幻夜 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 1567
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  • Amazon.co.jp ・本 (792ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461343

感想・レビュー・書評

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  • 「白夜行」に続いて読了

    「幻夜」も同じように凄まじい内容でしたね
    読後はしばらく放心状態…(笑)

    1995年の阪神・淡路大震災に始まり、地下鉄サリン事件等を経て、2000年問題や
    ミレニアムということで世間が騒がしい頃の
    2000年1月1日までの現実と虚構を
    織り交ぜて描く長編作品

    震災の混乱の中で、借金返済を強いていた叔父を衝動的に殺害してしまった一人の男、雅也。それを目撃してた女、美冬…。
    それをきっかけに結びついた二人は東京へ。
    女を愛しているがゆえに彼女の指示のまま、悪事に手を染めていく男。
    やがて成功を極めた女の、思いもかけない真実の姿が浮かび上がってくるのだが…。
    美冬はいったい、何者なのだろうか…というストーリー。


    こちらの作品も、殺人事件のグロい描写があったり…性描写が多かったりしてました。
    不快感あり過ぎで…本を閉じたくなる場面が多かったりしましたが、やっぱり謎は気になりますし、スリリングな展開がどんどん次々出てきて、やっぱり何とか読めてしまいました(笑)

    「白夜行」の姉妹作や続編などと、いわれているこの作品。
    「白夜行」が、主役ふたりの心理描写がないのに対して、こちらは雅也の方の心理描写だけがあるところが、大きく違ってましたね。

    美冬の方の心情は描かれずに今作でも謎。
    それが凄くモヤモヤするのですよね…
    「白夜行」の雪穂には、子供の頃のトラウマからくる哀しみを背負ってるように感じていたのに…!
    (私が勝手に、そう思ったのかもですが…)

    「幻夜」の美冬からは、過去のトラウマなんて微塵も感じられないし本人自身が、
    トラウマなんてないと言い放ったりもしているので…衝撃でした、私的に…。

    でも随所に雪穂=美冬を匂わされる部分があったので混乱しつつ、嫌でも…そうなのかもねと、やるせなくなりました。


    ミレニアムを目前にした大晦日の夜…
    船上パーティーのラストシーン!
    衝撃的でした…
    東野圭吾作品、凄いですね…

    • ヒボさん
      チーニャさん、長編読了お疲れ様でした♪
      (´・ω・)っ旦~

      レビューで懐かしく思い出しましたよ。
      でも、すっかり沼にハマったみたいですね^...
      チーニャさん、長編読了お疲れ様でした♪
      (´・ω・)っ旦~

      レビューで懐かしく思い出しましたよ。
      でも、すっかり沼にハマったみたいですね^^;

      私も久々に東野圭吾作品を手にしたくなりました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      2024/04/18
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ヒボさん、ありがとうございます〜
      (*/◎\*)ゴクゴク…ゴク!美味しい…(笑)
      ヒボさん、ありがとうございます〜
      (*/◎\*)ゴクゴク…ゴク!美味しい…(笑)
      2024/04/18
  • H29.12.8 読了。

    ・白夜行の続編。引き込まれるような世界観を一気読みした。いやあ、面白かった。
     こんなところで白夜行と繋がっていたんだとピースを見つけるたびに小躍りしてしまった。

  • 白夜行から引き続きで、まさに彷徨う感じ。
    雅也には余りにも救いのない物語。
    私も、美冬=雪穂説に全面的賛成なのですが、美冬が欲望の権化としか感じられず、かなり戸惑いました。最期の辺りでは、もはや人ではなくなりつつある感じも更に恐怖です
    白夜行で亮司を失った雪穂が、雅也に“拠り所だった亮司=夜を照らす光“を求めたけど、それは幻でした・・・とか考えましたが、そんなタマじゃないですね。
    自分では直接手を汚していないけど、どれだけの人を踏み台にしてるのだろうか。
    私の中の悪女1位、認定です。

  • 白夜行を再読したので、こちらも続けて再読。
    美冬の悪女っぷりがすごくて、感心するほど。
    翻弄されっぱなしの男達が滑稽に見えてしまう。
    面白かった!

  • まさに悪女、魔性の女、美冬。
    白夜よりさらに救いのない、遣り切れないストーリーだった。雅也がひたすら哀れだった。
    幻夜…昼はもとより、夜ですらない。秀逸なタイトルだと思う。
    美冬が実は〇〇と同一人物なら…。
    三部作構想とのことなので次回は因果応報を期待したい。
    大作でした。

  • 阪神淡路大震災の混乱の中で出会った男女の、その後の生きる姿。
    表と裏の世界を使い分け、各々が光と影となり支え合う。
    紹介文の通り「白夜行」を思い起こさせる物語。
    栄華の裏に隠された様々な陰謀、事件。そしてラストの展開。
    すごく後味の悪い読了でしたが、面白かったです。
    栄華の影にある多くの犠牲。彼もまた。
    そんな彼は最後報われたんだろうか。

  • 白夜行の雪穂と比べると美冬の手口が分かる為楽しめる反面、またこのやり方か…と中だるみ的な感じで少し読むスピードが落ちた。しかし、読み終えた時は「白夜行」「幻夜」の長編2冊を読み切った達成感と2冊存在する意味は大いに感じられた。

    女性の武器を最大限に使ってくる為、性的な表現は多め笑。最近、東野圭吾作品の楽しみ方として子供が漢字をそこそこに読めるようになった時に安心安全に勧められる作品はどれだろうと。残酷な殺人は目を瞑るにしても性的な行為はまだまだ早い、そういう意味では「幻夜」はずっと大人に成長した時に読んで欲しい。

  • 779ページ。なんというか濃密な描写のミステリー。人間ドラマの描写が推理小説以上。主人公達が捕まりませんように、とか上手く欺けますように、とか、つい悪事を働く2人の目線で読み進めてしまう。それぞれの章を読み終える度 安堵感と次への展開への期待に毎日読んで今日読了。実は私、「白夜行」をまだ読んでいない。巻末の黒川博行氏の解説でこの「幻夜」はその第二部とのこと。一度図書館で借りてあまりの分厚さに最後まで読まず返却してそのままにした経緯あり。もう一度借りようと思います。「新海美冬」の正体はなんとなくの暗示はあるものの前作を読まない私ではそれがピンとこないので、これはぜひもう一度読まねば、と思ってます。

  • 「白夜行」の独特の世界観に引き込まれたので
    続編ともいわれる「幻夜」はずっと気になっていた作品でした。

    いや〜長編力作でした!
    すごい!そして怖い!
    読後、暫し放心状態から抜け出せない程の作品ですね。

    読み進める程に、新海美冬の冷徹さと狡猾さと妖艶さが増幅して最終章では体温を感じない位の悪女に仕上がっている様に感じました。

    美冬目線での心理描写がない分、その非道さを際立って読者に感じさせるという東野圭吾さんの技術が巧み過ぎます。

    白夜行との関連や、美冬の正体、ラストの暴発?等の不可解で読者の考察が止まらなくなるのも本作の魅力だと思います。

    でもやっぱりラストがあまりに切なく虚しく…
    雅也には有子のような女性と穏やかな幸せを築いて欲しかったなぁ。

  • 美冬と雪穂が同一人物である可能性を示唆する表現は白夜行好きからするとたまらない。
    ただ、白夜行は男と女の直接的接触が一切なかった点で繊細に作り込まれた良作だったが、今回は美冬に雅也が溺れる様を中心に描いたより生々しい物語であった気がする。

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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