本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784087463538

感想・レビュー・書評

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  • なんだかいつの間にか「読書に追われる」ようになっていたので小休止、な一冊。

    ・「いけそう」な気がする時のエスプレッソ
    ・何気なく回っている現実への「違和感」
    ・子どもを持つこと、家を買うことへの「恐怖感」
    ・自己犠牲神話
    ・理想の自分と現実の自分とのギャップに対する落ち込み
    ・人生でどのくらいの時間を費やしているのか分からない、自意識との戦い

    溢れだしそうなほどの共感。

    解説は三浦しをんさん。
    彼女が描く、穂村さんのエピソードもまた面白い!

    解説にこう描かれている。
    P212
    「穂村さんの内側で渦巻く怒りと衝動は、黒く大きな穴が発する吸引力に抵抗するためのエネルギーだ。ひとが一人で立つために必要な力だ。寂しいけれど、諦めない。」

    これだ、と思った。

    最近、いつまで自分探し続けんねん!って本を買ってしまって、しかもそれが一冊じゃないから、我ながら呆れている。
    たぶん、わたしは高齢者施設に入所しても自分探し系の本を読んでいる気がするし、茶飲み友達と生きる意味とか語り合っている気がする。
    いや、もう自分見つけてろって!老後になっても生きる意味とか考えてるのかよ!と、突っ込みたくなる。
    そのまま後期高齢者になっても自分が見つかってないのはなんだか寂しいし、虚しい。だけど、きっとわたしはしぶとく、自分探しを続けるのだ。
    「寂しいけれど、諦めない。」

    そんなわたくしですが、久々にnoteにて新作エッセイを公開しました!
    ご興味ある方は是非ご覧ください!!
    https://note.com/tattychannel/n/n1e24c7de3d44

    • naonaonao16gさん
      sinsekaiさん

      おはようございます!

      やはり「異性」面白いんですね!読むの楽しみです^^
      読書を追ってる時は楽しいんですよね~
      積...
      sinsekaiさん

      おはようございます!

      やはり「異性」面白いんですね!読むの楽しみです^^
      読書を追ってる時は楽しいんですよね~
      積読が増えてくと、徐々に追われていきます(笑)

      プンプン、ちょっと内容忘れてきました…
      はやく続き読みたいと思うものの、なかなか手を出せず…
      2021/06/02
    • メイさん
      naonaonao16gさん、はじめまして。
      「読者に追われる」という言葉にすごく惹かれました。読みたい本を探したくてブクログを利用始めて2...
      naonaonao16gさん、はじめまして。
      「読者に追われる」という言葉にすごく惹かれました。読みたい本を探したくてブクログを利用始めて2ヶ月余り。色んな方のレビュー、ブックリストを参考にして登録してたら、けっこうな数になってしまい、私読めるんだろうか?と半笑いです。まあ、読みたい時に読めばいいんですけどね。
      naonaonao16gさんのレビューを読んで初めてnoteというものを知り、同僚に聞いてエッセイ拝読しました。マスクの話も面白いと思いましたがくしゃみの話は更に面白かったです。わかります。私もくしゃみはおっさん系です。突然くるくしゃみはどうすることもできません。くるってわかるくしゃみはなんとか控え目にできるんですが…。
      逆にかわいいくしゃみは、本当にそれ?と思えてしまう事があります。本当にそのくしゃみしかできない人には申し訳ないんですが。
      長くなってしまい申し訳ありません。
      2021/07/23
    • naonaonao16gさん
      メイさん

      こんばんは^^
      コメントありがとうございます!返信が遅くなってごめんなさい…

      わかります。ブクログでフォロワーさんが...
      メイさん

      こんばんは^^
      コメントありがとうございます!返信が遅くなってごめんなさい…

      わかります。ブクログでフォロワーさんが読まれたたくさんの作品を目にしていると、どんどん「読みたい」が増えていって、いつの間にか読み終わった本よりも読んでいない本の方が増えていく…(笑)
      これからもたくさんの作品に出会っていきたいですよね^^

      note読んでくださり、ありがとうございます!
      本当に、嬉しいです!!!
      しかも、こちらに載せたリンクだけでなく、マスクの方も読んでくださったとは!!
      やっぱり、突然のおっさん系くしゃみは対応に困りますよね(笑)

