1ポンドの悲しみ (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461565

作品紹介・あらすじ

数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた-(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せになれないウエディングプランナー…。迷い、傷つきながらも恋をする女性たちを描いた、10のショートストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • スーパー内の書店の平台に「短編工場」という文庫本があった。その中に、この短編の「ふたりの名前」が収められていて思い出した。
    同棲して一年弱の朝世と俊樹。二人は全てのことにおいて、所有権をはっきりさせたいと、家の中にある「物」にイニシャルのAとTを書き記していた。あるとき、ひょんなことから子猫を飼う運びとなる。子猫と楽しい時間を過ごしたひと時だったが、子猫が突然・・。
    この出来事をきっかけに二人は、理屈ではなく目に見えない大切なものに気づく。
    私的に・・夫婦間で名前を書くって、ありえないけど。
    命の重さが二人を救った。
    子猫の名前がまだ付いていなかった。二人は最高の名前を付けた。
    名前は誰かの所有物を表すものだけでなく、
    「好きな人の名前って、それだけで幸せの呪文」

  • 少し大人の恋愛小説。

    年齢を重ねた人たちの
    大人にしか出来ない恋愛の数々。
    大人だからうまくいかないこと。
    そういう1つ1つの物語の雰囲気が
    良かったな。

    若いころ憧れた恋愛、みたいな。笑

    私は、
    ・誰かのウエディング 
    ・11月のつぼみ
    ・デートは本屋で。
    オススメです。

  • 10人いれば10通りの恋愛ストーリーがある。

    恋愛する時の年齢も大きく影響するし。置かれている環境、立場によっても違う。
    けど 読んでみて思ったのは、恋愛はいくつになっても嬉しかったり温かかったり、切なかったり苦しかったりして…。
    人生終わるまで、そんな気持ちの揺れを素直に受け入れてみるのも悪くないな。ということ。

  • 数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた―(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せになれないウエディングプランナー…。迷い、傷つきながらも恋をする女性たちを描いた、10のショートストーリー。

  • 30代前半の恋愛がテーマとなっている10の短編。タイトルになっている『1ポンドの悲しみ』は自分的には好みではなかった。『11月のつぼみ』『声を探しに』がよかった。10も短編があるから感想は色々だろうけどなんとなく著者の作風がわかった気がする。もう少し上の年代がテーマになっている作品もあるようだから機会があったら読んでみようかな。

  • 30代の恋愛がテーマの短編小説10ストーリー
    いろんな恋愛模様を覗き見できた気がしておもしろかった。
    特に「スターティング・オーバー」の終わり方が素敵でお気に入り。

    約15年前の作品ということもあり時代を感じる場面が多々出てくる為その部分も読んでいて楽しかった。
    (固定電話、ガラケー、ファックス、パソコンに関するところ等…)

  • 石田衣良の短編が読んでみたいと思って、ジャケ買いした一冊。予想を裏切らない、洒落た雰囲気の恋愛短編集だった。そのほとんどが、30代女性の恋のはじまりをほのめかすストーリーで、仕事や趣味と恋愛の間に揺れる女心を描いていたように思う。解説にもあるように「筆のおき方」がこの本全体の空気感を物語っていて、洗練されたなかに人のぬくもりを感じさせる。情景文で終わる小説集としても参考になりそう。
    個人的には東京の街や人を思い出す短編集だった。けっこうリアルな描写が多くて、スキマ時間に読むはずが、ついつい一気読みしてしまった。
    他にも石田衣良さんの本を読んでみたい。

  • 劇的なことは起きない恋愛短編10作。起から承、承から転くらいの小さな変化だけど、人の恋愛話をもの凄い臨場感で聞いてるみたいで良かった。短編集は気軽に読めるから職場で昼休みに読むのにも向いてるかなと。

  • 石田作品はこれがはじめて。
    テレビや新聞でみたことがある作家さんだが、やはり娼年のイメージが強い。

    こちらの作品は短編でさくさく読めるが、実にひと作品が濃厚。登場人物の真髄みたいなものを的確にとらえて、ものすごい勢いと場面の切り取り方で伝えてくる。

    印象的なのは性の描き方と女性の描き方。男性作家が30代の女性の心情をこんなにも繊細に描けるのかと信じられなかった。一見サバサバしてみえるタイプの女性が多く登場するが、彼女の繊細な心や葛藤を見事に描いている。

    こんな男性が世の中にいるのか。。。

  • アラサー恋愛短編集。劇的ではない、ほんのりハッピーなお話が多いので爽やかに読めます。寝る前に一編ずつ読むのにも良さそう。
    『ふたりの名前』なんにでも所有権を明記する同棲カップルが猫を飼うはなし。
    『誰かのウェディング』退屈な結婚式で出逢ったプランナーの恋。
    『十一月のつぼみ』花屋で交わされる視線、乾いた日常に潤いを与える存在、捨てることのできない現実の価値。良くも悪くも転びきらない切なさがリアル。
    『声を探しに』ポップな印象だけど、琴線に触れる言葉もあった。かわいいカップル。
    『昔のボーイフレンド』元サヤに戻る話。
    『スローガール』ほんとうの嘘でも、似たのがあったな、文脈を読めない美人のはなし。今回は会話がスローな純真美女とプレイボーイとのハートフルラブ。
    『1ポンドの悲しみ』遠恋カップルの一月ぶりの逢瀬。この方の書くセックスはかなり官能的だけど不愉快にならないのは男性目線のエゴや押し付けがましさを見せないからかな。
    『デートは本屋で』本好き女子とコピー機営業の初デート
    『秋の終わりの二週間』愛情溢れる歳の差カップル。
    『スターティング・オーバー』元仕事仲間たち三人が月日を経て成長させた恋愛観を交換する。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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