終末のフール (集英社文庫)

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 集英社 (2009年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464436

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終末のフール (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • この本との出会い。

    失恋した翌日だった。地下鉄に乗っていると一つの広告を見つけた。それは集英社文庫の広告で、「この夏に``はじまり``となる一冊、``ナツイチ``を見つけませんか。」という内容だった。いつもの僕なら簡単に見過ごしていたと思う。だけど、その日は違った。家に帰ってから、パソコンを前に何か面白そうな本はないかとナツイチを探していた。数日後、気になった本を求めて本屋へ行き、一冊買った。 それがこの本だった。

    「死」を設定することによって「生」を考えるという作品は多い。そんな中で、すべての人が世界の終わりを迎えるという話はとても興味深い。それは誰もそんな状況を体験したことがない、非現実的だからだ。下手な描写をすればたちまちつまらなくなる。だけどこの作品にそんな懸念は必要なかった。描かれる状況、人間関係、心情、倫理観が緻密に、巧妙に、バランスよく表現されていて、とても心地よかった。

    読み終えてあとがきを見ると、次のようなことが書いてあった。

       小説は哀しみを抱えている人によりそうもの

    ああ、なるほど。こういう出会いもあるのかと思った。

  • 再読です。
    8年後に小惑星が衝突すると予告されて5年過ぎた頃。余命3年となった仙台のヒルズタウンの住民たちのお話。

    「終末のフール」父親と娘の確執が辛かったけど、長男の和也の思い出話が最高におかしかったです。10数年越しに確かに和也は魔物を倒しに来たのだなぁと。

    「太陽のシール」の富士夫の決断、友人の土屋家族の気持ちに泣けてきました。

    「籠城のビール」はかなり複雑でやるせないのですが…
    最後の「三年逃げ切ればいいんだろ?楽勝だぜ」が秀逸です。3兄妹の平和な日々が頭に浮かび、妹や母のいない世界でも最後の最後まで生きようと思えたのだなと、ジーンときました。無事に2人が逃げ切れますように。

    「鋼鉄のウール」の苗場さんのぶれない生き方がかっこいいです。「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」という言葉が胸にドカンときました。

    「天体のヨール」の二ノ宮のキャラが好きです。深刻な状況で嬉々として小惑星の衝突を待っている二ノ宮の天体オタクっぷりがおかしくて、なぜだか癒されました。

    「深海のポール」は最後、作りかけの櫓を前に、終末のその最後の瞬間を想像して娘を一秒でも一瞬でも長く生かそうと思う渡部に泣けました。ハチャメチャだけど渡部の父親も素敵です。

    新興住宅が舞台ということもあり、家族の話が多かったです。「演劇のオール」も疑似家族のお話…
    ダメな父親も出てくるけど、かっこいい父親もたくさん登場しました。終末を前に子どもを生む決断をする富士夫、病気の息子を残して先に親である自分が死ぬという不安がなくなったという土屋、少しでも娘に長く生きてほしいと思う渡部、息子を守って死んだ蔦原の父親、それぞれの子どもへの想いに感動しました。
    伊坂さんが描く家族のあたたかくて力強い感じがとても好きです。

  • 小惑星が衝突し地球が亡くなる。パニックから落ち着きを取り戻したころの、ある住宅街の住人たちのそれぞれを描いた物語。伊坂さんの中では珍しいミステリーじゃないお話。でもそれぞれの人物がリンクしてる感じは伊坂さんならでは!絶望の中でも生きる人々の姿が暑苦しくなく、でもなんか温かく描かれてるのがとてもよかった。

  • 8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから5年が過ぎた世界が舞台。3年後に「死」を控えた人々の生きる姿を描いた8編の短編集。

    仲違いをしていた父娘、人類の死を前に待望の妊娠が分かった夫婦、地球滅亡の知らせとともに両親に先立たれた娘など、地球の終りを目前にしてパニックを起こす世の中を尻目に、残りわずかな時間をどのように過ごすかを模索する人々に焦点を当てています。
    登場人物は身の回りにいそうな、ごく普通の人びと。だからこそ非現実的な設定にも関わらずリアルです。紆余曲折はあれども、それぞれが決断した“残りの3年”は「生きること」への真摯な姿勢と決意があります。

    逃れられない「死」を前に、いかに「生」を謳歌するか。
    こんなにも「死」がべったりと側にある作品なのに、読後は「生き方」ばかり考えてしまう。

  • 8年後に小惑星が地球に衝突し、滅亡する---

    人はその事実を突き付けられた時、どう行動するだろうか?





