負けるのは美しく (集英社文庫)

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著者 : 児玉清
  • 集英社 (2008年3月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462760

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負けるのは美しく (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 2011年に亡くなった、児玉清さんの半生が綴られたエッセイ集。
    若くして亡くなられた娘さんへの愛情がこめられた一冊でもあります。

    アタック25の司会やドラマ『HERO』、『龍馬伝』での印象が強い身としては、
    これほどに「ロマンスグレー」との言葉が似合う方もいないだろうとの思いでしたが。。

    そんな児玉さんの、いまいちぱっとしない映画の俳優時代から、
    テレビというメディアの登場と、そのテレビでのご活躍なども。

    その道筋を追っていく中で「負けるのは美しく」とのフレーズが、
    そこはかとなく浮かび上がってくるようで、引き込まれてしまいました。

    自身にブレない軸を持つのと「負ける」との要素、
    決して相いれない要素ではないな、との勇気もいただきました。

    ふと感じたのが、テレビの広がりに伴う映画の凋落は、
    今のネットの広がりによるテレビの凋落とも通じる部分がありそうだな、と。

    映画サイドから見れば、いつか来た道位に感じているのかもですが、さて。

    そして、娘さんにまつわる最終章では、医療の闇の部分を突き付けられた気がします。
    まだ10年、もう10年、、どちらともとれそうですが、決して他人事ではなく。

    児玉さんの、海堂尊さんの著書に対するレビューを探してみたくなりました、、
    医療従事者向けの情報誌かなんかであったりするようですが、うーん。

  • 穏やかで知的で、絵に描いたような「紳士」。児玉清さんにはこんなイメージを持っていたのだが、この自らの人生を振り返った一冊を読んで、そのある意味では平板な印象は大きく変わった。清潔感のあるダンディな風貌のかげに、こんな苦悩や葛藤があったなんて。

    俳優人生五十年のうち十年にも満たない映画俳優時代のことが多く語られている。あまり芽が出なかったというこの時代だが、児玉さんにとってはやはり原点で、語りたいことがたくさんあるのだろう。映画作りの現場の納得しがたい理不尽さが書かれている所など、児玉さんの意外な硬骨漢ぶりに驚かされる。そしてなんといっても、個性あふれる監督や名優たちとのエピソードが抜群に面白い。オープンカーで疾走する三船敏郎氏とか、じっと空を見上げる森雅之氏の話など、まるで短い映画のようだ。

    最終章では、三十六歳という若さで癌のため亡くなったお嬢さんのことが書かれている。ページから慟哭が聞こえるようで、涙なしには読めない。親としての真情が吐露されており、何をもってしても埋め合わせにはならない、かけがえのないものがあるということを痛切に感じる。

    読書家として知られていた児玉さん、各章の冒頭のエピグラフは英語の引用で、さすがは原書でミステリを読んでいた人だ。所々に本好きとしての姿が顔をのぞかせていて、そこにも惹きつけられた。何で読んだか忘れたが、林真理子さんが成田で見かけた児玉さんは、洋書一冊だけを手にしていて、それを検査機に通してピックアップする姿が颯爽としていたそうだ。うーん、かっこいい。

  • 芸能界一の読書家である、児玉清の半生を綴ったエッセイ、興味深く読み進んだ。
    ひょんなことから飛び込んだ映画界、艱難辛苦ながらも愉快なエピソード。
    やがてテレビへの転身しての活躍。
    そして圧巻は愛娘の死についてつづった最終章。
    児玉清の、洒脱な立ち居振る舞いの裏に隠れた、彼の人柄を偲ばせてくれる。

  • 俳優、タレント、司会者として活躍された児玉清さんのエッセイです。
    映画界に入った時の話から36歳で亡くなった娘の話まで、波乱万丈な人生を綴っています。

    テレビにもたくさん出演し、夢を叶えたいわゆる「勝ち組」だと思っていた児玉さんの本のタイトルが、「負けるのは 美しく」とは一体どういうことだろう、と思いました。
    読み進めても読み進めても児玉さんの誠実なお人柄やユーモア溢れる様子、教養の高さは知れるものの、タイトルの意味がわからない。
    と、思っていたら最後の最後でそれがわかり、はっとさせられました。
    本当に、志の高い方だと思いました。

    常に客観的に冷徹な目で自分を見てきた児玉さん。
    厳しいその目には欠点ばかりが目に付き、挫折感や敗北感の連続だったそうです。その中でいつしか心に期するようになったのが「負けるのは美しく」というモットー。
    ここで言う「負けの美学」とは、試合放棄をすることではなく、懸命に闘う自分を認める大きな心であり、勝ちにこだわりすぎないことで生まれる余裕のことなのかもしれません。

