水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)

著者 :
  • 集英社
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  • / ISBN・EAN: 9784087460865

作品紹介・あらすじ

十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた-。世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の文庫版刊行開始。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章を読み終えると同時に、長い長い旅の始まりを告げる鐘が打ち鳴らされるのが聞こえた

    ぶったまげた!
    なんだこれは?なんなんだこれは?

    『水滸伝』じゃないじやないか!
    いや『水滸伝』なんだけども、確かに外側は『水滸伝』なんだけども、中身はぜんぜん違う
    もちろん『水滸伝』は読んだことがある
    未完に終わったが吉川英治の『新・水滸伝』も読んでいる
    その上でぜんぜん違うと感じるのだ

    人物の造形力が図抜けている
    そして元々あった器にひとりひとり新たな「魂」を入れ込んでいる
    しかもそれぞれに重なることもなく、魅力的で、納得感もある「魂」
    これを登場人物全員にやっている

    信じられない
    信じられないが、その信じられない作品の第一巻を今まさに読み終えたのだ

    これを最後までやったのか?
    『水滸伝』の何百人という登場人物全てに「魂」を入れたのか?
    信じられない
    信じられないが、それをやったから名作と称えられるのだろう

    とんでもない作品を読み始めてしまったという震えがある
    とんでもない作品に出会えた喜びがある

    覚悟は決まった
    『北方水滸伝』という長い長い旅が遂に始まったのだ

    • kuma0504さん
      ひまわりさん、レビュー読むのが追いつかない。
      で、「水滸伝」シリーズデビューおめでとう御座います♪
      大丈夫!名前なんて自然に覚えますから!
      ...
      ひまわりさん、レビュー読むのが追いつかない。
      で、「水滸伝」シリーズデビューおめでとう御座います♪
      大丈夫!名前なんて自然に覚えますから!
      なんなら岳飛伝まで行けば漢たちの名前だけで軽く200人行きますから!全員魂入ってますから!

      そんなに急がなくていいですから。
      私も近々「チンギス紀」文庫化始まったら漢たちのレビュー追走します。というか、どうして文庫化まだ始まらないんだろ。
      2023/09/01
    • ひまわりめろんさん
      クマさん

      ありがとうございます!
      特に急ぐつもりはないんですが、年明けには『史記』を読んでる自分が見えてますw

      それにしても凄いですね
      ...
      クマさん

      ありがとうございます!
      特に急ぐつもりはないんですが、年明けには『史記』を読んでる自分が見えてますw

      それにしても凄いですね
      ほんともう一巻読んだだけなのにメロメロです
      こんなことしていいの?とすら思ってます
      例えば九紋龍史進なんてただの暴れん坊のお坊ちゃんなのに、北方謙三アニキの手にかかれば、己の力を何かに役立て、何かを成し遂げたいが、一方で「家」というものを捨てられずに苦悩する若者になってますからね
      もはや歴史改変SFですw
      2023/09/01
    • ひまわりめろんさん
      あ、最初の「ありがとうございます!」は、この素晴らしい作品を教えてくれてありがとうございますの「ありがとうございます!」です
      あ、最初の「ありがとうございます!」は、この素晴らしい作品を教えてくれてありがとうございますの「ありがとうございます!」です
      2023/09/01
  • 絶筆で未完となった吉川英治版以来の水滸伝。十代の頃本当にワクワクしながら読んだ。 108人全員集合したところで終わり(いわゆる70回本相当)、あれはあれでいいと思っていた。年を取り北方版も気になってはいたが、今更感があってスルー。たまたま WEB 上の筆者インタビュー記事を目にして興味再燃。とりあえず 1 巻だけと手に取ったら、林冲登場の冒頭からテンションアップ。アッと言う間に読み終えていた。「平成の 30 冊」にも選ばれた大水滸伝シリーズ全 51 巻。手を出してしまった以上しょうがないので、時間をかけて完読を目指そうと思う。

  • 宋の時代,政府の圧制に立ち上がった漢たちが梁山泊に集まり,一つの国というようなものを樹立し,宋との決戦に挑む物語。フィクションではあるが,一応,宋の時代の36人の史実を元に脚色され,現在の108人の漢の物語になったらしい。北方水滸伝は,原本での辻褄が合わないような部分や,ファンタジーちっくな部分を,より現実的な描写に再構成している。敵対する宋軍側の考えにも,梁山泊側の考えにも,どちらにも正義があるように思える。
    宋側は現体制のまま政治を立て直して行こうとし,梁山泊側は一度宋をつぶし新しく国を作りかえると言うもの。普通の戦モノと違うのは,登場人物が軍人ばかりではなく,医師,鍛治,情報を伝達する飛脚,城壁等の石積みを作る職人など,様々な人間が登場するとことだ。
    北方水滸伝は,続編である楊令伝へと話が続く。
    ストーリーは面白いが,19巻ともなると,著者の人物描写が少しワンパターンとなるところ(次に何を言うかが想像がつく)や,登場人物の描写に終始するところ(司馬氏や宮城谷氏は,文書の所々に,自分の考えや地名の由来,雑学のようなものがちりばめられている),女性描写がしつこく,えぐいところなどが自分の趣向とは少し合わないので3つ星とした。決して面白くないわけではないが。。。
    全19巻

