ハニー ビター ハニー (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.45
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本棚登録 : 2973
感想 : 319
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464900

作品紹介・あらすじ

陽ちゃんは親友の沙耶香の彼氏だ。でもわたしは彼と寝ている。沙耶香のことは大切だけれど、彼に惹かれる自分を止められない-(「友だちの彼」)。ライブでボーカルの男性に一目惚れし、誘われるままホテルへ。初体験。…あたしは本当にこういうことがしたかったの?(「もどれない」)甘やかで、ほろ苦く、胸のちぎれるような切なさをたたえた全9話。人気歌人初の恋愛小説が文庫オリジナルで登場。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが言うとおりに、あまく、苦く、甘い。
    お菓子の詰め合わせみたいな短編集でした。

    軽やかな余韻と物語のテンポのよさが心地よくて、表紙に惹かれて読んだのですが、どうやら当たりを引いたようです。
    島本理生さんがあとがきを書かれているんですが、あとがきを読んだらもう一度読みたくなって、最初から読み返してしまったほど。

    加藤さんがもつ軽やかさやシャッターチャンスを逃さないような瞬間の切り取り力なるものは、短歌を作る過程で培われたものなんですね。
    いや、むしろそういったセンスがあるからこそ、多くの人に愛される短歌をつくりあげられたのかもしれませんね。

    くすぐったいような恋愛から、苦くざらりとした恋まで、午後の紅茶タイムのおともにおすすめな一冊です。

  • 自分の状況と重なる部分もあり、ハッピーエンドではないかもしれないけれど、ふわっと生きていく、それぞれの主人公たちがとても愛おしかった。

  • 恋とは何か、わたしのそんな疑念にひとつの解答を与えた。恋心は言葉では表せないけれど、確実にそれに近いなにかに触れたのがこの作品だった。あまくて、にがくて、あまい。名詞の甘さがあまったるかったり、あまくなかったり。

    恋なんて、勘違いに等しい。人だまりにいくと、みんな勘違いをしていて、勘違いのおはなしをきくことができる。その物語はどれも苦くて、だけれど裏側にはどこか目を惹きつけられるような甘さがある。
    お菓子は焼き時間を間違えてしまえば、甘かったはずのものがくろこげになってしまう。もしかしたら、あまいとにがいは表裏一体なのかもしれない。甘くなれないと上手に苦くなることもできない、そんな人生。

  • 切なくて甘くて辛い短編集でした。
    そのあとどうしたんだろう!?と思うものもありました。

    カトチエさんの短編集もっと読みたくなりました。

    あと表紙が可愛くて好きです。

    『スリップ』と『甘く響く』が特に好きです。
    『甘く響く』だけちょっとテイストが違う感じです。

  • どれもリアリティがない恋愛物語たち。けれどもおもしろい!私の幾つかの恋愛もこの中にいれてぐちゃぐちゃーって混ぜてほしい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どれもリアリティがない」
      物語を読むって、何を求めているのでしょうね?
      と、フと思ってしまいました。
      「どれもリアリティがない」
      物語を読むって、何を求めているのでしょうね?
      と、フと思ってしまいました。
      2012/12/25
  • 「キュン死に注意報」が発令されるくらい、かわいらしい小説だった!中村航ばりのバカップルの話あり、失恋の話あり…まさに「ハニー・ビター・ハニー」。
    私はバカップルの話が好きだから「甘く響く」が良かった。けどどれもすごく上質な短編だった、ホントに。
    なかでも名言は「ドライブ日和」のなかの「なんでも許せるなんて、恋してないからなんだろうね。(中略)全部許せるなら、愛だよ。」これすごい!
    この人元々は歌人らしい。そっちも読んでみたいな。

  • 友達の彼氏と浮気してて、ガムのレシートで気づかれるの悲しい。友達のこと好きなら尚更ひどいよなあ(1作目)。あと2作目は彼氏に好きな人ができたのに一緒に暮らすっていう。でもわかるんだ~何も知らなくて勝手に黒い想像して落ち込んでいくよりは、いやな事実を全部知ってその事実に侵されていくほうがいいって感覚。あの人たちとキスしたならしたで知りたい。知ったうえでどうにか判断したい。「好きです」って言って「俺も好きです」って半端ねえな~電話越しの告白。そしてドーナツ屋で中学のときお互い好きだった人に再会して付き合い始めるってまじで青春かよ感。夜の住宅街を二人で歩くの結構憧れるシチュエーションです。そして待って。友達越しに昔の女の話を聞くというよくある感じ。しかもまだその人と付き合ってて自分は浮気相手~名古屋に来させなかったのはそれなのね。会いたいねって電話してたのに。絵距離って何でもできるねえ。処女を失って、処女とかじゃなくて何か失くしてしまったんだって話わかる。浮気に気づいて言えなかったけど、マシュマロを機に硬くても柔らかくても結局はだめになってしまうんだ、だめなときはもうだめなんだと気付いて切り出そうとするシーンもよかったなあ。

  • 中学生の頃に表紙に惹かれ手に取った本。
    今でもお気に入りの一編を読み返します。
    ジェリービーンズのお話が好き

  • 積みすぎた。もっと若いときに読んいれば…


  • 俺は真澄の気持ちがわからないよ
    (略)
    だけど、わかりたいし、わかり合いたいって思ってるし、本当に好きだよ。そういうことのほうが、大切なんじゃないかな(p198)

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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