負けるのは美しく (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462760

感想・レビュー・書評

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  • 稀代の名司会者だった児玉さん。実はエッセイスト、レビューワーとしても超一流だった。
    でもご本人の自分評は、「負けてばかりの人生」。
    俳優を目指したが映画スターにはなれず、テレビに活路を見出すが、テレビは女優の引き立て役ばかり。
    そんな中でも、ミステリ小説という自分なりの「趣味」を愛し、家族と仕事に誇りを持ち、自分なりの「美学」を築き上げていく。
    知らないうちに、俳優でも司会者でもない、「児玉清」さんそのものの「美学」に、私たちは魅了されていましたね。

    簡潔な文章に、胸がぐっときます。亡くなったあとでも、何回も読み返し、「この人なら友達になれそうだな」と勝手に思っています。
    そして、今日も人生に「ファイティングポーズ」!(アタック25風に^^)

  • 映画俳優としての児玉清さんは、成功者とは言いづらい存在だった。でも、ときおり見せる個性的なえんぎ、存在感はまだまだ期待の持てる俳優だったと思う。とは言え、日本映画界の凋落とともに、テレビを主たる仕事場にせざるをえなかったのだろう。
    本書はそんな人物の回顧記、鈴木英夫監督や堀川弘通監督等の東宝映画の内幕といった面白さもあるが、一人の男の職業人生における戦い、矜持といった世界を見せつけてくれる一冊である。

  • 児玉清さんの半生を綴ったエッセイ。最初の母とパンツが凄く面白かった。
    最後の章の娘さんの話はそんな話があるんだ・・・と少し病院に不信感をもちました。話の中で出てくる俳優さんがほとんど分からなかったけどわかったらもっと
    楽しいんだろうなと思う本でした。

  • お嬢さんのことを書いてるところは ほんとに胸が痛い。

  • 品性と知性と教養を兼ね備えた児玉清さん。
    でも実は、熱い反骨精神と、お茶目な一面もお持ちの寛大で優しい方だったのだなぁ。
    独自の視点を持ちながらも、他者にも優しいのは、文章の語彙や表現の豊かさからも伝わってくるようです。
    往年の俳優さんたちの武勇伝なども披露してくれていますが、俳優として、人としての魅力とはどういうものなのか、考えてみたくなります。
    最終章では、若くして亡くなられた娘さんへの思いが胸にささりました。

    でも途中まで、実は「柳生博さん」の本だと完全に勘違いして読んでいたことは、内緒・・・(苦笑)

  • 負けるのは美しく。心にズシッと響く児玉清さんのモットー。人には他人にはわからない想いがある。素敵な生き方だ。

  • 映画俳優としての思い出からテレビドラマへの移行について。最終章では娘さんの最期に触れる。
    目の前で話してくれているように、滑らかに理解できる抑揚が上品。

  • 俳優として、読書家としても有名な児玉清さんの半生を描いたエッセイ集。
    とても読みやすかった。
    俳優なのに良い意味で派手さもなく、不器用で真面目な方だったんだなということが伝わってきます。一層好きになりました。
    笑うような内容もあるけど、娘さんのお話には涙がボロボロと出てしまいました。とても良いご家族の関係だったことも伝わってきました。
    あまりエッセイは読まないけど、この本はとても面白かった。

  • 児玉さんに対しては品の良い紳士、というイメージを持っていたのですが、このエッセイを読んで案外おちゃめで少し破天荒な所もあったのだと、ますます好きになりました。
    読者として経験豊富だと書き手としても洗練されるのだな、と思わせる文章でした。

  • 自分にとっての理想の紳士。
    当時、少し前に購入して読もうとしていたところ、まさかの訃報だった。

    児玉清が俳優になってからの半生で出会った人々やさまざまな出来事についてのエッセイ。
    芸能界きっての読書家だったというのは伊達じゃないといった文章。

    いつもどこか醒めているのに、内側にはメラメラと燃えるものも感じる。
    遅刻した挙句水着を忘れてパンツで受けた東宝映画のニューフェイス試験の面接のエピソードや、未来を予言すると突然訪ねてきてから数十年も付き合うことになるアベ神との出会いなどはとてもユーモラス。

    過去の名監督、名俳優達とのエピソードには、黒澤明や三船敏郎が出てきて、
    そのときはまだまだ無名な新人だった児玉清にとっての思い出は、今の自分でも共感できる。
    世界のクロサワに盾突くほどのファイトの持ち主だったというのに驚いた。
    また老年俳優たちの姿に学んでいくエピソードも熱かったり、優しかったりで心を揺さぶる。
    このような昔話ならいくらでも聞いていられそう。

    若くして亡くなった娘さんについて書かれた最後の章がとても感動的だった。

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