新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫)

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著者 : 木内昇
  • 集英社 (2009年12月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (569ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465174

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新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、おもしろかった!
    とにかく誰かにオススメしたくなります!!


    500ページを超える分厚い本を手に取ったとき、おもしろそうだと思いながらも気後れしたのが、うそのよう。
    読み始めたら、とにかく面白い。
    芹沢鴨の一件が絡んでくるあたりから展開が加速して、山南敬助が追い詰められ脱走するところまでくると、本を閉じることができなくなる。

    新撰組やその周りの人々、一人ひとりスポットライトをあてながら、彼らの目線でそれぞれの出来事が語られ、物語が紡がれていく。細かく語り手が変わることで見えている側面がくるりと変わって、ミステリーを読んでいるようでもある。
    物事を表面的に見ていたり、良い面だけを見て満足していたり、欺いていたり、欺かれていたり。とにかく次が知りたくなって、目が離せない。


    今まで新撰組に対して関心を持ったことは無かったように思う。
    大河ドラマ「八重の桜」を見ていて、悲劇的な印象ばかりが残る戊辰戦争の中で、斉藤一を演じていた役者の鋭いまなざしと寂しげな瞳の中の光が妙に気になり、新撰組に興味を持った。
    配役によるイメージや脚本での描かれ方、人物に対する解釈によって、歴史上の人物への理解はずいぶん違ったものになるのでは、と予想していたけれど、この本の中の斎藤一は当初のイメージが重なる部分が多かった。

    土方さんの参謀ぶり、沖田さんの天真爛漫さ、永倉さんの正義感が強くまっすぐなところなど、それぞれが持つ魅力が存分に描かれ、新撰組は「ただ乱暴な人切り集団だったのでは?」という私の先入観をあっさりと覆してくれた。新撰組初心者にもキャラクターの造詣がわかりやすくて、助かる。

    近藤勇は、「リーダーとしての統率力に秀でた人」というより単純で素朴で表裏のない人で、思っていたよりずいぶん表面的なものに囚われている人に映った。だからこそ、感情をストレートに表現できない土方さんにとって、全力で支える価値のある大切な人。そこに魅力を感じた人たちは彼だけではなかったようで。

    土方さんは最初に登場したときの何者にもなれない焦燥感にじりじりする様子と中盤のぶれなさの対比が興味深い。許しがたい部分も持ち合わせ、多くの人たちから恐れられているのに、一本筋の通ったところが彼の本質を知る人を魅了し、信頼を得る。彼の信じるものは、頭でっかちな『学』ではなくて、経験と観察に裏打ちされた事実のみ。
    ナイーブで優しい性格を素直に表せない人。正直、近くにいたら面倒くさい人だと思うけど、本で読むとすごくまっすぐな人。周りが立ち位置を変えるからよくない評価を受けているけれど、本当は彼が絶対的な立ち位置にいる。そのことを知っている人が彼について好意的に語るシーンがとてもいい。

    ひょうひょうとしていて相手を油断させるほどでありながら、物事の本質をさりげなく見極めている沖田さん。

    三谷さんの「新撰組!」を見ていないので、詳しくないんだけれど
    山南さんは確か堺雅人さんが演じていたはず。う~ん、納得!
    本書だと若干浅い感じも漂うし弱さも隠せないんだけど、堺さんの瞳の奥がすーっと深い感じにぴったりだったのではないかと思います。

    こうやって書いてくるとずいぶん息苦しそうな話に思えるけど、時折ニヤリとさせる場面もあり飽きさせない。
    ままならなさ。せつなさ。
    『幕末の青嵐』というだけあって、いっときも留まっていられない時代の流れの中で、精一杯生きて、自分たちの存在を必死で肯定した青春群像劇なのである。


    「俺は人物が並みだから、こんな仕事ばかりお鉢が回ってくる」と永倉はつい呟いた。傍らで聞いていた斎藤は(中略)独り言のように言った。「普通でいられる奴が、一番強い。・・・(中略)生き残るには、普通でいることだ」(P171)


    彦五郎は、彼らの奔放な生き方に憧れながらも、自分の暮らしもまた豊潤だと信じている。・・(中略)・・・どこまで行っても手に入らぬと思い込んでいた美しいものは、存外、自分のすぐ近くにあるものだった。 それを知ったとき、今まで感じたことのない確かな幸福が、その人物のもとを訪れる。 (P255)

    「でも存外、よかれと思ってしたことが仇になることもあるんです。人が違えば感じ方や考え方が違うのは当たり前で、相手のことを全部わかったような気になっちゃ間違いがおきます」(P313)


    気持ちのうえではどこにも属さぬと決めていたが、俺にも存外甘い部分があるとみえる。(P418)


    あの激動の中で自分を失いそうになりながら、精一杯生きた人たちの言葉には重みを感じる。
    今まであまり手に取ることがなかった歴史系の小説が俄然気になりだしました!

