水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.34
  • (257)
  • (139)
  • (76)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 1419
感想 : 134
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462821

作品紹介・あらすじ

最終決戦の秋が訪れる。童貫はその存在の全てを懸けて総攻撃を仕掛けてきた。梁山泊は宋江自らが出陣して迎え撃つ。一方、流花寨にも趙安が進攻し、花栄が死力を尽くし防戦していた。壮絶な闘いによって同志が次々と戦死していく中、遂に童貫の首を取る好機が訪れる。史進と楊令は、童貫に向かって流星の如く駈けた。この国に光は射すのか。漢たちの志は民を救えるのか。北方水滸、永遠の最終巻。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「志」とはなんなのか?

    「替天行道」とはなんなのか?

    宋江は言った、それは「光」だと

    そして楊令はそれを信じて前に進むと決めた

    どが〜ん!!!(急な爆発音)

    これでもかと死にまくる『水滸伝』最終巻!

    読みたくなかった!

    「志」なんか捨てて生きてて欲しかった!

    『楊令伝』なんていらんねん!

    宋江から楊令への魂の受け渡しなんていらんいらん!

    梁山泊大勝利!!でええやんか!

    ええやんか〜。゚(゚´Д`゚)゚。

    ええやんか〜〜。゚(゚´Д`゚)゚。


    はい、最後の一〇八星ぜんぜん違うじゃん!はもちろんこの人!!

    梁山泊の好漢百八人中の序列第一位の好漢
    天魁星の呼保義(こほうぎ)宋江です!

    保義はあまり位の高くない役職で、呼保義は「あっしのことは小役人って呼んでくだせえ」って意味です
    まぁ謙遜してるってことなんだけど、自分で言うとなんかいやらしいw

    オリジナルでは見た目的にはかなり貧相ですが、義に厚く誰彼かまわず助けちゃうので、なんやかんやでみんなに好かれちゃいます

    そこに葛藤みたいなんもあって、なんで自分こんな人気者なの?って思い続けていて、オリジナルでもなかなか頭領になろうとしません

    もうぐだぐだ言うなや!と思います
    ここまではオリジナルも『北方水滸伝』も一緒なんです

    最大の違いは、オリジナルの宋江はあくまでも「反乱」を起こしてるんですよ
    世の中が乱れてるのは役人が好き勝手やってるのが悪い!そいつらを片っ端からやっつけて宋という国を立て直そう!というのがオリジナル宋江の掲げる「替天行道」なんですよね
    加えてオリジナルの「替天行道」には「忠義双全」という言葉もくっついていて
    これは宋の皇帝に忠義を尽しますということで、実際オリジナルでは梁山泊は官軍に取り立てられて地方の反乱を討伐にいったりすんですよ

    対して『北方水滸伝』は宋という国そのものを打ち倒して新しい国家を作ろうとしているわけです
    これはそう「革命」ですよね
    なので『北方水滸伝』には「忠義双全」って一切登場しません

    「替天行道」ってまぁめちゃくちゃわかりやすくいうと「天に代わっておしおきよ!」ってことなんだけどオリジナル宋江と北方宋江では「天」の捉え方がぜんぜん違うのです




    よーし『楊令伝』だ!


    あ、王英さんの散り様…かなりかっこよかったです
    ありがとう北方謙三アニキ(´Д⊂ヽ

    • ひまわりめろんさん
      『楊家将』は『楊令伝』の前に読む予定です!
      楽しみ!
      『楊家将』は『楊令伝』の前に読む予定です!
      楽しみ!
      2023/11/08
    • kuma0504さん
      おお、さすが最終巻。この時に宋江に言及しなかったら他にできないもんね。
      そう、これは革命の物語、多分解説で他の方が述べているので書きますが、...
      おお、さすが最終巻。この時に宋江に言及しなかったら他にできないもんね。
      そう、これは革命の物語、多分解説で他の方が述べているので書きますが、北方謙三版キューバ革命物語なんです。だから、宋江は政府に擦り寄って行ったりしない。

      私も、この時点でで楊家将と血涙読みました。出版社が違うので、読本には出てきませんが、もうこれがシリーズ一体のお話です。これがあるから私はチンギス紀読もうと思っているんだけど、なかなか文庫化されない‥‥。
      2023/11/09
    • ひまわりめろんさん
      クマさん
      こんにちは!