      そして本日、ブックレビューでもエッセイでもない、思いをしたためる系の文章をアップしました。
      小山田圭吾さんのことについてです。エッセイのようなライトなものではないですし、価値観が異なるかもしれないので、お好みでご覧ください。また是非遊びにいらしてくださいね^^
      https://note.com/tattychannel/n/n4d606d353d52
      2021/07/25
  • ちょっと若い頃の穂村さん。自意識過剰で身のこなしがギクシャクとか言いつつも、友人や彼女もいるじゃないか〜とツッコみたくなる。この矛盾が面白さを醸し出すのか。「みえないスタンプ」「タクシー乗り場にて」「硝子人間の頃」「ベティによろしく」が印象的。

  • 歌人の穂村弘さんの、「現実入門」に続く、四冊目のエッセイで(私が読んだのは文庫版だが、単行本の発売は2005年の6月)、タイトルを見て、またしても妄想的なものかと身構えてしまったが、本書に登場する「ツナ夫」は、過去のエッセイで読んだ記憶があるし(新エピソードの青いスキー手袋も独特過ぎて…)、三浦しをんさんが、解説でエッセイと言っているから、まずはひと安心ということで(何が)。

    本書の構成は、二冊目の「もうおうちへかえりましょう」と似ており、最初は、日常生活自体が笑いの宝庫の、いつものやつで(!?)、その次は、穂村さんの趣味嗜好から、彼の深みに迫る、パーソナルな内容に、最後が、穂村さんの目を通して見た、人間の素晴らしさを実感させられるものと、バラエティに富んでおります。

    まずは、その「いつものやつ」ですが、今回は、穂村さんって、結構色々な事やってたんだなということを実感し、青竹を踏みながら歯を磨いたり(時間の有効活用らしい)、十年間通っていたスポーツジムで、一人も友達が出来ず、密かに「修行僧」と呼ばれていたり、「キムタク着用」のものを気にしたりと(ちなみに「穂村弘着用」でも検索したが…)、何か、だんだんと、いじらしいものを感じてきて、でも前は、願望ばかり強かった印象があったから、それと比べたら凄い進歩なのではないかと思うけどね。

    まあ、それでも「結果的ハチミツパン」で、エレガントな友達から、『え、でも、歯を磨いたあとはものを食べないから』とあっさり否定されたり、「影を濃くする」で、『ミックと僕と、どこがちがうんだろう、と考えていたん…』で爆笑されたり、挙げ句の果てには、以前のエッセイでも印象的だった、漫画家の吉野朔実さんに、『でも、それ、殺しの前に必ず手袋を塡める殺人鬼みたいで気持ち悪いよ』と言われる始末で・・でも、穂村さん自身、納得しているように、本当にその通りだね(笑)

    自分でそう認めてしまう、そんな穂村さんが好きだなあ・・それから昔は、ほむほむじゃなくて、「ほむりん」って、呼んでほしかったんだ。ただ、小学校の教師が、卒業文集に「あだ名」の項目を作るのって、なんか価値観の押し付けみたいで嫌だと思ったし、こういうところ気付かないんだね。

    また、趣味嗜好からは、「馬鹿的思考」での、『狩撫麻礼(かりぶまれい)』原作の漫画をコンプリートするための、時空を超えた追いかけっこに、「きれいになる」の、梶原一騎原作『愛と誠』で、美貌の大番長『高原由紀』愛用の投げナイフを、ツルゲーネフの『初恋』の中に隠していたこと、それぞれが私の趣味では無いのですが、そうしたことに穂村さんの心を動かされた、その感性に共感できるというか、ロマンチストの一面もあるんだなと。