    「8年後の地球の終わり」を予告されてから5年が過ぎたころの仙台が舞台。

    そのころには絶望からパニックに陥った世界も、徐々におさまって「小康状態」になっていく・・という描写が生々しくてドキドキした。





    残された3年をどう生きるか。

    「人生は怠惰に生きようとするには長すぎて、何かを成し遂げようとするには短すぎる」

    3年という限られた時間ならなおさらだ。





    自分ならどうするだろう?

    まず、暴漢や盗人や狂人のあふれかえるパニックの中「その日」を迎えるまで生き延びられるのか、それすら自信がないけれど。





    人間は脆い。

    自棄を起こして無秩序の世界に身を落としたり、自らの命を絶つ人、精神に異常をきたしてしまう人

    老後を考える必要性がなくなって、仕事を辞める人(そのため流通機関が機能しなくなり食糧難にも陥る)

    一見何も変わらないように見えても、「いつ命を奪われるかわからない、緊迫感」に不安が蓄積されて時々嘔吐する人もいる





    そんな中で、自分なりのぶれない軸を持っている人間の強さが眩しい。



    「鋼鉄のウール」に出てくる、苗場というキックボクサーは世界の終焉を予告されても変わらず練習に打ち込む。



    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」

    「ぼくにできることは左フックとローキックしかないですから」

    「自分に今できることをやるしかないですから」





     イマ デキルコト ヲ ヤルシカナイ・・・





    終末論に限らず、生きていく上で何かに行き詰ったときのヒントがこの本にはちりばめられているような気がする。

  • 伊坂さんの作品の中でもゆったりとした時間を感じられる話でした。ハラハラドキドキはないけど、迫り来る死に対して、いろんな登場人物から見た気持ちが書かれていてとてもおもしろかった。
    私情ではありますが、最近仕事でうまくいかなくて悩む事も多かったのですが、迫り来るくる人類の「死」に比べたらとても小さいなと思えました。
    読んだ後はなぜか気持ちがスッキリしていました。

  • 取り敢えず、世界が滅亡するなら、そんなに早く発表しないで欲しい 笑
    一週間前とかにならないかな?
    でも、そんな究極の世界で、伊坂ワールドの方々は、動揺しながら比較的のんびりと生きていて、やっぱり好きだなぁと思いました。
    故に、やっぱり嘘でした〜は、ありなんじゃないかと思ったり…。

  • なぜ終わりがないと見えてこないものがあるのか。
    なぜ続かないと突きつけられると自暴自棄になるのか。
    世界の終末は、わたしたちを丸見えにさせてしまう。時間って、フィルターなのかも。

  • 「明日が世界の終わりでも、私は今日林檎の木を植える」

    最近こんなことばに出会いました。
    そして、読み返したくなったこの本。

    明日ではなくて、8年後。
    小惑星が衝突して、世界は終わる。
    そう告げられた後の大混乱を経て、いよいよタイムリミットが近づいた、世界の終わる3年前。
    いろんなかたちで終末を過ごす人々。

    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
    このことば、カッコいい。
    結局のところ、人生は、永遠と永遠の間にあるつかの間の閃光にすぎないのだから。

  • 世界の終わりを見たい。世界と共に命を終えたい。きっと叶わない気がしているけれど。
    たとえ見られなかったとしても、いつか私の時間に終わりは来る。それはきっと突然に。終わりはいつも、少し寂しい。