      はい、やっぱり宋江なんですよね
      当たり前なんですがオリジナル宋江と北方宋江は全くの別人なんですよね
      そして(自分の...
      クマさん
      こんにちは!

      はい、やっぱり宋江なんですよね
      当たり前なんですがオリジナル宋江と北方宋江は全くの別人なんですよね
      そして(自分のレビューでは人にスポットを当てましたが)最大の違いは中国で生まれた物語か、日本で生まれた物語かってところだと思っていて、その辺読本で言及されていると嬉しいなと思ってます

      はい『楊家将』読みます
      先人たちの貴重なご意見に素直に従います

      で、時間はかかるでしょうが、『チンギス』も『三国志』も『史記』も読むつもりでいます!
      2023/11/09
  • 全19巻の最終巻。その全体の感想。

    やっと読み終えました。
    いや〜、長かったです。一年近くかかりました。
    途中、他に寄り道したり、そもそも記憶力のない私にとって、余りにも人が多すぎ覚えられな為、何度も読み直してもわからず、最後はノートに記録を取りながら進めました。

    しかしながら著者の北方さんの素晴らしさはその多くの人物一人一人にドラマを持たせ魅力的に描いている所です。

    個人的には戦いより、戦いの合間などで発したふとした言葉が北方流でそれが楽しみでした。

    ただ、男女のまぐわいに関してはこれも哲学的に述べていますが、ただのエロだろ?とツッコんでしまいますが。。。

    この後、話は楊令伝、岳飛伝と引き継がれ楽しみは尽きません。


  • 遂に読み終えた。全19巻。
    何が心を照らす光となるのか。
    志、友、絆、伴侶、子ども、、、
    そうやって言葉にしてしまえるほど
    単純ではないのだが
    自分にとっての光となるものを見つけ、
    それを守り貫くために
    懸命に生きた漢たちがいた。

    梁山泊の中には、抜きん出て強い者もいるが、
    泳ぎの得意な者、
    筆跡を真似るのに長けた者、
    名医、薬剤師、馬泥棒、
    大砲作りに魅せられた者など
    実に多様な人材が揃っていた。
    梁山泊は如何なる者をも活かす場所であり
    それは私達の社会においても
    参考にされるべき点だろう。

    王進の住む子午山では、
    自分たちは生かされているという意識のもと
    晴耕雨読の丁寧な暮らしが為されていた。
    時間に追われて生きる現代の私達にも
    こういったゆったりした一時が必要ではないか。

    いろいろな場面で、こんなにも大きく心が揺さぶられる作品を読み終えることができて幸せだ。
    物語は楊令伝へと続くが、今後ますます成長するであろう楊令を見る前に、自分自身を成長させたい。今よりも成長できたと思えたときに、楊令伝を読み始めることにしよう。

    • 地球っこさん
      yukimi516さん、こんばんは。
      水滸伝全19巻読了お疲れさまでした。
      yukimi516さんの
      『こんなにも大きく心が揺さぶられ...
      yukimi516さん、こんばんは。
      水滸伝全19巻読了お疲れさまでした。
      yukimi516さんの
      『こんなにも大きく心が揺さぶられる作品を読み終えることができて幸せだ。』
      の言葉に、感動とか熱い思いがとても伝わってきました。
      私はまだそんなにも長いシリーズを読み終えたことがありません。途中で止まってるのもあります。
      いつかは「水滸伝」も「三国志」も挑戦したいのですが、最後まで読めるか自信がなくて。
      でも、yukimi516さんのレビューを拝読させていただき、いつかは絶対挑戦してやるぞと気合いが入りました。
      これからもレビュー楽しみにしてます。
      ありがとうございました(*^^*)


