結婚は人生の墓場か? (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465587

作品紹介・あらすじ

小早川正人。大手出版社に勤務し、年収は1000万円以上。二人の娘は有名お嬢様学校に通い、可憐な妻は素敵な我が家でレースを編む。一見幸せな結婚生活だが、実態は多額のローンに追われ、仕事に追われ、妻のリクエストに追われ、散歩すらままならず-。みんなに祝福されてゴールインしたはずなのに、どこで間違ってしまったのだろう?シニカルで斬新な結婚論が炸裂する、強烈な夫婦小説。

感想・レビュー・書評

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  • この小説は僕にとって危険すぎる
    悪い意味で個人的にインパクトを受けたということで、評価5

    出版社に務めていて年収は1000万を超えるにもかかわらず、不自由な結婚生活を強いられている小早川という男の話

    お嬢様として育てられた妻は、日本語が話せるけど独自の論理思考を持つため一般的とは異なったコミュニケーション能力が必要
    そしてそのリクエスト内容も優先順位が決まっていると思われるが、夫の小早川は釈然としないものを感じる
    度重なる引っ越しによる住宅家のローンと過大な教育費、そして意味不明な妻のリクエストの解読
    散歩に行こうとするものなら、そんな事よりも家の中のあれをして欲しいこれをして欲しいと自由な時間は一切ない


    やべぇ、自分の夫婦生活を追体験したようで読んでいて手が震えた
    ちゃんとした医者に行ったらPTSDって言われるレベルじゃなかろうか?
    そのくらい私にとっては恐ろしい話だった

    この小説をフィクションと思わず、世の中には頭のおかしい女がいるという事を世間は知っておいたほうがいいと思う

    小説独自の気持ち悪いところは、犬に関するエピソード
    登場人物の一人と同じく吐き気をおぼえた
    雪穂はペットを飼う資格のない人だよな
    そして、一見円満に見える親子関係もそれを踏まえるととても恐ろしい風景に見えてくる


    個人的にはホラー小説だよこれは

    京極夏彦の「厭な小説」の一遍「厭な彼女」に通じる怖さ
    会話が成り立っているようでまったくのコミュニケーションができていない

    人間と同じ姿形をした違うナニカみたいだな

  • 2014/05/14読了。直木賞を授賞して以来、書店でよく目にする姫野作品のなかから、タイトルが気になって選んでみました。
    出版社勤めの高給サラリーマン小早川は、超お嬢様学校出身の雪穂と、罠にかかったかのように結婚。ある意味天然、論理の通じない妻に、選択の自由など無い小早川の結婚生活。やや毒のある姫野節が爽快です。
    作中の『しこめのいいわけ』は、『負け犬の遠吠え』のイメージかな?
    体制と仕事を2軸にとったオヤジ、しこめ、美
    女の分析も面白かった。ちょっと極端だけど、共感できます!

  • 「私カトリックだから〇〇。」使えそう笑
     恐ろしい妻だったなあ。学のない神経質な人の行く末。
     公立と私立どっちにも通うメリットの1つは、裕福な家庭とそうじゃない家庭のレンジを知れることなのかもな。
     タバコを辞めさせようとするのは、相手の健康を願う愛の現れなのかもな。
     結婚は人生の墓場かというタイトルに対して、小説では、往年愛し合う老夫婦や逆行する夫婦、今のところ幸せそうな夫婦が出てくる。この違いは何によるのだろうか。


  • 結婚生活の話題が酒の肴になり、そこで取り上げられる伴侶は自嘲気味な取り上げられ方もあって必ずしも美しい題材にはなり得ないから、結婚なんて人生の墓場、と思う事もあるだろう。自分の人生で大事にしたいと考えていた価値観が、結婚相手や子どもに合わせて変容せざるを得ない事もしばしば。夫婦二人なら楽勝で、子どもがいれば、会社人生まで変わらざるを得ない。そこに共通するのは「妥協」だ。だけれど、妥協無き人生に何か意味があるのだろうか。こだわりの死を貫くなど、直線的な生の浪費でしか無いから、くだらない。

    カリカチュアされた結婚墓場感が、こうした自嘲的な居酒屋トークを皮肉るように描かれ、作者に想像してごらん、と試されているよう。マウントを取りたい性と、セックスをコスパで考える無気力な性が、流されるように妥協に飲まれる展開。面白いかと言われりと、そうでもない。微妙、である。

  • 出版社に勤める主人公・小早川と、お嬢様育ちの雪穂の夫婦の物語。

    ダイレクトなタイトルに惹かれたのですが、エッセイだと思ってたらなんと小説でした。

    怖面白い。
    というのが率直な感想。

    結婚が人生の墓場か否か?というこを、これまでの結婚生活の中で思ったことのない私。
    だからって、今までずっと順風満帆だったのか。と言われても、決して全てがそうではなくて、まぁそれなりに紆余曲折あるのが結婚生活というもの。だと思ってます。

    新婚当初は誰しも、昔よく見た洗剤のCMのように、歳を取ってもいつまでも手をつないでいられるような、そんな夫婦でいたい。なんて夢見たものの、それなりに現実は厳しい。なんていうのもよく分かってて。

    だからって、今この現状を「墓場」だなんて思うわけでもなく、淡々と代わり映えのない日常と変わらない住居(笑)こそが、実はとても幸せなことなんだよなー。なんてことを、この物語を読んで思ったりしました。

    結婚とは、忍耐と思いやり。だと私は常々思ってるのですが、実は主人公・小早川のように「諦める」ことも、結婚を長続きさせる秘訣なのかもしれません。

    妻・雪穂の強引で意味の分からないわがままっぷりと、小早川の何事にも迅速な諦めっぷりが、なんとも可笑しく、これはこれで二人はうまくいってんじゃない。なんて思ったりしたんですが、最後の最後、川松教授の質問に対する小早川の答えが、妻として女としてなんとも切ないなー。という感じがしました。

    あのあとこの夫婦、どうなっちゃうんですかね。
    気になります。

  • 価値観が極端に違う夫婦の日常。妻の望みを叶えるために日々仕事に奔走する夫は、妻に愛情を感じたことがないことに気づいてしまい愕然とする…悲しい。最初から最後まで負のオーラ全開だった。

  • 2017.12.28-105

  • 著者の本は初なのでどんなもんかと思ってそこらへんに転がっていたこいつを手に取った。女性誌エッセイっぽい文章には終始違和感を感じはしたが、話に引き込まれていくと超極端な小早川夫妻にイラっとしつつも、ベストセラー考察や結婚・女子高考察辺りでは結構ふむふむ、と読了。文体はわざとだろうし、文章や内容は物凄くしっかりしていた。超絶嫁雪穂に公立高校がひたすらばかにされるわけだが、ここまで極端ではないにしても同様のことを思うタイプの人がいるのは事実だし、逆に自分は公立高校出身をちょっと自負しているところがあり(地方にありがちな逆差別)、まあどっちも同じだなぁ、と雪穂に少しだけ共感してしまった。個人的にブランディング好きなところがあるので、総じて面白かった。こんな結婚生活は絶対嫌だけど。

  • 作者が高尚な人物として度々登場するのが気持ち悪くて、物語全体の印象に悪影響

  • 男性目線からの「結婚は人生の墓場か?」という問い。お嬢様学校出身の奥様に子供達、素敵なお家。はたから見たら幸せそうな家族だけど、自由はなくお小遣いは少なく、ワガママな妻に何もかも納得できないまま決められていく生活。

    読み進めるのが辛い。グチグチと何かに例えて嘆くのみ。理解できない見栄のお嬢様世界も不愉快。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

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