    限られた時間の中で、私はできるだけ愉しく生きたい。私たちが生きている間にできることは、生きることだけだから。
    この作品を読んで、思った。

  • いつまた、大災害が起こってもおかしくない今、8年後に小惑星が衝突すると告げられても、案外淡々と受け止めて前向きに生きようとする人が本書の刊行当時よりは増えているのではないかと思う。
    いざとなるとそうもいかないのかな。
    でも、覚悟は必要だと思う。

    苗場さん、美智ちゃん、二ノ宮さんが素敵だな、と思った。

    『演劇のオール』の終盤で、うるっときた。
    そして、引退した俳優のインタビューで笑った。

  • あと3年で世界が終わるというどうしようもない状況の中で、相も変わらず煩悩を捨てきれない人間のシュールさや、じたばたと生きる決意を見せる泥臭い力強さに、得も言われぬ愛着のようなものを感じる。短編ということもあってずどんと胸を撃ち抜かれる衝撃はないが、じんわりと心に沁みる感じ。

  • あと8年で世界が終わる。
    きっとわたしは、喜ぶと思う。
    みんなで一緒に死ねるなんて、そんな幸せなことはないだろうと思う。
    だから自分だけでも生きようとする人達が理解できなかった。
    わたしは彼ら程、自分を大事に思えてないのかもしれない。

  • 『8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから5年が過ぎた頃』が舞台。
    残り3年を生きる人々の生活を描く連作短篇集。
    「演劇のオール」のラストのつながる感じが伊坂作品っぽくて好き。
    「籠城のビール」と「太陽のシール」も好きだなー。
    「太陽のシール」の最後のほう『それならオセロを二組に分かれて、できるじゃないか』ってセリフがいい。

  • 隕石が地球に落ちて世界が終わるらしい。リミットは三年。そんな中で生きる人々がそれぞれ興味深い。自分だったらどうするかな。セクションごとの表題も捻りがあっておもしろい。結局最後は伊坂さん的にはどうなるんでしょうか?

  • 八年後に小惑星が衝突し、全人類が絶滅する。
    パニックの時期5年を経過した、仙台のマンション「ヒルズタウン」を舞台に、死にむかって生きる人間模様。

    全部で8編。
    「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」

    ヒルズタウンを中心にして、各短編、誰かと誰かが繋がっていたりして、そこが面白い。
    命の終わりが近づく。それも、全員一度に……。

    それが問題ではなくて、死を前にして“どう生きるか”ということがテーマかな。
    何も変わらずにいられることが、人として一番強いのだと思いました。

  • ミステリじゃない。
    目次がハライチのギャグみたい。

    8年後に地球に隕石がぶつかって人類が滅亡することが判明して5年後、仙台のとある高台のマンションの住民たちが、そうした状況下でどう生きているかを淡々と綴った短編集。
    宣告をされて逃げ出した人達(どこに?)や、絶望して自ら命を絶った人達が淘汰されて、この世界にはそれでも生きている人達が残り、あまりにも重い未来に潰されそうになりながらその日を生きている。
    全体を、「人間の生きざま」というテーマが覆う。

    伊坂さんは、狂気の寸前で辛うじて正気を保っている(保とうとしている)人間に興味があるヒトだね。
    『重力ピエロ』の春もそんな感じだった。

    物語は本当に淡々としてて、結局滅びるのかどうかまで教えてくれない(それが主題じゃないから)。
    まぁ、この物語のように隕石が……ってことは実際には起こりそうもないけど、余命宣告は充分あり得るし、そうしたら私はどっち側の人間になってるだろう……と考えながら読んだ。

    個人的には、「天体のヨール」(これって夜を無理矢理韻踏ませたって解釈でいいのかな)の二ノ宮が好き。
    恐竜が滅びた話をしてくれて、多分隕石が……で人類が滅亡するシミュレーションが具体的にできた。
    ぶつかることで爆発なんかして一瞬で滅びるんじゃなくて、その影響で洪水が起こったり氷河期になったりして人類が滅びるの。だから方舟とか乗っても無駄なの。衝突を回避すれば無事でいられるんじゃなく、地球が人類の棲めない環境に変わるんだから。