  • 初の木内昇作品です。
    資料に基づく安定したベースの上で展開する文章の巧みさにすっかり虜になってしまいました。

    新選組の結成から最後までを描いた物語。
    新選組隊士や幕府関係者の個人の目線で物語が展開していくのですが、それぞれの想いや周囲の人物に対する感情が鮮やかに描かれているため、彼らがどんどん身近な存在に感じられてきました。
    あとがきで、木内さんは「描く時代に自然と同化してしまう、そういう巫女的な才能の持ち主であるようだ」と評されていますが、まさに新選組の面々が著者に憑依したかのように思えてくるのです。

    登場人物1人1人がとても魅力的なのです!
    怜悧の裏に情に厚い自分を隠している者。
    天真爛漫に、感覚のままに生きている者。
    学問や思想に重きを置き、その実現を目指す者。
    同じ組織に属していても、不満を抱えたり、反発したりしつつ、それぞれの生き方を追い求めていった若者たちの姿に姿勢を正されることたびたびでした。
    動乱の時代をもがきながら生きた若者たちによって語られる言葉だからこそ、読者の胸に迫るものが強かったのかもしれません。

  • 一カ月以上かかって、じっくりと読みました。
    今まで読んだ新撰組ものの中で一番好きかも。

    各隊士にまんべんなくスポットライトが当てられ
    心情なども丁寧に描かれていて、読んでいてハラハラ、ドキドキ
    くすくす、そして涙と盛りだくさんで感動しました♪

    芹沢鴨から始まり、維新まで各章で視点が変わり新鮮。
    慣れるまで時間がかかったけど、慣れると一気に加速した。

    自分も隊士になって一緒に時代を駆け抜けたかのように
    感じることができました。

    クライマックスは山南さんの切腹と
    藤堂平助の油小路の変では涙が。。。
    (この二人は悲劇の主役だなぁ…)

    新撰組のお話は、何を読んでも
    いつ読んでも読み終えると切なくって・・・たまらない気持になる。

    そして読み終えるともっと知りたいと思うし
    ますます好きだな、と思う。

    この本で個人的に、ピカいちだと思ったのが永倉と斎藤。
    生き残っただけある強運と生き抜くという信念が
    半端なく、カッコ良かった。
    土方さんの描かれ方も芯と筋が通っていて感動した。

    あとがきがまた良くって、「茗荷谷の猫」も読みたくなってしまう。

  • ブクログお友達の魅力的なレビューが無かったら全く知らなかったし手に取ることもなかっただろう作品。出会えて良かった。

    初めての著者、初めての新選組。
    新選組に詳しくなかった私には、細かく視点が変わるスタイルも、時間軸通りに進んで行く流れも、とてもわかりやすくて良かった。

    新選組という組織全体に対する印象は、読み終わってからもあまり変わらず、私の中で特に美化されたわけではない。
    しかし個々の登場人物に関しては、これは著者の描いた架空の性格や行動であるのだと思いつつも、沖田、永倉、山南、土方、斎藤が良かった!

    武田の狡猾さを描いたところでは、現代にもこういう人間いるよなあと思わず笑ってしまい、藤堂の最期では泣いた。
    その藤堂の最期あたりから、彼らが怒涛の政変にのみ込まれていく様は、もう目が離せない。

    その片時も目が離せない段階を電車内で読みつつ、今日は習い事へでかけた。
    レッスンが始まるギリギリまで読んでいたから、周りの皆さんから「何読んでるの?」と声がかかる。
    「新選組です。今鳥羽伏見の戦いなもんで」と私が答えると、誰しも「ああそりゃ佳境だ、大変だ」って反応になるのが面白かった。

    本書を読みながら、色々調べまくり、書きまくり、私の中でやっとこの時代の点と点が繋がって線になった。
    面白かった!