    そして、最後の章からは、「ベティによろしく」の、アンティークショップで買った、一枚の、使用済みクリスマスカードの、『「いない」と「ある」の強烈な響き合い』と、「それ以来、白い杖を持ったひとをみつめてしまう」の、『ふたりは本当に「大丈夫」』が印象深く、それぞれにおける、穂村さんの真摯で心の奥の奥まで気にかけるような、人を見つめる、その視線の優しさに、この人はこういう一面もあるから、全てが愛おしくなるんだなと、思ってしまいました。穂村さんって・・

    最後に、穂村さんは素晴らしい歌人なんだということを感じさせるエピソードに、与謝野晶子が、夫の「鉄幹」こと、与謝野寛が死んだ時に詠った挽歌について書かれている部分があるのですが、その『全天の星がぜんぶ君』といった内容に対し(鳥肌が立つと共に泣けてくる歌)、「『愛しあった心の証』という感じだったな」と、与謝野寛も自分自身の全集の序文に、妻、晶子への際限の無い愛を綴っていたことから、穂村さんはそう思われたのですが、そこに、愛の籠もった歌の凄まじさを感じさせられたのが、私の中では、短歌の恐ろしさに思われて、印象的でした。


    冬の夜星君なりき一つをば云ふにはあらずことごとく皆

  •  他の人から見た自分はこうであってほしい、という強い思い。けれど、そうではない自分がたくさん表れてくる。「本当はちがうんだ」「本当はもっと素敵なんだ」「今ここにいる私は『私のリハーサル』なんだ」
    「エスプレッソの味わいがわかる」「みんなから親しまれあだ名で呼ばれている」「スポーツジムでみんなと楽しく言葉を交わす」「マネキンと同じに服を着こなす」
     
     読んでいて自分にも重なるところがあって笑った。

     初出を見ると、いろいろな雑誌に掲載されたものなので、雰囲気がちがうものもある。いつのまにか彼女がいるらしいものから、結婚しているらしいことが出てきたが、穂村さんと一緒にいる女の人というのもなかなか大変そう。いきなり、しらがの鼻毛を渡されてもね。
     かなり前の作品だけれど、今もエスプレッソは「地獄の汁」のままかな。

    • naonaonao16gさん
      よんよんさん

      こんにちは~
      コメントではちょっとお久しぶりですね^^

      この作品面白いですよね!
      といいつつ、その後穂村さんの作品には手を...
      よんよんさん

      こんにちは~
      コメントではちょっとお久しぶりですね^^

      この作品面白いですよね!
      といいつつ、その後穂村さんの作品には手を出していないのですが…笑

      最初、恋愛なんて、みたいなスタンスで始まったと思ったらいつの間にかご結婚されていて、せっかくならそこの心の動きや状況・環境の変化なんかも知りたかったなー、なんて思った記憶があります。エッセイなんだから!
      2023/06/26
    • よんよんさん
      naonaoさ~ん こんにちは!
      他の方のレビューを拝見 と思ったら 何とnaonaoさんのレビューに私が初コメしていました。そういえばn...
      naonaoさ~ん こんにちは!
      他の方のレビューを拝見 と思ったら 何とnaonaoさんのレビューに私が初コメしていました。そういえばnaonaoさんのレビューを読んですぐ、書店で探したけれど見つからず、別の本を購入してそれっきりになっていたんですよね~。
      バレンタインにチョコをもらえないのを、必死で平気なふりをしていた穂村さんが、「性欲だけのキスがしたい」なんて言葉。どうしたんだ~。なんか悪い男になってる~。違うエッセイで探ってみます。
      2023/06/26
    • naonaonao16gさん
      よんよんさん