    この作品は東日本大震災前に書かれてるけど、3.11のあとに新な読みをされたんだろうなぁ。舞台が仙台だし、洪水の話題も出るし。

  • 題材に惹かれて読ませてもらった。

    伊坂のキャラクターは良くも悪くも超然としていることが多くあり、設定自体がぶっ飛んでる『ゴールデンスランバー』などではそれが良い装置として働くのだが、こういったリアリズムの入ったシュミレートには少し合わないかなと。まぁシュミレートとして期待してしまったのがよろしくないのであって、これもまた伊坂流の「ぶっ飛んだ」設定の中で、ファンタジーとして描かれた作品と捉えるべきかもしれない。例えば「冬眠のガール」など、実に伊坂らしいがリアリズムはない。

    ただ、終末ものにありがちなパニックやミステリー要素は一切廃され、淡々と「伊坂キャラ」の在り方をそのまま描くというのは、ある意味で救われる思いがした。世界は続くし、生が続く限りただ生きるしかないのだというメッセージを読み取れる。

  • 2013/9/8に既に読んでいたのに気づかずまた読んだ。

  • 終わりが見えていると人はどう行動するのかが、興味深くて読んでみた。 明日はないかも、と思って今日を生きるという心づもりをしていきたい。

  • 地球滅亡まで八年と予告され、世界が混乱に陥り、殺し殺され、絶望し自ら命を絶つ人もいる中、五年間を生き延びた人たちの物語。残り三年、それでも生きてゆこうとする人と、それでも死を選択する人。

    生きることが正義なのかわからなくなるような状況下、人は希望をどこに置くのか。今自分のいる世界か、大切な人のいる世界か。「故人の分まで精一杯」なんて言葉は陳腐に思えてしまう。生きるか、死ぬか、果たして「正解」はあるのだろうか。

    読み進めていく中でどこまでも宙に浮いたような気分でいる自分に気づいた時、やはり私は限りなく幸せの中を生きてきたんだろうと思った。

  • 再読。「太陽のシール」と「冬眠のガール」が好み。どちらも女性が魅力的だ。こういう設定を読むと、「自分ならどうするかな」と自然と考えてしまう。戦争という設定になるとどうしても政治的な思想とかになってしまうが、避けようのない予測された自然災害だと人間の本質がむき出しになる。しかも滅亡まで8年っていう年数の微妙さがまたすごい。8年もあれば人間はいかようにも変わりうる。最後まで働いている人は本当に本当に偉い。私は働きたくはないなあ・・・。

  • あと3年後には地球が滅亡するといつ状態での、
    市民の日常生活を描いた本。
    設定は良いし、ところどころユーモラスな表現にクスッとしたが、日常生活を淡々と書いてあるので、物足りない感じがした。

  • 演劇のオールがよかった。自分ならどうかと当然考えたけど案外悪くないかなと。もちろん暴動なんかは嫌だし怖い、やりたいこともたくさんあるけど最後の時を大事な人とゆっくり迎えるのも悪くないかな、なんて。

  • 死ぬこと、生きることについて考えた。
    あと3年後に人類は滅亡する。助かる手段はないって時に、人はどんな何を思い、どんな行動をするのか。ヒルズタウンに住む人たちを登場人物として彼らの思いが書かれている。同じマンションに住む人たちだから1話ずつで登場人物がかなさっていくのも面白い。みんな落ち着いてたり不安になったり。死ぬこと、って何だろう、って。私は死ぬ間際に何をするんだろう。ただ、笑ってたいなあ、って思う。ああ、楽しかった!辛いことも含め色んなこと体験できて楽しかった!って思いたい。だからこそ長いようで短い残りの人生を精一杯生きてこう、って思えるんだ。人生に嫌になったら原点に戻ろう。

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