広瀬正・小説全集・1 マイナス・ゼロ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 245
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463248

作品紹介・あらすじ

1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械-それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • バックトゥザ・フューチャーや
    ドラえもんなど
    昔からタイムマシンものは
    ワクワクする気分にしてくれるなぁ。

    タイムマシンがあったら、
    未来の世界を見たい方が強いかな?
    って思っていたけど、
    少し昔の日本を見てみたい気持ちに
    させられました。

    長い話だったけど、
    まだまだ読んでいたいって思える作品でした。

  • 結末は圧巻。タイムトラベルものは後半になるにつれ面白くて止まらない。
    また、昭和初期の風景が目に浮かぶ。現代とはモノが少なく生活環境は厳しいだろうが、人間味溢れるシーンが多く、この時代の日本は戦争以外は幸せだったのかもしれない。

  • 長い長い時間旅行でした。
    タイムトラベルものが気になってきたのなら、おすすめです。ぜひ読んでみてくださいね。
    SF初心者でも、じゅうぶんに楽しめますよ。

    主人公の俊夫が戦時中の少年時代、空襲のさなか、息絶えようとする隣人の「先生」から、18年後の今日、ここに来てほしいという奇妙な頼まれごとをされました。その約束の日、俊夫が目にしたのは不思議な機械タイムマシン……と中から出てきた見覚えのある少女でした。
    俊夫は、そのタイムマシンを使ってひとり時を越え、31年前の昭和7年の東京にたどり着きます。ここで、とあるアクシデントによりタイムマシンを失った彼は、長い長い過去の時間を過ごすことになってしまいます。
    だけど、この気が遠くなりそうな過去からの道のりに、俊夫は悲観的になるのかと言えば決してそうではありません。彼は飄々と生きていきます。その間に恋もするし(あれ、未来においてきた少女は?)、永遠の別れも経験します。商売にも手を出しました。さらには戦地で戦うことにもなります。
    なかでも居候させてもらっているカシラ夫妻の気っぷのよさと人情味溢れるやりとりには、SFを読んでいることを暫し忘れてしまうほどです。
    つまりタイムトラベル先の「昭和」の東京を、存分に味わうことが出来るのです。

    プラス・ゼロからプラス18。そしてマイナス31、ゼロと時間は流れ、マイナスゼロとなったとき。
    この結末には、心躍ってしまいました。かなりの驚きと全てがカチリとはまり込んだ充足感に満たされます。
    所々に現れるさらりと見逃してしまうくらいのちょっとした謎も、ちゃんと最後には解決されていてスカッとします。分厚い本だったけれど、最後まで頑張って読んで良かったと思える一冊でした。

  • おもしろい。
    とにかくおもしろい。
    こんなにおもしろいSF物語は、そうそうお目にかかれません。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    時は1945年。
    主人公の浜田俊夫少年は、空襲のさなか、息絶えようとする隣人の「先生」から、「18年後に、この場所に来てほしい」と頼まれます。

    おとなになった浜田は、「先生」 との約束通り、18年後にその場所をおとずれます。
    そこで浜田が目にしたのは、タイムマシンと、ある女性の姿でした…
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    冒頭部分の読みにくい文章に、面食らった方もいるかもしれません。
    正直、そこは読み飛ばしてよいので、次のページを必ずめくってください。
    物語の世界に入りこんでしまう文章が、そこから瞬く間に広がっていきます。

    この小説は「プラス・ゼロ」「プラス18」「マイナス31」「ゼロ」「マイナス・ゼロ」という、ふしぎな響きの章から成っています。

    はじめはその章タイトルの意味がさっぱりわからなかったのですが、読み終わってようやく意味を知り、「そうだったのか…」と、ぼう然としました。

    「プラス・ゼロ」「プラス18」までは想定範囲内の話運びで、「マイナス31」も、ところどころ「?」と思うところはあるものの、8割方は「ふむふむ」という感じで読み進めました。

    しかし、その様子がすこしずつ変わってきたのは、「ゼロ」の章からでした。

    「マイナス31」であらわれていた伏線が、すこし回収に入りつつある…と思いきや、終章「マイナス・ゼロ」では、「えっ??」という角度から新たな真実があらわれ、物語は終わりを迎えたのです。

    実は最初、終章「マイナス・ゼロ」で回収されていく伏線の真実の意味が、よくのみこめませんでした。

    しかしネットで「登場人物の年表」を発見し、物語と見比べて整理することで、ようやく種明かしを理解したと同時に、とてつもないおもしろさが一気におしよせてきたのです。
    (年表をつくってくださった方、ありがとうございました。)

    この物語を考えて書き上げた著者のすごさに、心底しびれます。
    なにしろこの小説がはじめて単行本化されたのは、平成でも令和でもなく、「昭和45年」なのですから…

    伏線はすべて回収されますが、ひとつだけちょっと無理があるんじゃないかなというところ(494・495ページ)が含まれています。
    そのため☆は4つにはしましたが、その点をさしひいても、見事なSF物語でした。

  • 最高に面白い作品。

    時間旅行モノの王道SFでありながら、穏やかでノスタルジックな読み口。が、油断してると最終盤で一気にこちらの度肝を抜いてくる。
    タネが明かされた絶望から希望への転進と、それを後押しする人物が何と…という粋な演出。

    解説は星新一氏。なんという贅沢。


    新版5刷
    2021.4.4

  • 文句なしの星5つ。
    こんな本に出会わせてくれたブクログに感謝。

  • タイムトラベル、タイムパラドックスもの。
    ちょっとしたミスや小道具が、結末で色々噛み合って爽快感があった。人物が行ったり来たりでそういうことか!と思うことばかり。
    17歳の少女なのに急に夫婦っぽくなってしまったりタバコ好きだったり昭和感も残っているけれど、やはりSF好きの人の中では名作と呼ばれるだけあります。タイムトラベルとは別の要素で、昭和初期の下町の庶民の家族の雰囲気が生き生きと伝わってくることも大きな魅力。

  • 昭和初期の東京を舞台にしたSF小説。‬

    ‪戦前の庶民の暮らしや価値観の描写が生き生きと魅力的だった。貴重な資料を読んでいるような気分になる。‬自分もタイムトラベルしたようだ。
    ‪丁寧に文字を追っていたが、後半の畳み掛けは食い入るように読んだ。タイムトラベル小説の金字塔とされる理由が分かる。‬
    はじめは元の時代に戻ることだけを考えていた主人公が、今現在の自分の役割に気付いていくところは胸が熱くなった。自分にご馳走をするところなんかは特に。

  • 日本の当時の風景が思い浮かびます。
    登場人物がタイムトラベル への理解が早く感じましたけど、まどろっこしいのよりいいかもしれません。読者はタイムトラベル してることを知ってますからね。
    様々な登場人物が紡ぐ時間の輪のストーリー。

  • 初めてSF小説を読んでみた。設定に疑問に感じる部分はあるが、それでも面白かった。
    読み進めていくにつれて、主人公と共に時を体験し、じわじわと驚きが広がり、最後には全てが明確になっていく。戦前の日本の暮らしぶりなどが伺えるのも良い。
    筆者の違う作品も読んでみようと思う。

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