TSUNAMI 津波 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463699

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった

    自然災害パニック小説3部作(M8、TSUNAMI、東京大洪水)の2番目の作品!
    311の前に描かれた物語ではありますが、311で起こることを予言していたかのような展開。
    M8の6年後の設定ということで、M8の登場人物たちが再び登場します。

    ストーリとしては、
    東海地震と東南海地震、南海地震がほぼ同時に発生。
    これらの地震によって、大津波が発生。
    地震災害、津波災害にくわえて、原発も災害が...
    これらの災害に対して、登場人物たちはどう向き合うのか?

    まずは、地震予知に対する考え方。
    予知情報を出す出さない。発令の責任は誰がとる、など地震予知にまつわる問題、課題を浮き彫りにします。
    この辺は東京大洪水でもM8でも語られています。

    さらに、津波に対する市民の認識。
    やはり、人間は経験してみないとわからないのか...
    311が思い出されます。
    そして、原発

    これらの災害に立ち向かうヒューマンドラマということなのですが、自衛隊員、原発職員、首相、防災職員、それぞれ立場から、日本を市民を守るためにとる行動が心を熱くします。

    こういうべたな展開は弱いんです。

    本作が出た時には防災サスペンス&シミュレーション小説
    しかし、311を経験した私たちは現実を知っています。しっかり振り返り、生き残るために何をするか、何ができるか備えておく必要があると思います。

    お勧め!

  • 先日の東日本大震災を受けて読んでみた。

    地震(それに伴う津波)、台風などの自然災害は非日常の出来事ではなく、毎年定期的に起こる行事として認識して、そのためにできる対策をとる必要がある。

    予知と防災の2軸で今でも対策が練られている。
    今回、起きた地震ではおそらく3万人が亡くなることになると思われるが、関東大震災や東海地震が起これば30万人、数百兆円の人的、経済的被害がでるだろう。

    そのために、今できることをしておかないとまた同じことが起きると感じた。
    今、CMでは"今僕たちにできること"というフレーズがあふれているが、それだけでは不十分だろう。
    "次に同じことを起こさないためにできること"こそが必要なのではないだろうか。

    大切なのは"想定外"なんて使い勝手のいい言葉がでなくて済むようにすることだ。

    欧米の戦略家の間で語り継がれてきた心得に以下のようなものがあるそうです。
    「人間の想像を絶する事態を常に想定してとく。」

    一方で、政府の対応が後手後手になっていることに批判がされているが、仕方がない部分もあると思っている。

    事前に対策をしていたとはいえ、すべて想定していた事態を超えている上、人命救助、原発対策、復興計画などどれを取っても非常に時間も手間もかかる。(どれを1つ任されても途方に暮れるのは想像に固くない。)

    テレビではこうすべきだった、ああすべきだったという批判はとても多いが、彼ら誰1人をとっても実務を担当した途端に何もできないだろう。

    現場担当者の官庁や東電の方にとにかくがんばってもらいたい。

  • 南海地震と東海地震だかが連動して起きる超巨大地震と超巨大津波を描く。
    連作みたいで、この作中世界では先んじて首都圏大地震が起きている。その復興中に今度は津波が起きるという筋書き。安全措置をほどこしているはずの原発が地震と津波の合わせ技で危機に陥る、、、本書の出版が2008年となると、なかなかに予言的な作品だったということ。

  • 小説として面白い。そして3.11を知っているからこそ感じるリアリティー。でもこれは2011年以前にかかれているという事実。本当に色々興味深い。防災意識も高まりました。高嶋氏は初めてでしたが他も読みたくなりました。

  • 相変わらず読み出すと防災や地震について興味が出てきます。
    「M8」のシリーズだけど、出版された順番は「M8」→「TSUNAMI」→「東京大洪水」だけど、時系列的には「M8」→「東京大洪水」→「TSUNAMI」となっています。
    どの順番で読むのが良いのか?読んだ身としては人に勧めるのに悩む。

    どちらにしても読んでて面白いし、リアルで怖い。
    「M8」の時の感想にも書いているけど、これを「東日本大震災」が起こる前に書いてるのが凄い。

  • 東海大地震。起きる起きないが問題なのではない。それは必ず起きる。だから、今から何をしなければならないのか。独自のハザードマップを作り、地震対策に努める26歳の市役所防災課職員がいた。だが、大地震が連続して発生。空前の大津波が太平洋岸を襲う!そのとき恋人は、超高層ビルの建築主は、原子力発電所の職員は、自衛隊員は、首相は、どう運命と向き合ったのか!?

  • 前作「M8」から数年後の世界.神戸の震災を経験した前作の登場人物に,新たな人物が数人加わる.直下型地震の予測と,既にある設備を使った直前の防災措置を主題としていた前作とは異なり,今回は百年単位のスパンで来ることが分かっている海溝型地震の実際の挙動の予測の困難さとそれがもたらす混乱,海溝型地震の想像を絶する被害と現状ある防災設備の不十分さ,そして二次的な事故を水際で身を挺して止める現場の人々の奮闘が描かれる.ここでは直下型地震の後に東海東南海南海地震が連動して起こる最悪のケースを想定しているが,直下型地震でダメージが起きた直後に海溝型の巨大地震や津波被害が来る恐ろしさが印象に残る.減災という点でも恐らく今あるインフラを抜本的に改める必要があると思うが,そういった機会は結局,このような地震で一度全てが崩壊しないことには,訪れないのかもしれない.

  • 南海トラフ地震のシミュレーション小説。

    東日本大震災の約3年前に書かれたものです。
    大浜原発の事故の場面は5年前の事故を思い出し
    お腹のあたりがキュッとしてしまった。

    いつくるかわからない地震。
    いくら備えていても憂いは残りますが、
    意識はちゃんと持っていなくては。

    かなりリアリティーがあり、引きつけられた一冊でした。

  • 原発に関しては小説よりも現実の方がひどかった

  • M8の平成大震災(東京)から6年後、日本列島を再び大地震が襲う。
    東海、東南海、南海地震。そしてこれらの地震による津波の共振が起きて、巨大な津波となり太平洋沿岸に押し寄せてくる。

    あまりにもリアルで、この作品が東日本大震災の前に書かれていたというのには、本当に驚かされる。
    原子力発電所の放射能漏れについて読んでいると、どんなに優れた安全装置でもそれを扱うのは人間なんだと改めて痛感する。
    日本の現状と色々な部分で重ね合わせて読んでしまい、胸が苦しくなったが、作者の強い思いが感じられる力作だと思う。

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著者プロフィール

一九四九年、岡山県玉野市生まれ。九四年「メルト・ダウン」で第1回小説現代推理新人賞、九九年「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞を受賞。他に『ダーティー・ユー』『ミッドナイトイーグル』『M8』『TSUNAMI津波』『東京大洪水』『風をつかまえて』『乱神』『衆愚の果て』『首都感染』『首都崩壊』『富士山噴火』『日本核武装』『神童』『ハリケーン』『官邸襲撃』『紅い砂』『決戦は日曜日』など著書多数

「2022年 『落葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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