資本主義はなぜ自壊したのか―「日本」再生への提言 (集英社文庫)

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著者 : 中谷巌
  • 集英社 (2011年1月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087466539

資本主義はなぜ自壊したのか―「日本」再生への提言 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  •  2013年05月01日単行本でのレビュー
    資本主義経済では利益と繁栄は約束されるが、真の自由と平和を手にすることはできないのだ。グローバル経済下では貧富の差がまし、庶民は更なる労苦を強いられる。利益と繁栄を享受できるのは一部の富裕層なのである。あのフランス革命もブルジョアジーが貴族から特権を奪い取るのが目的であり、革命成功後、有産市民階級(ブルジョアジー)は更なる利益と繁栄を手にすることになる。

     資本主義経済の行き着く先は環境破壊である。利益を得れるならば地球の環境を犠牲にすることを厭わない。資本主義経済は最悪のシステムなのだとか、ただいままでに試したどんな経済システムよりも優れているらしい。まるで禅問答のようである。

     知らずに文庫本にて再読、今回のレビュー
    市場主義が「悪魔の碾き臼」となり社会の仕組みを歪ませ、人間性を破壊するに至る。その原因は労働・土地・貨幣の3つの「禁断の商品」を扱うことで起こる。この3つの取引が資本主義のメカニズムからいって、尋常でないほどに貧富の格差が広がる要因であることに間違いない。

     自然を敵と見なし、征服、コントロールしようとする一神教的発想には自ずと限界が見えている。自然と調和しようとする多神教国がこれからの時代をリードすべきである。悲しいかなグローバル化に追い受け追い越せと日本社会の独自性は希薄になっている昨今である。

  • [ 内容 ]
    IT革命に支えられた「新自由主義経済」は人類を幸福に導くはずだった。
    だが、その結果、起きているのは世界的な格差の広がり、止めどもない環境破壊、激化する資源獲得競争など悲惨の連続である。
    マーケット・メカニズムは社会を解体し、自然を破壊し、人類を滅亡の淵に追いやっていると言っても過言ではない。
    かつてはボーダレス経済を礼賛した著者が語った「市場原理主義の大いなる罪」とは。

    [ 目次 ]
    序章 さらば、「グローバル資本主義」
    第1章 なぜ、私は「転向」したのか
    第2章 グローバル資本主義はなぜ格差を作るのか
    第3章 「悪魔の碾き臼」としての市場社会
    第4章 宗教国家、理念国家としてのアメリカ
    第5章 「一神教思想」はなぜ自然を破壊するのか
    第6章 今こそ、日本の「安心・安全」を世界に
    第7章 「日本」再生への提言
    終章 今こそ「モンスター」に鎖を

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 細川、小渕内閣で構造改革を推進した著者の懺悔の書

    グローバル資本主義でアメリカで中流階級がいなくなり、格差が広がり 
    いまでは、日本も20年間で格差が広がりつつある


    エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」とあわせて読みたい1冊

  • 「構造改革」の牽引役となった著者が、新自由主義の諸問題について反省をおこなった「懺悔の書」とされています。

    私のような経済学の素人が不思議に思うのは、経済学という学問は高度な数学を用いた極めて精緻な理論体系を築いているのに、その理論が適用される領域や境界条件を現実と折り合わせていくような議論が欠けているように見えてしまうことです。社会的な影響が大きすぎるために大規模な実験がおこなえない以上、仕方がないのかもしれませんが。

    本書でも、アメリカ式のグローバル資本主義が言うところの「普遍性」は、けっきょくのところ文化的な差異や社会的伝統を無視した、仮想的な条件のもとで構築されたものにすぎなかった、と述べられています。そこから著者の中谷氏は、キューバやブータンの経済的な豊かさとは違う「幸福」の形や、一神教思想が環境破壊を招いたという文明論、果ては日本の伝統的な文化の中にある「共生」の思想を活かすべきだ、といった、梅原猛氏や河合隼雄氏のような文明論的考察にまで説き及んでおり、ずいぶん大風呂敷を広げたものだと思ってしまいました。

    「ホモ・エコノミクス」のような近代経済学の仮定が抽象的だというのは分かるのですが、そこから一挙に文明論や文化論に飛ぶのではなく、仮定にどのような修正を施すのがよいのか、という議論に進むのが当然だという気がするのですが。

    もっとも、本書は学術書ではなく一般向けの本なので、あえてこうした書き方を選んだのかもしれません。もしそうだとすれば、本書はエッセイとして読むべきなのでしょう。

  • 中谷巌さんの「資本主義以後の世界」より前に書かれていた本。「資本主義以後の世界」が面白かったので、大体同じ内容だろうなと思いつつ、手に取りました。予想と違わず、主張の内容はほぼ同じ。それでも、面白く読めたので、中谷さんの考え方が嫌いではないのだと思う。それから、文中に出てきた「ここ20年で貧困者の数が倍になった」という数字や「子どもを抱えたシングル・マザーやシングル・ファーザーの貧困率が世界最高」という数字を見せられたことがショックだった。どうしてそうなったのか、どうすれば良いのかなんて、全然分からないけれど、そうした事実を知れたことが良かった。「改革なくして成長なし」と言ったから、貧困率の上昇が2倍くらいですんだと思うべきなのか、グローバル資本主義に踊らされたからこうなったのか・・・、勉強しなきゃいけないなぁ・・・。

