荒蝦夷 (集英社文庫)

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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462425

感想・レビュー・書評

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  • なかなかに知識が乏しく、ネットで調べながらの読破でしたが、読みやすい文体でした。
    もともと、その土地に住む者と支配したい者。
    戦国時代より生々しい、戦いというより殺し合い、力で奪い合う時代を感じました。
    朝廷との時代背景が 今一つ掴めず難儀しましたが、特に、阿弖流為と田村麻呂が出てきた辺りから、俄然面白くなり、しかも、この二人の描写がカッコ良く、グイグイと引き込まれました。
    最後は、新たな未来を感じさせる終わり方で、とても良かったです。

  • 歴史物だが特別知識が必要ということもなく、分かりにくい言い回しもなく、引っ掛かることなくスイスイ読める。非道に見える呰麻呂の人間味が読み進めていくごとに顕になって、とても魅力的な人物だった。
    荒蝦夷とは繋がった話ではないとあとがきにもあったが、阿弖流為が主人公の「まほろばの疾風」も読んでみたいと思った。

  •  古代東北史・蝦夷史のターニングポイントとなった780年の「伊治呰麻呂の反乱」に至る過程を描いた歴史小説。主人公の呰麻呂の残虐で野性的なキャラクターに綺麗ごとでないスケールの大きさを感じるか、単なる野蛮さを感じるかで評価は割れよう。史料不在で不明なところを大胆な仮想で埋めたり、明らかな史実改変を行っているので、注意が必要である。

  • 作者は知らなかったし、ぱっと開いたらエログロな処刑シーンだった。図書館ならそのまま戻すところだが、古本屋で歴史小説がそんなになかったこともあり、まあ取りあえずと購入した。
    意外と、と言っては作者に失礼だが、意外と面白かった。

    前半はちょっともたつく。
    これは、私が地名人名を把握していないからというのもある。呰麻呂・・・かろうじて覚えているが、その他になってくると、炎立つとかそこら辺で出てきたなあ、というぐらい。インパクトがあるから覚えているぐらいなもので。

    後半からかなり面白くなってくる。
    それと同時に、作者の切り口が生きてくる。謀略や打算がうずまき、面白い。この話の蝦夷は、「自然と共生する高貴な野蛮人」でも「支配に抵抗する気高い自然人」でもない。野蛮でこすくて凄みがある。

    解説が佐藤賢一で、さもありなんという感じだった。

  • 名前や役職の漢字は読みにくかった。蝦夷国が出来るまでの話としては残酷に感じる描写もあるが楽しく読めたが、この1冊だけでは物足りない気がするのは「まほろばの疾風」を読めって事かなぁ?アテルイのエピソード1、エピソード0的作品で終わってる気がする。結局メンドイけど「まほろばの疾風」を読まんとアカンのやろなぁ。

  • 東北などを舞台とした作品です。

  • この人は東北地方の作家で、東北にこだわった作品を書いております。
    森三部作はかなり面白かったですし、短編集も味があってよかったです。
    特に東北地方に広がる森の雰囲気や野生動物と対峙する緊張感なんか、いつもドキドキさせております。

    で、今回の『荒蝦夷』。
    これは平安時代の坂上田村麻呂の蝦夷討伐の前夜を書いた作品です。
    同じ系列の作品で『まほろばの風』っていうのがありますが、これは坂上田村麻呂にやられる蝦夷の英雄アルティを主役にして書いているのですが、この『荒蝦夷』はアルティの父親のアザマロを主人公にして書いております。
    同じような内容で同じような話なのですが、『荒蝦夷』のほうが好きですね。
    内容も同じようなのですが、結構違ってきております。
    『荒蝦夷』は蝦夷の大反乱が起こる前に終わっております。

    両方の作品に共通しているのは、蝦夷と大和は別のものであるという認識です。
    別のものだから差別みたいなものもないっているか、最初から違っているから違うものとして接しているっていうかんじですね。
    そこで駆け引きとか争いとかが発生する、異文化同士の争いですね。
    特にアザマロの残虐さを乾いた描写で書いているところはよかったです。

    今度はアルティの反乱が終わった後に、この奥深い森林の中でどうなって奥州藤原氏の栄華に至ったのか、ってかんじの物語を書いて欲しいなぁ、と思います。

  • 「まほろばの疾風(熊谷達也著)」と時代はかぶる
    熊谷達也としては「アザマロ(呰麻呂)はアテルイ(阿弖流為)の父」という設定のようだ
    こちらはアザマロが主人公

    同じ作者だが
    登場人物像が違っていたり
    アザマロの死に様が違っていたり
    する
    筆者の中で蝦夷像が変わったらしい

    他の作者の本も読まなきゃ偏るな・・・
    と思う

    内容は面白い
    アザマロがカッコよく描かれている

    --追伸--
    「火怨(高橋克彦著)」の方が良い。

  • 文明と野蛮の対比。普通と違うのは、野蛮が勝つところ。深みがない。

  • あらすじ(裏表紙より)
    宝亀五(西暦七七四)年、陸奥国の北辺には不穏な火種がくすぶっていた。陸奥を支配せんと着々と迫り来る大和朝廷。そして、その支配に帰属する、あるいは抵抗する北の民、蝦夷。動乱の地に押し寄せる大和の軍勢の前にひとりの荒蝦夷が立ちはだかった。その名は呰麻呂。彼が仕掛ける虚々実々の駆け引きの果て、激突の朝が迫る―。古代東北に繰り広げられる服わざるものたちの叙事詩。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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