聞き屋与平―江戸夜咄草 (集英社文庫)

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著者 : 宇江佐真理
  • 集英社 (2009年7月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464566

聞き屋与平―江戸夜咄草 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 宇江佐真理氏の本は、ホンワカの江戸時代の下町人情物語も多い中、この本は、連作短編のなのに、先代からの火事の事故からの発端が、底辺に流れている。

    薬種屋『仁寿堂』の十代目の主 与平が、隠居して、聞き屋という仕事(?)をし始める。
    人の話を聞くだけで、占うわけでもなく、口をはさむこともないのだが、人は皆、心の奥にわだかまっている愚痴や不満がある。

    奇妙な商売で、見料は、話す人の気持ち次第で、お布施のような金額、無しでも構わないと。

    しかし、与平の身体が、弱って来て、最後に、話し手が、妻のおせきが、口にしたのは、まさに、与平が今まで、墓場まで、もっていこうとしていた事実であった。
    おせきも、今まで、誰にも言わずに、心に留めていたたのであった。

    与平の死後、継ぎは、おせきが、聞き屋を始めるのであった。

    一つのドラマのような話であり、理不尽なことが、多かった時に、自分だったら、どのように対処できるのだろうか?と、問いかける本であった。

  • 面白い。江戸の人情や生活がよく表現されている。一作で終わるには惜しい作品。

  • nizaco.blog91.fc2.com/blog-entry-664.html

  • 夜が更けるとともに、ある商家の通用口に
    男がひっそりと座る。
    儲けのためでも酔狂でもなく、
    ただ話を聞く与平。
    与平はなぜ話を聞くのか。
    心温まる時代小説。

  • 与平のすごさは、「聞く」ところ。
    聞き屋なのだから当たり前のことなのだろうけれど、突っ込まずに話を「聞く」のって、案外難しい。
    人の話を聞く機会は多いけれど、
    「ここでも相槌うった方がいいのかな」
    「何かアドバイスとか求められているのかな」
    「ちゃんと話聞いてるってこと伝わってるかな」
    と頷きながら悩むし、時には
    「これいつまで聞かないといけないのかな…そろそろ飽きたぞ…」
    なんて思ってしまうこともある。
    与平自身、その難しさは自覚していて、それでも話を「聞く」。
    それって、多分人に色んな影響を与える言葉を発する人より、ずっとすごいことなのだと、私は思っている。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    夜が更けるとともに、ある商家の通用口に、男がひっそりと座る。「お話、聞きます」。与平は人の話を聞く、聞き屋。姑の愚痴をこぼす嫁、主人への不満を募らせる奉公人。過去に犯した過ちを告白する者…。みな、そこで重荷をそっと下ろして家路につく。聞き料はお客の気持ち次第。温かい家族に囲まれ、商売も順調。儲けのためでも酔狂でもない。与平はなぜ話を聞くのか。心温まる連作時代小説。

    【キーワード】
    文庫・時代小説・連作短編


    +1+1

  • 人の話をただ聞く「聞き屋」
    お代は話を聞いてもらった者の心次第。
    その「聞き屋」をするのは薬種屋の隠居、与平。
    与平に話を聞いてもらうのは、父親が博打狂いで困っている少女、駆け落ちをした過去をもつ夜鷹など様々で、その話の内容も愚痴や悪口、懺悔など様々。
    『「聞き屋」。いつしか奇妙な男の商売は両国広小路の陰の名物ともなっていた。』

    何故、与平が「聞き屋」などを始めたのか、それは最後の最後に明らかになります。
    人の吐露する話、秘密を聞いていた彼にも実は大きな秘密があったのです。

    それにしても、ただ人の話を聞くって簡単なようで難しい。
    相槌ひとつにしても人の話の腰を折ることもあるし、どんな退屈な話でも真剣に聞かなきゃいけない。
    そういう事ができるのは、与平自身、人には言えない秘密を抱えていたからなのかも知れない。

    こういう「聞き屋」が今の時代にもあればいいのに・・・。
    似たようなもので心理カウンセラーがいるけれど・・・。
    料金も時間もきっちり決まっていて訓練された聞き方をされるより、聞いて欲しい時ふらっと、ふと見かけた「聞き屋」に話を聞いてもらえたら敷居も低くて心を開けるような気がする。
    それにこの「聞き屋」ただ話を聞くだけと言いながら、その相談相手に何となく関わっていて血が通っている。
    そういうのがあったかも知れないと思える時代がいいな・・・と思いました。

  • 隠居後に聞き屋を始めた与平

    様々な人の話を聞き、
    時には客の人生を左右することもしばしば

    息子夫婦の間のゴタゴタや
    土地の岡っ引き鯰の長兵衛からは、先々代の死の真相を問い詰められる日々

    聞き屋は与平にとって何だったのか…

  •  前作を散々くさしておきながら性懲りもなくまた読んでいる。それほど宇江佐真理に惚れ込んでいるわけではなく、単に2冊買ってあったというだけの話ではあるが。
     本書、とりあえずは水準作でほっとした。これがダメだったらもう二度とこの著者は手に取らないところだった(除く「髪結い伊三次」)。聞き屋なる商売というか役割が成り立つものかどうかわからないし、設定としてちょっと無理がある気はするけれど、主人公与平とその家族を含む周囲の人々、その温かい交歓が心地よい。鯰の長兵衛、おうの、おまさとちょい悪役も配されてはいるものの、底が浅く罪がない。聞き屋の客の話も他愛ないし、悪くいえば微温湯的で緊張感には乏しいけれど、一応全編を貫く謎というほどではないものの過去の秘密があって、それが最後に意外な明かされ方をする。ただ、それがこの作品の主題ということではなく、ひとつの大きなエピソードというのが正しいのだろう。
     およし、おなか、おさく、おせき、脇役の女性陣がそれぞれに魅力的。「七人のおば」ほど明快ではないけれど似たような人物をそれぞれに書き分けてみせるというのは、それなりの筆力なのだとは思う。

  • 図書館より。
    薬屋の経営から退き、人の話を聞く聞き屋を始めた与平を主人公とした時代連作短編集。

    与平を始め登場人物たちの生き生きとした雰囲気や悩んだり苦しんだりしている様子が伝わってきました。だからこそ登場人物たちが幸せをつかむとこちらもなんだか温かくなります。

    そして優しい目線で聞き屋のお客や息子たちのことを見守る与平の姿も読んでいて、読者である自分もほっこりとしました。

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