      2019/12/06
    • yukimi516さん
      地球っこさん(^^)
      たくさんの本を読まれていていつも素敵なレビューを書かれている地球っこさんにコメントいただけてとても嬉しいです!
      あ...
      地球っこさん(^^)
      たくさんの本を読まれていていつも素敵なレビューを書かれている地球っこさんにコメントいただけてとても嬉しいです!
      ありがとうございます(^^)
      私は大学の頃吉川さんの三国志は半ばで挫折しましたが、今回北方さんの水滸伝は夢中になって読みました。登場人物も150人は下らないほど多いですが、彼ら一人ひとりの物語を通して自分の人生をもっと能動的に生きていきたいと強く思いました。残酷な場面も多々ありましたが、総じて素晴らしい作品ですので地球っこさんにもぜひ読んでいただけると嬉しいです!
      私は地球っ子さんのレビューを見て、十二国記を読みたいなと思っていました(^^)
      こちらこそ、地球っこさんのレビューを今後もも楽しみにしています!
      これからもよろしくお願いします(^o^)
      2019/12/07
    • 地球っこさん
      yukimi516さん、お返事ありがとうございます!
      yukimi516さんが出逢った「水滸伝」のように、自分の人生に影響を与える本との出...
      yukimi516さん、お返事ありがとうございます!
      yukimi516さんが出逢った「水滸伝」のように、自分の人生に影響を与える本との出逢いは本当に宝物ですよね。胸がいっぱいになります。
      「十二国記」は、私にとって出逢えてよかったと思えた物語です。
      yukimi516さんにも気に入ってもらえたら嬉しいです(*^^*)
      2019/12/07
  • 続編ありきの終わり方。救いがあると言えばあるけれど、気になる伏線の回収がなくモヤモヤ感も。できれば楊令と直接関係ないエピソードはいったん完結してほしかったが…。まあそれはともかく、読む方も力が入りまくる最終決戦は、まるで壇ノ浦の戦いのよう。好漢たちの壮絶な死に様と、梁山泊岩山のラストシーンが頭から離れない。それまでの水滸伝のイメージを覆す、ハードボイルドな北方版も悪くなかった。いやむしろ本家を超える面白さと言ってもいいくらい。もっと早く読み終えていれば、今頃はチンギス・カンを追っていただろうに。

  • もう15年も前になるだろうか、
    わくわくしながら図書館で次の予約をしていた「水滸伝」を
    借りて読むことが大きな愉しみのひとつだった
    それから数年前に
    文庫で北方判「水滸伝」が出ていたので
    全巻を揃えて、本棚に並べていた

    二年ほど前から、ジムに行くようになって
    そのジムに自転車漕ぎ(エアロバイクというそうな)が
    あった
    背もたれがついている優れもので
    その背もたれのお陰で「読書」ができる。
    そうです!
    自転車を漕ぎながら、北方「水滸伝」を読む
    これは なかなかの爽快な時間です
    数年前に買っていたこの「水滸伝」を
    こんな形で再読できるとは…

    はい
    次は もちろん「楊令伝」が
    エアロバイクの御伴になります

  • かっこいい
    楊令伝も読みたい

  • 水滸伝シリーズ読了

    想像通りの結末とはいえ、残酷な結末だった。日本の作品ではあまりみたことのない結末だ。

    作品を読んでいた感じたことは2つ。人があまりにもたやすく死んでいくこと。男たちが決して諦めない、信じてやまないこと。

    人の生は一瞬で終わってしまうんだなと、感じた。力無いものはもちろんだが、力のある勇敢な男たちでさえ、生命が終わる。人は死といつも隣り合わせなんだなと感じさせられた。同時に、それが辛くて読むのをやめたくなる、目を背けたくなった。

    ただ、仲間が次々に生命の火を消す中、どれだけ苦しい状況でも諦めることはしない男たちに胸を打たれた。諦めることが彼への1番の冒涜だと知っているから。生き残ったものが、彼らの死を痛むときもない。志を果たすことが、消えたものたちの悲願だから、どんな苦しくても信じ抜く、芯の強い男たちばかり。だったわけでもないが、それぞれに思うことが、一人一人が自らの思いをぶつける場として梁山泊があったのかな。一人一人の人間性が溢れる物語。


    それぞれの生に物語がある。
    死んだあと、誰か一人でも覚えてくれていたら嬉しいな。

  • 1ヶ月強で水滸伝19巻を完走。我ながら暴走族。面白かった、小説を読んでこんなに泣いたのは初めてでした。

    今回は最初に解説コーナー
    読みながら憤りしか生まれてこない解説だった。最終巻なのに。この感想の最後に怒るのは嫌だったのでここで成仏させておく。イイオトコばかりの北方水滸伝は女の桃源郷だと。笑わせんな。よし。怒るのはこれでおわります!

    感想
    「呉用殿を好きでも、嫌いでもない。それは他の人でも同じです。そういうことは、考えないようにしているのですよ」と言う燕青に、好きだ、と思われたい。(ここにきてリアコ発動)

    王家で育った史進と楊令の兄弟弟子の戦場でのやり取りが良かった。負けた楊令に喝を入れる史進。これでこそ漢よ!!!

