黒笑小説 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 565
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462845

作品紹介・あらすじ

作家の寒川は、文学賞の選考結果を編集者と待っていた。「賞をもらうために小説を書いているわけじゃない」と格好をつけながら、内心は賞が欲しくて欲しくてたまらない。一方、編集者は「受賞を信じている」と熱弁しながら、心の中で無理だなとつぶやく。そして遂に電話が鳴って-。文学賞をめぐる人間模様を皮肉たっぷりに描いた「もうひとつの助走」をはじめ、黒い笑いに満ちた傑作が満載の短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾の◯笑小説第3弾。
    小説家として活動する東野先生だけあり、文壇界の裏側の黒い部分をこれでもかと盛り込まれていてとても面白かった。文壇にかじりつこうとした寒川や一回の授賞で調子に乗ってしまった熱海など、既に「過去の人」となってしまった彼らが出版界から切り捨てられていく姿がとても滑稽でとても印象的でした。
    またそれ以外にもモテようと悩む青年やストーカーをして欲しい女性など端から見れば変だけどどこか可笑しい人たちの日常を皮肉る形で、しかし暗くしないように「黒い」笑いとして描いている所が面白かったです。
    最後の歪笑小説を読むのがとても楽しみです。

  • ブラックユーモアに思わず笑ってしまう短編小説。
    ニヤけてしまうので、外で読むには注意が必要だ。

    東野圭吾の○笑小説シリーズはこれで完読。
    4作品全て、ユーモアに溢れておもしろかった。

    "笑える小説"をこれからも探して読んでいきたい。

  • 長らくの積読本でした。が、
    めちゃくちゃ面白い!こういう作品好きです。

    ブラックユーモアが過ぎて、他人が信用出来なくなる。
    嘘だってわかってるんだけど、実際起こりそうに思えてワクワクする。
    そんな殺生な…だけど、他人が心の中でどう思っているかなんてわからない。

    下ネタな感じもまた良い。
    あぁ、男子にありがち?と女性からしたらベタな感じがするが、実際どうなの?と聞きたい。

    どれもみんな面白かったが、『選考会』『臨海家族』『シンデレラ白夜行』『笑わない男』あたりが特に面白かったかな。

    奥田英朗の解説も、作品と作者を深掘りできて良かった。

  • 怪笑小説、毒笑小説に続いての黒笑小説。

    期待感がありすぎてか前の2冊より笑撃が少ないか…と思ったけれど後半の短編はやっぱり楽しかった。
    強かなシンデレラとか、見栄の為に恋人をストーカーに仕立てたり(私にはそう思えた)、臨界家族とか身に覚えのある話だとか…。

    気楽にさらっと楽しめた。

  • 黒笑という題が内容にピッタリだなと感じた。

    嘲笑とまではいかないまでも、人間の行動の恥ずかしい?勘違いなど見ていて辛くなってくる部分が多分にあった。しかし引き込まれるような内容だった。

  • 笑小説4冊詠み終えた。
    歪笑小説の登場人物が出てきたのが◎
    あとは大したことなかった。

  • 3.7
    →ユーモア短編集でクスリと笑えるシーンがたくさんありました!後半になるにつれて面白い話が多くて、特に「シンデレラ白夜行」が実際のシンデレラとは異なっていて、その違いがすごく面白かったです!

  • 13作から成る短編集です。

    【もうひとつの助走】
    喫茶店で文学賞の選考結果を待つ作家と編集者、それぞれの思惑があり哀切な気持ちになります。クスリと笑えるオチがついているけれど、作家からしたらたまったものじゃないだろうな…。

    【線香花火】
    新人賞を受賞したことにより、親戚一同の期待を背負って華々しく作家デビュー…とはうまくいかないんですね。作家だとうとそうじゃなかろうと、稼ぎ続けるって難しいことです。

    【過去の人】
    「授賞式が終われば過去の人だ」なんてことだ…!このお話がどこまで現実に沿ったものなのかはわからないけれど、面白い話を書き続けられる人であるか、もしくはルックスが良いか、そんな人たちだけが生き残れる世界であることが察せます。世知辛い。

    【選考会】
    誰の何のための選考会であるかは後半部分で明らかになります。社長さん、恐ろしいことを考えるなぁ…。前半部分の作品に対する評価は少しむかむかする部分もあったので、後半部分が痛快で楽しく読めました。

    ここまでの4編のストーリーが連続していて、ここからはひと作品ごとに独立したお話となっています。

    【巨乳妄想症候群】
    胸は大きければ大きいほど良いという、世の中の行き過ぎた価値観にチクリと釘を刺す作品。全面的に信じているわけじゃないけれど、ネオテニー説による説明が興味深かったです。

