相剋の森 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460964

感想・レビュー・書評

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  • 内容
    「山は半分殺してちょうどいい―」現代の狩人であるマタギを取材していた編集者・美佐子は動物写真家の吉本から教えられたその言葉に衝撃を受ける。山を殺すとは何を意味するのか?人間はなぜ他の生き物を殺すのか?果たして自然との真の共生とは可能なのか―

  • 「邂逅の森」の続編であるが、時代は大正から現代へ移る。その分、フォーカスは現代が抱える問題に当たる。手を汚さずに自然との共生を掲げる都会の理想と、山奥で山の命と向き合いひっそりと暮らすマタギ文化がぶつかる姿を切り込んでいる。この手のテーマを「無知な都会のキャリアウーマンが女性ぶつかっていく」という設定自体は、冒頭の書き出しも含めて、決して新しいものではないけれど、マタギ文化についての重厚な背景と、前作からさりげなく流れ込む伏線が絡み合って、読み応えのある作品に仕上がっているのがさすがというところ。

  • 邂逅の森に引き続きこちらも重量感ある内容でした。
    そしてやはり、登場人物の男性陣が魅力的。
    滲み出る哀愁と存在の重量感(?)がなんか渋いわー

    今回は女性ライターの立場から見れたので、読者としても狩猟と動物保護の葛藤など同じ立場から考えることができ興味深かかったです。
    そしてライターの取材、写真て壮絶すぎる、なんとなくナショナルジオグラフィーなど思い出した。
    記事読む時はきちんと向き合って読もうと思います。

    ただ邂逅の森の富次の曾孫のくだり、、、必要だったのかな。。?と疑問が残った。

  • 邂逅の森に引き続き、この作品もとても良かった。
    生命と向き合ってはじめて感じ取れる世界があるのだとあらためて気付かされる。間接的な体験ではあるが、自分の視野を拡げてくれた。

  • マタギというのを初めて知ったし、登山経験もほとんどないので、どれだけ理解できてるかというのはあるが、興味深く読んだ。「山は半分殺してちょうどいい」という言葉はパンチラインだと感じる。伝統的な熊狩りと野生動物との共生・保護に関して読みながら学んでいった。

  • 邂逅の森とは違った角度でマタギの世界を描いた良作。これもいい。

  • 読みたいのに、美佐子がどうしても好きになれずに進まなかった。でも、美佐子と一緒に学んでいった。理屈じゃない。この文を読んで理解する話じゃない。一冊読む中で、一緒に理解していけるものなのだと思う。良書だった

  • 邂逅の森から読んでしまったが、こちらがマタギ3部作の1つ目。

    時代は現代に移り、現代ならではの問題が主題。記者である美佐子の取材シーンや、山のシーンはたっぷりとしていて満足。ただ、女性の書き込みは浅いよね、と女性として思う。

    なんにせよ、面白かった。マタギの郷にいきたいという欲が、また強くなった。

  • 熊谷さんが「東北」に戻ってきました。
    「ウエインカムイの爪」の続編に当ります。「爪」の主人公であるカメラマン・吉本は今回の主人公・美佐子の相方として主要な役割を果たし、またヒロインだった玲子も登場します。
    ライターの美佐子を中心に、熊猟を行うマタギ達(+吉本)と熊を生かそうとするNPOの三角関係で話が進みます。その中で、自然保護を巡って、様々な意見が交錯します。
    相変わらず、力強い作風です。物語に引き込む力は持っています。しかし、今回は焦点が多すぎて、かえってぼやけてしまったようです。幾つかのサブストーリーを切り捨ててしまえば、もっとスッキリした力強い作品になれたと思います。
    そんな訳で、ちょっと厳し目に星3つにしておきます。

  • 相剋の森とは時代設定が変わり、
    現代の世の中で自然と人間はどうあるべきか
    というかかわり合いの話がテーマになっている。

    物語としても読ませるし、
    読み手として考えさせられるところも多い。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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