    読書家だけあって、とても素敵な文章を書かれます。
    軽い気持ちで楽しみながら受けた俳優の試験に合格したこと、学生時代に頼まれてフランス語の舞台をこなしたこと、日本語訳が出版されないならと英語の原書に挑戦したこと、1つ1つのエピソードは児玉さんが語るとまるで嫌味にならないんです。
    ご家族の話には思わず涙してしまったほど。

    志高く、それでいてしなやかに生きることを教えてくれる本でした。
    豪傑と呼ばれた俳優や監督がたくさん出てくるのも楽しめる要素の1つです。


    ・大部分の人は「できる」ということの意味をとても簡単に、低いレベルのところで考えていたからだと思えてならない。
    ・俳優という仕事のもたらす、どうにも口惜しくてたまらぬ自分の至らなさ、誰にぶつけようもない、臍を噛む思いを、嘆きを、吸収してくれたのは、そして心底癒してくれたのは、読書であった。(中略)本の中には、僕の現実の世界をはるかに超えた豊かな世界がひろがっている。
    ・A woman is like a teabag. You never know how strong she is until she is in hot water (Eleanor Roosevelt)

  • 亡くなられた児玉清さんのエッセイです。

  • 読書家の児玉清さんのエッセイ集。面白かったし、一話3ページくらいの分量であり、読みやすかった。初めて人のエッセイを全部読んだ気がする。

    児玉清さんの人生の一場面一場面で、何を感じ・どのように考えたのか、が描かれており、人と柄を知れるような一冊。

  •  大学院進学を前に、突然母が急逝。就職活動にはすでに時が過ぎ、書いたことさえ忘れていた履歴書が書類審査をパスしたとのことで、東宝映画の新人面接試験を受けるはめに。
     全く気が進まなかったものの、当日朝亡くなった母の「試験に行きなさい」という声にうながされ、会場へ行くも、時間に遅れるわ、水着を忘れてパンツで審査場に入るハメになるわで、面接は散々なものに。しかし、何が功を奏したのか、これを機に一気に俳優への道が開けて…
     味のある役者として、名司会者として、読書家、書評家としても名高い児玉清さんの自伝エッセイ。

     児玉清さんのことをもっと知りたいと思って、読んでみました。
     思いもかけぬ流れで、くぐった映画の世界、俳優への道。今聞けば理不尽とも思える、全盛期の頃の映画界のしきたり(?)や、少年時代の疎開先でのいじめ、危機一髪で助かった経験あれこれ、そして最愛の娘さんとの永遠の別れ…。
     なんと試練の多い人生だったことか…これを書き終えてからの児玉さんの人生がどうか穏やかであってほしいと願いながら、本を閉じました。

  • 児玉清の半生。

  • 児玉清は、もうこの世にはいない。アタック25の名司会も懐かしくなる。彼の気骨ある文章は、作家ではないが、芯がある。流石に映画俳優。紳士でした。

  • アタック25でお馴染みだった故 児玉清さんの著書。娘さんの章とかは意外なエピソードでビックリしました。

  • 稀代の名司会者だった児玉さん。実はエッセイスト、レビューワーとしても超一流だった。
    でもご本人の自分評は、「負けてばかりの人生」。
    俳優を目指したが映画スターにはなれず、テレビに活路を見出すが、テレビは女優の引き立て役ばかり。
    そんな中でも、ミステリ小説という自分なりの「趣味」を愛し、家族と仕事に誇りを持ち、自分なりの「美学」を築き上げていく。
    知らないうちに、俳優でも司会者でもない、「児玉清」さんそのものの「美学」に、私たちは魅了されていましたね。

    簡潔な文章に、胸がぐっときます。亡くなったあとでも、何回も読み返し、「この人なら友達になれそうだな」と勝手に思っています。
    そして、今日も人生に「ファイティングポーズ」!(アタック25風に^^)

  • 映画俳優としての児玉清さんは、成功者とは言いづらい存在だった。でも、ときおり見せる個性的なえんぎ、存在感はまだまだ期待の持てる俳優だったと思う。とは言え、日本映画界の凋落とともに、テレビを主たる仕事場にせざるをえなかったのだろう。
    本書はそんな人物の回顧記、鈴木英夫監督や堀川弘通監督等の東宝映画の内幕といった面白さもあるが、一人の男の職業人生における戦い、矜持といった世界を見せつけてくれる一冊である。