  • 長い長い水滸伝の幕開けを感じさせる。この一冊全てがプロローグであり、ダイヤモンドの原石の様な光を放つ様に感じた。志の高さ、人間としての心、何が生きる上で大切で、不器用ながらでも我が道をそれぞれ生きる登場人物がカッコ良すぎる!これからとても楽しみです!!

  • 推し甲斐がある人数〜〜!!!!
    林冲〜〜不憫!からの!!!爆イケぇ⤴︎⤴︎
    宋江!!!!!好色!!!!鬼熱!!!
    花栄!!!!イケメン軍人大好物!!!
    燕青!!!!!!君は絶対カッコいいね!!
    阮小五よ!!!萌!!!!!!
    若者たちよ!!!(史進と鮑旭)大志を抱け!!!!!
    安道全よ!!!私は君が好きだ!!!!
    薛永との絡みが楽しみだ!!!!!!!
    晁蓋!!!!!!!あなたに魂をふるわされたい!!!早く出会わせて!!!!!!

    冷静になっても、兄弟たちの話は涙なしでは読めなさそうで不安。登場人物が増えるたび、その人の死に方まで想像しながら読んでるよ。せめてもの心の防御術。あと18巻も楽しい読書時間が待っていると思ったら楽しみで仕方ないな。

  • 朝日新聞の平成の30冊の中にこの本があったような気がしたので読み始めた
    大体この手の本は法螺話なんで、登場人物がかっこいいだけかと思ってたら、経済基盤を整える(塩の道をつくる)とこから話が始まるのすごい。ちょうど会計の歴史の本と並行して読んでるので、説得力あるのよね。お金が無いと、理想を掲げても人は動けないと思う。
    19巻もあるけど読み切りそう。
    最初三国志と間違えて読み始めて、時代違わないかとか思ってたのは内緒

  • 中国史をもとにした話は初めて読んだけれど、一人一人のキャラが立っていてとにかく面白いし、蜘蛛の糸のように人物達が繋がっていくのもアツい!

  • 登場人物多くてわかりにくいところもあるが、圧倒的武力、修行編と少年漫画要素あって没頭した。
    全19巻は楽しみなような重いような。

  • ついに手を出してしまった水滸伝。

    三国志や楊家将のときもそうだったけど、やっぱり北方謙三の書く男ってかっこよすぎる。しかも多様性がある。これが一巻目とは思えないボリュームと密度にわくわくが止まらない。これだから読書はやめられない。
    二巻もわくわくしながら読むことにします。

  • 「南総里見八犬伝」を読了したことに調子に乗って、「水滸伝」に手を出しました。
    が、登場人物の多さと地理不案内に、相当手こずりました。
    先が思いやられます。

    事前に知っていたことといえば、梁山泊というところにならずものたちが集まって、世直しを画策する、ということ。
    そして曲亭馬琴によると、どうも最後は彼らが負けて終わるようであること。

    ところがこの北方版「水滸伝」は、原作とはちょいと違うようなのであります。
    原作と言っても誰か一人の作品ではなく民間伝承が元になっているので、描写に矛盾があったり、尻切れトンボの部分があったりするところを、北方健三は物語を解体し再構築することで、矛盾の解消をしたようなのです。
    それに伴って、登場人物たちにもそれぞれ人間的な魅力を加味したと。

    そして、物語の背景をはっきり作り込みます。
    政治的にも経済的にも詳細に。

    さらに新たな登場人物を作り出して、物語を動かしていきます。

    これらの改変によって、ようやく自然な物語として読むことができるようになったのだと。

    ということで、あえて北方版「水滸伝」を手にしましたが、全19巻。
    その続きの「楊令伝」17巻。
    さらにその後「岳飛伝」19巻。
    長い旅になりそうです。

    とりあえず一巻ではまだまだ仲間を集め中。
    苦労人の林冲の動向を気にしながら読み進めました。
    人気者の武松はまだ伝聞でしか登場せず。
    ほんと、先が長い…。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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