    【インポグラ】
    勃起出来なくする薬を開発した男とそれを売り出す男の話。その薬の使い道の多さや発想に唖然。世の中みんな、そんなに股間に左右されて生きてますっけ…?性愛ってグロテスクだなぁとしみじみ。

    【みえすぎ】
    朝起きたらその空間に浮遊する粉塵がみえすぎるようになってしまった男の話です。色々なものがはっきりみえすぎてしまうのもお得なのか損なのか…考えてしまいます。

    【モテモテ・スプレー】
    モテない人間のモテない理由と、その対処法と、それを逆手にとったオチが愉快でした。人間の魅力はMHCという遺伝的な要素だけで決まるわけないでしょう!そう思いたい。

    【シンデレラ白夜行】
    これは…!!(笑)白夜行の唐沢雪穂さんですね!?ですよね?(笑)シンデレラという童話も少し視点を変えれば、もしかしたらこういうことだったのかもしれないと思わせる痛快かつ驚愕の一作でした。父親に再婚を指示するところなんて雪穂そのものじゃないか。こういう作品、好きです。ツボ。

    【ストーカー入門】
    ストーカーしろと指示する元カノの意図が分からず、読んでいて困惑しっぱなしでした。男の方もよくのってあげるな。ストーカーのプロ(?)の方々、すごいけれど怖い。

    【臨界家族】
    あ〜これ!そう、子供同士って仲間内で自分だけ知らないとか自分だけ持っていないとかそういうことがあると本当に辛いし疎外感かんじてしまいますよね。昔の色々なこと思い出してきて辛くなってしまいました…(苦笑)幼児向けアニメのグッズなんて、お金を出すのは当然大人なわけであって、玩具メーカーがその辺念入りに考えるのも当たり前ですよね。

    【笑わない男】
    お笑いコンビ2人のおふざけっぷりがなんだか滑稽で、終始冷めた目で読み進めてしまいました。オチのボーイの対応が痛快でした。

    【奇跡の一枚】
    東野圭吾さんらしいホロリと泣かせにかかる話。人の容姿についてあれこれ言うのは友人だろうと家族だろうとあまり品の無い行為だなと少し萎えてしまいました。しかしまあ、亡き妻の写真を衝動的に燃やすってどうなんですか?ねえ?

  • 読書習慣のない方に読書の楽しさを感じて頂くきっかけに、東野圭吾さんの短編集が適しているのではないかと思い読んでいる数冊の中の一つです。
    あり得ないような設定のお話もありますが、いずれもその設定を通して真実を浮彫りにしていると感じました。
    嘘の中の本当の話。
    いろんな人の心の中を垣間見られて面白かったです。
    どちらかというと男性向けのお話が多かったですね。

  • 黒笑小説
    東野圭吾

    ∞----------------------∞

    -もうひとつの助走-
    頑張ってるなら賞獲りたいよね。
    心の内面が書かれてるのが面白い。このうちの1人が自分だったとしても充分有り得ると思いつつ、全員の内面が分かると笑えるって何なんだろう。

    -線香花火-
    今年は優秀な人がいなかった、で済ます賞もあったはず。

    -過去の人-
    「受賞式が終われば過去の人」ってすごいセリフだ。

    -選考会-
    偽の選考会で、誰が見る目がないかを調べるって画期的。

    -巨乳妄想症候群-
    作家の話が続くかと思いきや突然巨乳の話題で笑った。お椀型のものが乳に見えたり、女子はみんな巨乳に見えたり。幸せだね。

    -インポグラ-
    バイアグラならぬ。浮気防止で飲ませるのもなるほどだけど、プラセボ効果を利用する奥様が素晴らしい。

    -みえすぎ-
    もう世の中の色んなものが見えすぎちゃって困ってる。今だと電磁波とかも見えそう。

    -モテモテ・スプレー-
    モテるスプレーを欲しがる人の遺伝子からモテないスプレーを開発。商品の素になった男性がお気の毒すぎる。

    -シンデレラ白夜行-
    魔法のないシンデレラ。彼女にとっては継母や義姉たちのいじめは想定内。悲劇も絵になる。

    -ストーカー入門-
    別れようと言う彼女からストーカーすることを命じられる。最後は、ゴミを漁られていない=寂しい人のような...

    -臨界家族-
    玩具として商品化できることを前提にアニメの小道具が作られる。しかも前出のアニメ玩具の備品では代用できない。臨界地点にいる家族が揃えたところで新しいアニメが始まる

    -笑わない男-
    お笑い芸人2人が笑わないホテルのボーイを笑わそうと必死。色々やってようやく笑ったのは彼らがお笑い芸人だということ。

    -奇跡の一枚-
    お多福顔の妹が美人に写った奇跡の写真。実はそれは亡くなった母の顔だった。

    2024/01/30 読了

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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