僕と妻の1778話 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465419

作品紹介・あらすじ

妻が、悪性腫瘍のために余命一年と告げられた。作家の夫は、妻に余計な心配をかけないようにする以外、出来ることはない。せめて、毎日気持ちの明るくなるような話を書いて、読んでもらおうと考えた-。第一回『詰碁』から一日一話を妻に捧げ、『最終回』まで、全1778話になった。夫婦の歳月のなかのメモリアルセレクション52編。五年頑張った妻が亡くなった日までの、感動の創作秘話も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「お前、眉村卓ばかり読んで楽しいか?」
    高校1年のとき、筒井康隆ファンのクラスメートは、よくそう言って僕の目の前で頭を抱えた。
    眉村卓の生み出した多くの生真面目な主人公がそうするように。
    今、その真面目な眉村さんだからこそ、生み出すことができた1,778話の抜粋版が目の前にある。
    残念なのは、抜粋され過ぎて(たった52話)、十数年前に初めてこれを読んだ時より感動が半減していること。
    サンキューが「スギサクの章が良かった」と言ってきた時、僕はこの本の中身を完全に忘れていたが、読むうちに、「家事用ロボットの話って1作だけではなかったよな」中途半端に記憶が蘇ってきた。
    ともあれ、悦子夫人に短編を捧げ尽くした眉村さん、一番の読者であった悦子夫人、その両親をしっかり見つめていた娘の知子さん。この短編集は、家族3人の合わせ技のような気がする。
    1,778話目、あの世や来世でも、巡り会うことさえできたら、眉村さんと悦子夫人はまた、一緒に暮らすことができるでしょう。
    僕も、眉村さん自費出版の「日課・一日3枚以上」読破する勇気はないが、十数年前のあの本に巡り会うことができたら、また、読んでみようと思う。

    サンキュー、話題にしてくれてありがとう。久しぶりに「眉村卓ワールド」に浸ることができました。

  • 新潮新書の方を読みたかったが、図書館にはこちらしかなく。

    奥様が病気になり余命一年。
    作者は奥様の為に毎日明るくなるようなショートストーリーを書き続ける。
    それって結構大変。それだけ奥様を思ってる証。

    全1778話中の52編。奥様は5年頑張られた。

  • 毎日一話、約5年、そのうちの52編。
    物語とその解説、奥様との様子、背景の日常、
    巻末の解説、全て合わせて一つの本として読む。

    意識的に自らを、読者を鼓舞しようとしたり
    無意識に日常が物語に影響をしたのだろうと想像できたり。

    続ける、ということは時に大変だったと思うけど
    作品中でも語られたように、止める・変えるのが
    怖かったというのもあるのだろう。
    毎日ではなかったにしろ、作家として創作をし、
    奥様が第一の読者である、というところも。

    もしも生が続くなら、これからもあり得たはずの
    お二人の姿を、残された時間でできる限り
    やりつくしたのかも、と思い。
    最終2話には、涙が浮かぶ。

  • 余命一年と宣告された妻のために、作家の夫が、毎日一話書き続けた1778話。第1話から亡くなった日の最後の原稿までより妻に好評だった作品を中心に選んだ52話。執筆時の裏話を収録。

    まず驚いたのは、約5年間、毎日一話を書き続けた著者の努力と才能。
    読書好きな妻のために、楽しくなる話、気持ち的に辛くならない話を書く、というルールの中で、よくもアイデアが途切れないものだと思った。
    しかも、この本に収録されている話はどれもニヤリとするくらい面白い。

    終わりに近づくにつれて、著者の辛い気持ちと、お話の雰囲気がリンクしてくるのに、胸が痛くなった。
    そして最終回。
    なんて優しいお話なんだろう。

    各話にそれぞれ、当時の著者の気持ちや妻の反応(面白がっていたとか、反応がなかったとか)が書かれているのも興味深く読んだ。

  • アメトークで紹介されていて、新書の方が売り切れていたので、こちらを購入。
    正直、アメトークで紹介されていた作品が映画化された作品と同じだったとは、知りませんでした。
    星新一のショートショート風の超短編集が1778集ありますが、そのなかから厳選して載せています。
    個人的に短編自体は退屈なのですが、毎日書き続けることに眉村さんの妻に対する思いやりや愛の深さを感じました。一番最後の短編は、じんわりときました。ただ、いきなり最後だけ読むのは、厳禁です。今までのことがあったからこそ、切なくなります。
    一つ一つが短いので、通勤途中の読書としても良いかと思います。

  • 闘病日記を読んでいるようでぎゅっとする。毎日、奥様と自分のための物語。
    あとがきで泣ける。

    習慣は自分を支えますね。

  • 眉村卓『僕と妻の1178話』集英社文庫。

    52編を収録したセレクト短編集。一つひとつの短編は眉村卓らしい普通の短編なのだが、短編に添えられた創作秘話が感動的である。新書の『妻に捧げた1778話』とはまた違う構成のようだ。

    悪性腫瘍のため余命一年を宣告された妻に心配を掛けまいと毎日四百字原稿用紙三枚以上に書いた創作短編のセレクト集。五年間の夫婦の闘いはついに最後の日を迎える…

    ついに妻は力尽き、眉村卓が最後に妻に捧げた短編は…

  • 悪性腫瘍で余命一年と宣告された奥様が亡くなるまでの間、著者さんが1日1話書いたショートショートのメモリアルセレクション。

    ショートショートとしては普通に面白く読めたのですが、終盤になるにつれ著者さんの精神が追い詰められていくのが分かり、辛かったです。
    お話を捧げつづけた5年間。積み重なる物語の多さに、お2人の間の確かな愛情と信頼関係を感じます。

    表紙や所々にかいてある、ゆるっとしたイラストも可愛いです。

  • 2021/3/8 読了

    一時期話題になった作品で気になって読んでみたが、個人的にはイマイチだった…
    勝手にラブレター的な感じかと思っていたが違っていた。
    まだ読む時期ではなかったか…

  • 奥さんが余命1年と宣告されて毎日1話を書き奥さんに読み聞かせるというなんともあたたかい愛情から生まれた作品です。その愛情により5年間奥さんはいきつづけることができたそうです。SF作家という認識はあったので現実からかけはなれた宇宙的な話かと思いきや、ごく日常的な話もあり、面白かったです。中でも家事ロボットのスギサクの章が一番すきです。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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