      こんばんはー

      なるほど、と思ってわたしも読み返してしまいました。あの時、よんよんさんnoteにあげたエッセイまで読んでくだ...
      よんよんさん

      こんばんはー

      なるほど、と思ってわたしも読み返してしまいました。あの時、よんよんさんnoteにあげたエッセイまで読んでくださったんですよね、ありがとうございます。最近、noteはちっとも書いてません、、

      ようやく読めた作品だったんですね~
      自意識系の本て面白いですよね!わたしは最近すっかり読書のモチベーションが下がってしまって、こういうちろっと読める作品を読もうかな…
      ほんとに、いつもに増して重度なめんどくさい病発動中です笑

      彼の恋愛の価値観についてはこの1冊だけではなんとも分からなさそうですね。
      続報をお待ちしています!笑
      2023/06/27
  • ほむほむ、相変わらず潔いまでの酷さ。暗がりでもぞもぞと食パンとハチミツとの口内マリアージュを満喫したり、締め切り前なのに訳の分からないオークションにヒートアップしたり、絶対読まないと分かっている本ばかり定価より高値で買い占めたり。俺についてこい!な男に劣等感を抱きつつ、修行僧と命名されるほど黙々と筋トレしておきながら「僕を守って」全開で40越えても白馬のお姫さまを待つ。

    しかも純情朴訥系ならまだしも、性欲のみのキスがしたいだけとか、良くないね!全くなんてダメな子なんだろうね!

    そりゃ負のスタンプも貯まるよ!
    でもちょびっとだけ、「ダメな子ほど可愛い」の心理が分かってしまったよ…最高に最低だね!

  • 題名からして、「わかる!」と言いたい感じの本。
    穂村氏の本はいつも面白い。

  • 一編一編読むごとに
    穂村さんの心の叫びが聞こえてきます

    「本当はちがうんだぁぁ~......」と。

    そして、読めば読むほど
    「そうだよねそうだよね。あるあるある」と
    頷いちゃったりすることがあるから楽しくて。

    だから時々
    「ちがわなくていいのよ~それで..!」と
    届かぬ叫びを送ったりもしてました。(笑)

    ・焼き鳥との戦い
    ・二月十四日
    ・夜の散歩者
    ・ベティによろしく
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  • お会いしたこともない年上の著名な歌人にこう言っては失礼ですが、やっぱり穂村さんのへなちょこさが愛おしい。強すぎる自意識ゆえ身のこなしがぎくしゃくしていて可愛い。
    締め切り過ぎの深夜に真っ暗な部屋でコートを着たまま時計のオークションに入札を繰り返したり、一家言ありそうなお店にビクビクしたり、10年通うジムで修行僧という渾名をつけられたり、"世界の多様な豊かさ"という最後の大穴に吸い込まれていくことに恐怖を感じたり。吸い込まれるぐらいであれば反省しないまま刑を執行された死刑囚の方に心をうごされる。
    情けない姿が多いのだが、でもそのエピソードと言葉の選び方には"生"のきらめきを感じてしまう。
    きっと大変生きづらいのであろうが、穂村さんに見えている世界を私も見てみたいと思わせるものがある。
    引用してくれる短歌も好き。

    無名にて死なば星らにまぎれむか輝く空の生贄として
    寺山修司

    うつしみに何の矜持ぞあかあかと蠍座は西に尾をしづめゆく
    山中智恵子

    冬の夜の星君なりき一つをば云ふにはあらずことごとく皆
    与謝野晶子

  • ボクはまだ人生の本番じゃない、と思っていたのに。
    ある日、白髪の鼻毛を発見する…
    え⁉︎
    えっ⁉︎
    ボク、もう本番なの⁉︎

    このくだりが大好きです。クスクス笑いながら読んでいます。
    昭和生まれの私。
    シンパシー感じまくりです。

  • 非常に読みやすく、一編が短い分、気持ちがついていかないものもあったが、すごくあー、その発想はなかったなぁって話が多かった。そんな中で現実圧の話と白い杖を持った人をみると…の話しは大好きでした。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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