- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087461381
作品紹介・あらすじ
ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた著者の伝説のルポルタージュ、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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すごくニッチなジャンルのお話でしたが、臨場感溢れる文章。人間味溢れる行動。どれをとっても惹き付けられてしまう内容でした。自分がこれから生きていても恐らく体験出来ないであろう世界に少しでも触れることができた良い機会になりました。
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何ともすごい行動力。アヘンを栽培している村と聞くととても恐ろしい所を想像する。7ヶ月間村の人と寝食を共にし、文明度は低いが、礼節、敬虔さ、勤勉さを備えた人たちと知る。マラリアやシラミに脅かされ自らアヘン中毒にまでなりながら…。30年近くが経とうとしているけど、一緒に暮らした方々が元気にされている事を願うばかり。
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ミャンマーのワ州における、アヘンにまつわるドキュメンタリー。いろんな国に潜入し、どっぷりその国にはまってみる…という高野秀行さんのバイタリティー、すごい!!Σ( ̄□ ̄;)
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イラン水滸伝から高野秀行作品を読むようになって、今ではすっかり高野秀行ファンになっている。
自分にはいろんな意味(モチベーション、勇気、体力、時間、お金)で経験できないことを、高野さんは経験し、それを本という形で表現してくれる。まさに本の醍醐味である。この作品は現実の世界での実際の体験記なのだが、今自分が生活している世界からかけ離れすぎていて非常にシュールなのである。日本人がこれまで行ったことのない、ミャンマーのワ州僻地にあるアヘンを栽培している村に長期間滞在して、自分もアヘン中毒になってしまう。現実は小説より奇なりであるが、ノンフィクションは現実より奇なりである。著者はどうなってしまうんだろうとワクワクドキドキさせるエンターテイメントであり、世界にはこんなところもあるんだとか、ミャンマーの歴史ってそうだったのかなど勉強にもなる作品である。 -
すごい本だった。
内容もさることながら、出版された後の社会的影響も高野さんの著作の中では群を抜いている。
日本語で出版される前に英訳版が出版され、それが回り回ってビルマ語版が出版されるまでになる。しかも、政府要人たっての要請で。
それだけ、本書の内容がディープで希少性があったということだ。
前半はいつもの感じで、飄々とした筆致によって現地の人々との面白おかしいやり取りが描かれる。が、後半は怒涛の展開。特に、ラスト数十頁は圧巻。体調不良から収穫したアヘンを吸引することになり、あっという間に中毒になっていく様や、平気でアヘンをリュックに入れたまま国境を越えてしまう様子に、高野さん言うところの「善悪の彼岸」へ足を踏み入れた人の頭の中を垣間見る思いだった。そして、アヘンビジネスを巡る国際的な動きの怪しさが、誇張されることなく淡々と暴き出されていく。ワ州がアヘン=ヘロイン生産のゴールデン・ランドたる背後に中国の存在があること、さらに、アヘン生産量を不自然なまでに誇張して喧伝することで麻薬取締の予算をせしめようとするアメリカの思惑。こうした諸々が、ワ州で素朴な暮らしを営む人々の姿とコントラストを成す。
「善悪の彼岸」には、当たり前の暮らしが存在し、そこに暮らす人々は「此岸」に暮らす我々と何ら変わりのない生活感情を抱いて暮らしている。彼らを「彼岸」の人間にし、色眼鏡をかけて眺めているのは、あくまでも「此岸」の都合に過ぎない。アヘンビジネスという闇の構造は、その他に数多ある様々な差別や貧困の構造と同じだと感じる。
これが書かれたのは90年代半ば。高野さんがミャンマーを出た後にアヘンビジネスには様々な動きがあったようだが、現在、民主化を巡るゴタゴタは悪化の一途を辿っている様子。が、それも所詮は大手メディアが伝えることに過ぎず、大手故の利害関係が背後で蠢いているはず。今、高野さんがミャンマーに入ることができたら、一体、何を見、何を描いてくれるのだろう? -
行動力ありすぎ...
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親から聞いた昔の沖縄とそんなに変わらないのでは?と思いながら読んだ
村は先祖を敬う儒教のようだし、女性一人では生きるのに厳しいところとか、ケシ栽培がサトウキビ畑に変われば昔の沖縄なんだと思う
ワ軍はアメリカ軍と考えたらさらにそうかも
世界地図のミャンマーの場所すらちゃんと知らないのに共通点があっておもしろい -
記念すべき私の初めて読んだ高野秀行作品。浮世離れしたワ州と著者の行動力に圧倒された。これを読んで以来、著者の他作品を読むようになった。
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めちゃくちゃ面白いんだよなあ
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ミャンマーの東側のワ州の村でケシ栽培をしてアヘンを作ってみる話、ノンフィクション。
本当にこの人の行動力は頭おかしい(褒め言葉として)
しっかりアヘン中毒にはなってるし、倫理観も少し流されてるし。
でも当時の貴重な資料そのもので現地の人々の暮らしがわりと面白い。
数年前に行って見て、資源と民族的にこの国は揉めるよなあと何となく思ってたけど本当にあっという間に旅行に行けなくなってしまって残念で悲しく思ってる。