犬のしっぽを撫でながら (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.52
  • (24)
  • (68)
  • (64)
  • (13)
  • (6)
本棚登録 : 613
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463927

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『博士の愛した数式』に関連したエッセイが最初に10本も続く。
    「数の不思議」の世界をもう一度感じることができた。

    次のテーマは「書く」ということへの想いやこだわり、ワープロや机といった書くために必要な物の話題などが語られる。

    そしてごく自然に「書く」行為を問い直すためのアンネ・フランクの足跡をたどる旅の話に繋がる。
    小川洋子さんのアンネ・フランクへの想いが伝わってきた。

    後半はこんな暮らしをして来たんだよ、という雑多な日常の出来事の思い出話になる。

    犬(ラブラドールの子犬のラブちゃん)と野球(阪神タイガース)が重要な生活の一部になっている様子が微笑ましい。
    「犬のしっぽを撫でながら」というタイトルなのに、犬の話はあまり多くないですが、犬を飼おうと思った理由が書かれていた。
    阪神タイガースが好きになった理由も。

    最後の章は、子供の頃を中心とした家族や近所のこと。
    本にまつわる話もちょくちょく出てくる。
    小川洋子さんは子供の頃のピュアな感性を大人になっても持ち続けている。

    ###

    阪神タイガース、38年ぶりの二度目の日本一。《 オ・メ・デ・ト・ウ 》

  • 小川洋子さんのエッセイ集を読んだのは、『とにかく散歩いたしましょう』と『カラーひよことコーヒー豆』に続いて3冊目。3冊の中でもこの本は、他の2冊に比べて小川さんの熱量がかなり高かったように感じました。

    内容が『博士の愛した数式』に関連したことや、小川洋子さんの愛する『アンネの日記』を巡る旅のことであったりと、特に思い入れの強い事柄について書かれていたからだと思います。

    いつものエッセイでは限りなく控え目で、街行く人々の人生に物陰からこっそり拍手を送っているような小川さんの熱に触れることが出来たような気がしました。

    でもやっぱり、本の最後に納められた「自信満々の人」という話では、

    -自分に自信がないことに関しては、私は大いなる自信を持っている。自信のなさを競う世界選手権があったとしたら、必ずメダルを獲得できる自信がある。-

    というお洒落な文章で小川さんらしさが全開になっていました。優しくて、本人曰く色々間違えることが多くて心配性で、繊細で豊かな創造力を持つ小川さんが、作家さんになってくださって本当に良かったなあと思える本でした。

  • 好き。繰り返し読みたいので手元に置きたい。博士の愛した数式の裏側もある。

  • 読むといつもふふっとなる。
    悲しくなると何故涙がでるのかという話で小川洋子さんってすごく精神的に純粋だなぁということと
    子供の頃の感覚を失わないまま大人になった人なのかなと思った。読んでいるととても落ち着く。

  • エッセイをあまり読んでこなかった私。
    小川洋子さんの作品もいくつかしか読んだことがないのだけれど、『作品』じゃなくて『作家その人』が好きになるってあんまりなかった体験。
    着飾らなくて、なんだかぬけてて、なんて自信のない方なんだ…!と驚いたりしながら楽しく読めました。
    これは日記か?というような文章もあったりして、こんな小川さんがちょっとダークな世界を描いたりしてるのかと思うと、作家さんってすごいな…と改めて感じたりしました。

  • 優しくて、謙虚な方だといつも思う。
    そして、言葉に対して非常に真摯。
    彼女のおかげで、かつて大嫌いだった数学の美しさが僅かにわかったような気がする。

  • S図書館 2006年
    数字、アンネフランク、家族のエッセイ

    《感想》
    犬の話題は少ない
    「博士の愛した数式」の話とアンネフランクの話が多かった

    小川さん曰く、小説を書くのに何より重要なものは、登場人物でなく場所の決定だそうだ
    そういう目線で読むと面白いかもと思った

  • 久しぶりに小川洋子さんを読みたくて。
    アンネの話も、犬の話も、タイガースの話も、何度も読んでいるはずなのに、毎回しっとりと心に染み込んできてまた大好きになる。

  • 鋭い感受性と柔軟な発想と、そして豊かな生活がこの著者を形作ってるのですねぇ。

  • 博士の愛した数式、アンネフランク、を執筆された時の作品にまつわるエッセイも収録されている。

全55件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×