  • 児玉清さんの半生を綴ったエッセイ。最初の母とパンツが凄く面白かった。
    最後の章の娘さんの話はそんな話があるんだ・・・と少し病院に不信感をもちました。話の中で出てくる俳優さんがほとんど分からなかったけどわかったらもっと
    楽しいんだろうなと思う本でした。

  • お嬢さんのことを書いてるところは ほんとに胸が痛い。

  • 品性と知性と教養を兼ね備えた児玉清さん。
    でも実は、熱い反骨精神と、お茶目な一面もお持ちの寛大で優しい方だったのだなぁ。
    独自の視点を持ちながらも、他者にも優しいのは、文章の語彙や表現の豊かさからも伝わってくるようです。
    往年の俳優さんたちの武勇伝なども披露してくれていますが、俳優として、人としての魅力とはどういうものなのか、考えてみたくなります。
    最終章では、若くして亡くなられた娘さんへの思いが胸にささりました。

    でも途中まで、実は「柳生博さん」の本だと完全に勘違いして読んでいたことは、内緒・・・(苦笑)

  • 役のイメージで敬遠していたけれど、ものすごい読書家だったそう。多くの世の理不尽さ、人間のの多様さなどについての観察眼と抑えた表現力に敬意。

  • 負けるのは美しく。心にズシッと響く児玉清さんのモットー。人には他人にはわからない想いがある。素敵な生き方だ。

  • 映画俳優としての思い出からテレビドラマへの移行について。最終章では娘さんの最期に触れる。
    目の前で話してくれているように、滑らかに理解できる抑揚が上品。

  • 俳優として、読書家としても有名な児玉清さんの半生を描いたエッセイ集。
    とても読みやすかった。
    俳優なのに良い意味で派手さもなく、不器用で真面目な方だったんだなということが伝わってきます。一層好きになりました。
    笑うような内容もあるけど、娘さんのお話には涙がボロボロと出てしまいました。とても良いご家族の関係だったことも伝わってきました。
    あまりエッセイは読まないけど、この本はとても面白かった。

  • 児玉さんに対しては品の良い紳士、というイメージを持っていたのですが、このエッセイを読んで案外おちゃめで少し破天荒な所もあったのだと、ますます好きになりました。
    読者として経験豊富だと書き手としても洗練されるのだな、と思わせる文章でした。

  • 自分にとっての理想の紳士。
    当時、少し前に購入して読もうとしていたところ、まさかの訃報だった。

    児玉清が俳優になってからの半生で出会った人々やさまざまな出来事についてのエッセイ。
    芸能界きっての読書家だったというのは伊達じゃないといった文章。

    いつもどこか醒めているのに、内側にはメラメラと燃えるものも感じる。
    遅刻した挙句水着を忘れてパンツで受けた東宝映画のニューフェイス試験の面接のエピソードや、未来を予言すると突然訪ねてきてから数十年も付き合うことになるアベ神との出会いなどはとてもユーモラス。

    過去の名監督、名俳優達とのエピソードには、黒澤明や三船敏郎が出てきて、
    そのときはまだまだ無名な新人だった児玉清にとっての思い出は、今の自分でも共感できる。
    世界のクロサワに盾突くほどのファイトの持ち主だったというのに驚いた。
    また老年俳優たちの姿に学んでいくエピソードも熱かったり、優しかったりで心を揺さぶる。
    このような昔話ならいくらでも聞いていられそう。

    若くして亡くなった娘さんについて書かれた最後の章がとても感動的だった。

  • 2012年7月13日購入。
    2015年2月26日読了。

  • 資料ID:92111889
    請求記号:
    配置場所:文庫本コーナー

  • 亡くなったのはいつだったか、ついこないだのような気もするが、多分1年はたっているのだろうな。
    一度だけ講演会を聞いたことがあるので、読んでいると余計に切ない。
    まぁ人間だれしもいつかは死ぬ運命だが。
    晩年の児玉氏しか私は知らないが、あの穏やかな知性と人格は「将来を期待されたスターではなかった」からこそ得られたものなんだろうと、この本を読んで思った。
    職業作家ではないが、きっとこの人は本の神様に愛されていたんだろう。
    そんなことを思いつつ、児玉氏を悼む。

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負けるのは美しく (集英社文庫)の作品紹介

就職活動の一環としてなりゆきで受けた東宝映画のニューフェイス試験で、遅刻した上に水着を忘れ、パンツ姿で面接したが見事合格したこと。生来の天邪鬼が顔を出し、天下の黒澤明監督にたてついてしまった新人のころ。大スター三船敏郎をはじめとする数々の名優との思い出。運命の出会いと結婚、そして36歳という若さで逝った最愛の娘。読む人の心を静かにそっと揺さぶる感動のエッセイ。

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