    恐怖を抑えて眠る童貫と星を見る宋江という対比に震えた。二人に性格診断してみてほしい。
    「宋江は、星を見ていた。」この一文だけで胸がぎゅっとなる。星の下で自分の存在意義を、死んで行った同志たちを想う宋江。空のように高いその心がみんなには必要なのだから。

    ここまではメモとりながら読めてたんですよ。
    でももう居た堪れなくなって、静かな場所を求めて近所の公園へ。星が綺麗だった。

    流花寨。
    趙安まで惜しかった。流花寨はできた時からずっと苦しかったよね花栄。防壁が破られて、もう無理だと判断した花栄が出す「散れ」という合図。方々に散るっていう令ではあるけど、花栄が流花寨と共に散ることを決意した場面。流花寨を奪われるということは、命を奪われることと同じ。絶対にそうするって分かってた。秦明と同じことをするって。最期に弓を使う手を切り落とされても流れなかった花栄の執念。花は栄えど枯れなかった。

    童貫との戦い、苦しかったね。どうしても呼吸を止めて読んでしまった。休む間も無く童貫がしつこく攻めてくるのが本当にしんどかった。将校たちも数多く死んで行ったけど、それぞれが戦い抜いたのを見届けられて良かった。王英!最期かっこよかったで!!!

    梁山泊。
    職人達が死んでいくのが本当に悲しかった。凌振、かっこよかったよぉぉ。泣
    李雲も湯隆も戦わんと逃げてほしかった。
    大大大好きな安道全も弟子達に託して…薛永とは絶対に良いペアになるって一巻で私確信してたの!その通りやったね。。。薛永が剣を振るう姿、かっこよかったよぉ。李逵。李逵。李逵が死ぬはずないと思ってた。武松と一緒に生き延びるって。泳がれへん水の中で怖かったやろうな。李逵。李逵が料理するところも人と上手くやれないところも石を割るところもずっとずっと見たかったよ。悲しすぎる。

    呉用と宋江は梁山泊の一部だったから、もう死ぬしかないとは思っていた。
    すぐに顔に出ちゃう呉用の嘘。ずっとずっとずーーーっと、文句を言われようが全てに目を配って戦い続けた呉用。裏で嫌われる呉用を見るのが辛くて目を背けてしまっていたなぁ。
    そして、最期まで自分の弱さと向き合った宋江。それが強いんやけど。替天行道という志を楊令に受け継いで死んで行った宋江。
    楊令と宋江の会話、何度でも読み直したい。最期まで宋江が宋江らしくて救われた。
    二人の存在の素晴らしさは讃えきれない。

    二人だけじゃない、百八人の豪傑たちが見せてくれた生き様と死に様がこの物語にはある。自分の中にも志を。豪傑のような生き方を。全う出来ずともその姿勢であり続けたい。

    推しの生存率が高めで嬉しかった。
    楊令伝、いくぞー!!!!!!!! 

  • 4.3

    ちょうど4ヶ月。活字初心者が仕事をしながら読み切った。今後の人生で、これほどまでに読みたくて仕方がなくなる作品に出会えるのだろうか。

    俺が宗の民だったら、俺が梁山泊の兵士だったら、どんな感情だったのだろう。
    実際に体験しているわけではなく、ただ連なる文字を読んでいるだけなのにここまで心が動くとは、4ヶ月前の俺は全く想像していなかっただろう。

  • 北方水滸伝全19卷を読了。
    水滸伝そのものを読むのが始めてなので、古典原作と比較しての改編の凄さは分からないものの、梁山泊と宋との対決という大枠のストーリーの中に、多種多様なタイプの人間を、それぞれの特長に合わせて人間くさーく展開させていく筋立てが凄すぎて、むさぼるように読みつくすのでした。
    夜中の2時にミルクあげた後に訪れる1人の平穏な時間を使って、ついつい読みふけってしまい、寝不足な日々を長々と続けてきましたが、これでようやく日常生活に戻れる!と思ったのに、あんな終わり方するんなんて、、、まんまと楊令伝を読みたがってる自分がいる。手を出すか出すまいか、迷うところだが、きっと近いうちに大人買いするんだろうな。

全134件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北方謙三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×