  • 司馬さん以外の歴史小説を読んだのは初めてで、個人的にはこれは画期的なこと。読まず嫌いだっただけだが、司馬さんほど楽しめなかったらどうしようという贅沢な恐怖があったからだ。
    母に薦められた『茗荷谷の猫』が面白かったので他の作品も…と思って出会ったのが本作品。本当はもう一つの無名隊士に焦点を当てた新選組モノのほうに興味を持ったのだが、司馬『燃えよ剣』の内容もすっかり忘れてしまったことだし、メインストリームから攻めることにした。
    隊士及び関係者たちが、短い章ごとに代わる代わる主格となって語っていくスタイルで、とても読み易い。テンポも良い。悪役っぽい芹沢鴨や伊東甲子太郎も含めて、それぞれ頑張ってるな、という群像劇らしい感じになっていて、どの人物もきちんと印象に残る。(それは大河ドラマの『新撰組!』を見たあとだからかもしれないけど…。)
    多摩時代からの仲間同士のつながりを重く描いているのも、大河ドラマにちょっと似てるかなあ。うろ覚えながら、『燃えよ剣』では流山で歳三と勇が袂を分かつシーンは、人と人とが同じ考えで同じ方向を向いて歩き続けて行くことはできないんだな…という思いで読んだ気がするが、大河も本作品もそういう描き方ではなかった。歳三の勇への思いと、勇の歳三への信頼と、それが通じ合って結果勇は官軍の元に行く。

    大河がバーモント甘口、燃えよ剣がジャワカレー辛口とすれば、木内昇の本作品は、バーモント辛口かなあ(笑)

  • 本作は現代風の言葉で綴られているので読みやすいですが、
    ある程度、新選組の動きを知っていた方がいいとは思います。
    新選組の上洛前からの話をそれぞれの章に区切って
    隊士や主に幕府側の人物によって語られてますが、
    章によって、目線が変わるところが面白いんです。
    語り手の隊士などの心の呟きやら、目線から
    その隊士だけでなく、他の隊士の輪郭がハッキリしてくる。
    作品によって、描かれ方は色々なんだろうけど
    その隙間を埋めたり、印象が少し変わったりと
    別の意味でも楽しめました。

  • 面白かった!!!

    新選組本は何冊か読んできましたが、
    その中でも特にお気に入りの一冊になりました!

    まだ薬売りをしていた土方さんが、天然理心流と出会う所から、
    やがて新選組として名を馳せ、はるか北の地にて果てるまで。
    次々と視点(語り手)が変わる所が面白いですね。

    同じ出来事でも、視点が変わればこんなにも違って見えるものなのか。
    主人公にはついつい肩入れしてしまう傾向があるので、
    彼らと敵対する人間からも描かれる物語は、とても新鮮でした。

    人一倍情に厚いのに、絶対にそれを表に出さない不器用な土方さん。
    子供のように明るく大らかで、でもどこか掴めない飄々とした沖田さん。
    一匹狼で決して自分を失わない斎藤さん、博学で優しい山南さん。

    皆が自分のイメージの中の隊士達そのままで、嬉しかったです。
    特に土方さんの恰好良さは異常(笑)

    山南さん切腹の場面や平助君の最期等は、涙なしには読めません。
    女性作家さんだからか、危ういシーンもなく綺麗で爽やかな印象。
    でも底流にはどっしりと芯の通った強さがあります。

    新選組好きなら必読です!!!

  • 同じ人物でも事柄でも見る人が違えば立っている立場が違えば印象も評価も変わる。
    視点が次々に変わるのでとても立体的で解りやすい。
    新選組に限らずだけど、史実と史実をもとにした小説はまた別物と思っているので、数ある説のひとつをとっているというところに特に個人のこだわりはないから、たとえば池田屋で沖田総司が喀血してもしなくても、竜馬暗殺が誰の手によるものであっても、別にいいんだ。
    それよりも隊士たちがみんなあの時代を生きて生き抜いたってとこがとても泣ける。

  • 読み始め…17.1.23
    読み終わり…17.1.25

    近藤勇・土方歳三・沖田総司
    山南敬助・藤堂平助・斎藤一
    長倉新八・原田左之助・井上源三郎
    芹沢鴨・そして.....

    幕末の新選組の志士たちの生きざまが
    清らかで勇ましく美しい....。
    一人一人の成し遂げたことは
    若者の純粋な心そのものといつも思います。

    これで最後...と知っていても
    命を絶たれる瞬間には身につまされる。

    新選組の主だった隊士たちそれぞれの
    モノローグで語られる幕末記。
    一人一人がどんな思いであったかが
    じっくりと語られている分
    読み手に伝わる気持ちもより深い。

    木内昇さんやっぱり好きです。

  • 読んで良かった~!!
    土方歳三、近藤勇、佐藤彦五郎、沖田総司、山南敬助、井上源三郎、斎藤一、等々複数の視点から描いた新選組。それぞれの矜持や思想が違っているのも面白いし、近藤への評価もいろいろなのが新鮮で興味深かったです。そういうこともあろのだろうなぁと思わせる書き方、それぞれの人物の個性も活きていて、その人物がよりリアルに感じられました。特に終盤は泣けました。副長好きの私ですが、沖田や山南、斎藤、永倉にもグッとくるものがあり、とても良かったです。
    お薦めです。

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