じた。「得体の知れない何者かに殺されてしまうのではないか」と考える登場人物の心理や末路があまりにも直接的なのだ。文字で読んでいるのにもかかわらず、思わず目を背けたいくらいだ。
    ただ、私が作中で一番気に入っている話は『陽だまりの詩』だ。ロボットが男性を埋葬するまでの過程を、ロボットの一人称で描かれた話である。ロボットが「死」という概念を、時間をかけて理解していく様子も、読んでいてしんみりさせられる。ただ、それ以上に私は、終盤の伏線回収という部分において、『陽だまりの詩』が飛び抜けて素晴らしいと感じた。ありきたりな言葉を使うとするなら、まさに意表を突かれると言ったところか。

  • 怖くて面白くて優しくて。とりあえず傑作でした!

  • 「SEVEN ROOMS」は特異な状況が抜群に描けていて、汚水から漂う腐臭に思わず顔をしかめてしまう。それなのに、様式的な淡々とした心理描写が均等を保ちながら、読む者を惹きつけてくれます。予想もしなかったラストが衝撃で、崇高すら感じさせる姉の決断。その救いのなさに何とも形容し難く、やるせない。紛れもないホラーなのに〈救い〉や〈癒し〉が混在して残る、残酷と慈悲を併せもった不思議な世界観。

  • カザリとヨーコとSEVEN ROOMSはページをめくるのが怖いって思いました。
    ドキドキとかではなく話が怖くてっではなくページをめくるのが怖い。
    いや、話自体も怖いんですが。
    でも、気になるからめくっちゃう。

    陽だまりの詩が切なくてとても好きです。


    余談ですが、初めて読むと思って手に取ったのですが、SEVEN ROOMSを読んでる最中に、これ読んだ事あるなあ…と気付きました。
    結末とかを覚えていた訳じゃないですが。
    すっかり忘れていましたが、そういえば昔乙一好きの友人に借りて読んだ事ありました。
    乙一の他の作品は読んだ記憶があるんですが、なんでこれは忘れていたのだろう…。

  • 自分を小説沼に追いやった元凶。
    当時まだ幼かった自分に衝撃だった。
    SEVEN ROOMSがすごく怖かった。

  • サクッと読めるけどインパクト強い短編ホラー集。17年前の作品とは思えない目新しさあり。

    映像化もされているようなので、こちらもチェックしよう。

著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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