  • 人間と地域の絆を断ち切ったグローバル資本主義は、モンスター化し「世界経済の不安定化」「所得格差の拡大」「地球環境破壊」という傷を作り出した。

    カエルの王様。失って初めてその価値がわかるもの。

  • グローバル資本主義は身近なところに数多く存在する。
    格差の拡大や地方の疲弊、都市の過密化…
    一見身近に関係のないように感じられる言葉だけど、
    抵抗できないうちに日本をかなり浸食している。

    高度経済成長を経験した日本、アメリカにずっと守られてきた日本、
    知らず知らずのうちに新自由主義によって社会が切り取られてきた。

    いまの経済的な展開は不可逆的現象で戻ることはできない。
    世界のどんな国でも。

    確かに過度のグローバルは多くの問題を抱えているが、
    イノベーションを起こし続けられないと国力は低下していくし、
    その国の文化は荒廃していく。

    多くを稼ぐ方やイノベーションを起こせるような方をやっぱり優遇していく必要がある。
    だけれど、弱者を食い物にした政策では結局国力は低下する。

    上位は自由に競争させて、下位の底上げが国の政策としていいんじゃないかな。

    新自由主義的発想を批判することはないけど、
    志向の上で岐路にたってる。

  • 内容に関しては何もレビューできない。というのも自身の知的好奇心を全くというほどくすぐらず、中身が頭に入って来なかったからだ。
    ここには自身のための覚書として記す。

    題目が題目だけに当然なのだが、抽象度の高い言葉が並び、全く内容が響かなかった。この分野の知識や考え方が身についていなかったため購入したが、結局わかったのは「全く自身の知的好奇心をくすぐらない分野である」ということだけだった。

    社会にでる人間として、多少は理解しておきたいところなので無理矢理読み進めたが、3分の1ほど読んで「これまで何が書いてあったか」振り返っても全く説明することが出来ないと感じたので本を閉じた。


    このような感覚的には知識欲求がわかない、一方で意識的には学びたいという分野に属するものにどう対処していくか。人生で、また20代に身に付けることが出来る知識は限られているので、改めて考える必要がある。

  • 必読本大全より

    発想力

    1考え方の軸を作り、物事の見方を学ぶ

    経済学のプロが自説の誤りを懺悔。
    「絶対的な権威も間違えるから、自分で考える必要がある」と再認識させられる。経済学の知識が入っているので、ビジネスの発想を支える土台にもなる。

  • かつてグローバル資本主義を推進した著者の“懺悔の書”として話題になっていましたが、読むタイミングを逸していました。今回、文庫化を機にようやく読むことができました。
    著者の本は、30年ほど前の学生時代に「入門マクロ経済学」を読んで以来ですが、ロジカルな解説で分かりやすかった記憶があります。実際。当時初版だった同書は第5版まで版を重ね、入門書として定着しているようです。
    それに対し、本書は刊行時から賛否両論さまざま出ています。支持する意見は小泉・竹中路線を批判する材料としてに使っている人が主体なので、批判的な意見の方が多いのかもしれません。批判的な意見は、経済学に対する批判を文明論や宗教論に基づいて行っていることに起因している気がします。したがって、「入門マクロ経済学」のようなロジカルな説得力が欠けているのでしょう。
    経済の不安定、格差の拡大といった現状に対し、「改革が不十分なだけで、ひたすら改革を進めれるべきだ」という盲目的な改革信者がいまでも存在するかもしれませんが。。。おそらく、多くの人は、グローバル資本主義の問題に気付いているはずです。しかし、その問題の解決策を誰も持ち合わせていません。いまさら、時計の針を戻し、鎖国をするわけにはいかないのですから。
    本書の最終章「『日本』再生への提言」も解決策たり得ていません。しかし、これまでの歴史を振り返り、現状認識のために読んでおくべき本だと言えるかもしれません。

  • 初めて読んだ経済書。
    リーマンショックとその後について、
    経済の状況を歴史をさかのぼって解説しているところがいい。
    そして、解説だけではなく、
    著者なりの提言を載せているところに好感がもてる。
    巻末の経済書の参考文献が役に立ちそう。

  •  規制緩和を謳う「小泉竹中路線」の渦中にいた人の
    当事者としての悔恨を綴ったと言われた前作(文庫前のもの)より時をへて、内容が厚みを増した印象を受けました。 

    素直に自分を信じる事ができる「デキル人」から
    人間的厚みも増した印象を感じましたが・・・。

     西洋的思考と日本的思考の強みと弱みの分析は
    高校生位にはわかる噛み砕き方で理解が進みます。

    西洋的思考のルーツにも切り込んでいて、
    「資本主義的なもの」がどういった経緯で生まれ、その思考故に自壊に至ったのかがコンパクトに解かる良書だと思います・・。

     ”日本再生”の項目ははお題目かよ、という気がしないでもないですが、実際問題「日本人」一人一人ががんばる>報われるサイクルが壊れつつあるので、規制緩和が必要なのは政治の方じゃないのか?と思った次第です。

    あと、小泉・竹中の同様な本が出版されるのを
    心待ちにしています。
     
    あれ?飛躍しすぎた?

  • 近年の資本主義の行き詰まりよりは、資本主義のの成り立ちとアメリカの建国精神からくるグローバリズムの理由について焦点を当てている。さらに日本特有の精神構造についての考察も詳しい。

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