さようなら、コタツ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 481
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462234

感想・レビュー・書評

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  • 完全なるタイトル買い。
    ちょっとシニカルで、ぞっとするような場面も時々ある、中島京子ワールド。な、7つの短編集。

    表題作は、15年ぶりに自分の部屋に恋人(未満?なりかけ?)の男を招待することになった36歳の女性が主役。
    しかもそれは自分の誕生日で、出張終わりの彼が夜に来る手筈なのでそれまで部屋の掃除やら料理やらに張り切るのだけど、時間になっても彼は来ず…。
    もう“いい大人”であるはずの主人公の由紀子の奮闘ぶり(と言ってもちょっと醒めてて、だけどどこかが興奮しているようなおかしなテンション)を醒めた視点で描いている。
    由紀子の行動を見ていると、少し切なくて愛おしくなる。そしてラストはほっと出来てひと安心。
    その他にも、ある相撲部屋の1日を描いた「八十畳」や、婚約者と暮らす部屋に昔の彼女を招いた男の悲喜こもごもを描いた「陶器の靴の片割れ」など、すべて“部屋”にまつわる物語になっている。
    少しの物悲しさと、そこはかとなく漂う“客観”の雰囲気が面白い。

    人ってけっこうおかしなことやってるんだよなぁ、と思う。自分ではおかしいと思ってなくても他人から見たらおかしかったり、その逆もあったり。
    日々色んな人と接していると、“普通”の人も存在しない、と感じる。言ってしまえば世の中の人間はみんなそこそこの変人だ。笑
    そういう、よくいるんだけど普通ではない人々が織り成す、日々の悲劇だったり喜劇だったりが詰まっている作品のように思う。
    他人から見たら大したことないことでも、その人的には大事件だったりとか。繋がっていてもやっぱり他人は他人よね、と思うこととか。

    こういうの書いてみたいな、と久々に思った。大して事件なんて起こらない物語のほうが、難しくて書き甲斐がありそう。

  • タイトルが凄い気になって本屋にないけど注文した。思っていたのと違うかも、長いお別れからずっと好きで読んでます。それぞれ起こった出来事が生々しいとかで、こんな一面もあるんだな。アパートが取り壊しになって小学生のマナがお母さんの男の運転で居なくなってで終わるとか物凄い心配だよ。いたずらされてどうにかなるしか思わんて。なんとかしてよ中島京子さん

  • どこにでもいそうな人たちのありそうな日常を切り取ったような短編が7篇。
    たとえ大事件は起きなくとも人はそれぞれの問題を抱えているもの。それぞれの違ったタイプの登場人物に感情移入するということでなくとも、彼らが小説に切り取られた後に生きていく時間も想像させられる。余韻の残る短編集。

    #中島京子 #さようならコタツ #集英社文庫 #読書 #読書記録2021 #読書記録

  • 「桐畑家の縁談」のウー・ミンゾンのその後が出てくるというので読んだ。鎌倉のおじさんのうちでのエピソード。
    中島さんは小説の名手だと思う。それは間違いない。絶妙な心理が描かれているのは変わらないのだけど、長編における緻密な構成とか、意外性に慣れてしまって、短編だと、どこかさらっとしすぎて物足りない。贅沢な悩み。

  • 寒くなってきたので「こたつ」という
    タイトルに惹かれて手に取りました。

    過度なロマンチックがなくて、しとしとと
    ただ「暮らす」人々を眺めるような読書でした。


    ・ハッピー・アニバーサリー
    ・さようなら、コタツ
    ・インタビュー
    ・陶器の靴の片割れ
    ・ダイエットクイーン
    ・八十畳
    ・私は彼らのやさしい声を聞く

  • 序文に本作のサブタイトルは〝へやのなか〟であると書かれてある通り、これは7つの部屋で繰り広げられる、人生のひとコマを切り取った短編集です。
    そこに住む人、訪ねてくる人、転がり込んでくる人。そこで人が暮らすかぎり、それぞれの部屋でそれぞれの物語が生まれます。ここに登場するのは、取り立てて特別な境遇にある人たちではありません。ごくありふれた人たちの、ごくありふれた日常が描かれています。せつないような、愛おしいような、とても味わい深いお話でした。

  • とても面白かった。
    部屋に住む人たちの色んな出来事や心の内がとても面白かった。
    お気に入りは「ハッピーアニバーサリー」「さようならこたつ」「八十畳」「私は彼らのやさしい声を聞く」

    やっぱりこの人の小説好きです。

  • 初めて読む作家さん。
    合わなかった。

  • 特に幸せと言うこともなく、絶望的に不幸せでもない、七つの話。
    印象に残りにくい。


  • 今日一日分の動揺はやり尽くした。あとは明日に残しておこう。

    15年振りに恋人未満の男性を家に招くことになった女性、新入りが脱走した相撲部屋、ある記念日を迎えた女性達とその父親など短編集。
    .
    タイトルが気になって購入。どれも日常で、大きすぎる変化はないけど少し変化のある一コマを切り取った感じのお話。それぞれぼんやり悩んでいて、でもこうしてみようかなという少し踏ん切りが着いたタイミングみたいなのが描かれていて、人間味がある雰囲気。
    .

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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