奇跡 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087466638

作品紹介・あらすじ

戦後の混乱がまだ残る日本、21歳の私はその男に出会った。目覚しい仕事ぶりで注目を集める男は、野獣のように私を襲い、体を奪う。しかし、私の胸に溢れたのは、男への哀しみと愛しさ。その日から二人は運命の愛に結ばれた男と女になる。目眩く愛と官能の夜を過ごしながら、一方、私は仕事の才能を花開かせていく。しかし、突然悲劇が二人を…。秘書、養女として岡本太郎を支えた著者が挑んだ愛の衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は歳を取らない…。SFか…。

  • そんな無邪気なのにできた女性、世の中におらんくない?とか思いながら読んでいたけど、なんだか物凄くエネルギッシュであっという間に読み終わっちゃいました。

    その後のよしもとばななさんとの対談がとても素敵で、お話を読んだ後にとてもすとんと腑におさまった感じ。ひたすらにがむしゃらに人を愛した逞しさとか強さと、さっぱりとしたお人柄。最強。

  • 岡本太郎の話かと思って読んでみたが、中身は出来過ぎの良い女性の話でした。不自然な気がして面白くなかった。

  • これは、実話なんだろうな。敏子さんの、太郎さんへの愛は、すごいとしか言いようがない。そして、愛の形は人それぞれなんだとも。心から信じることができたら、思い込みだと誰が言えるだろうか。
    敏子さんは、太郎さんの才能を信じたのもそうだけど、自分自身の才能もよく知っていたんだな、と思った。

  • 笙子の羽田健介との出会いである。
    ここですでに羽田健介が出来上がっている。

    そして、笙子も・・・・・

    笙子は動揺した。青年のような、歯に衣きせぬぶっきら棒な言い方も新鮮だったし、こんな若い女の子、流内では走り使いに過ぎない事務局の若輩に、真剣に本質的な話をぶつけてくれる、そのストレートも意外だった。
    話している健介の背筋をピンと伸ばした、少し怒ったようなシャープな表情も男らしい。


    《文中より》
    妖精である・・・・
    笙子がいなければ健介もいないのだ。彼の存在を確認するために、空気のように笙子が要るのだ。だからこそ笙子はますます初々しく、純粋になった。羽毛ほどの重みもない、爽やかな風のように。
    笙子がゆっくり立ち上がった。明るい、ふんわりした声で、微笑みながら歌うように。
    「妖精がきたのね。
     アイルランドは妖精の国でしょう。イエイツの集めたケルトの物語なんか見ると、至る所に妖精がいて、いたずらしているんじゃありませんか。
    こんなことがあると、ああ、アイルランドに来た、という実感がわいて、楽しくなるんじゃない?
    でも、ケルトの妖精はそんなにひどいことはしないらしいから、大丈夫よ、きっと。
    みんなの、心配そうに眉根を寄せていた空気が笙子の妖精でほっと和んだ。

  • 岡本太郎のことは渋谷の作品と太陽の塔ぐらいしかしらないので、岡本太郎の本人についてもほとんど知らなかったです。
    この本を読んで、少し分かったかも。違う人物に置き換えられているけど、明らかですもんね。だいぶ性に関する部分が多かったので、なおさらリアルに読みました。

  • なんだこれ。。。

    きれいなものは芸術ではない、ってことを岡本太郎は言ってたし、なんだこれ。でいいのかもね。

    うーん。

    よしもとばななとの対談がおもしろかった。

  • 岡本太郎さんの秘書で養女になった敏子さんの書いた小説。主役の男女は明らかにこの二人だと言われている。岡本太郎マニアの人には、彼の一面を知るために興味深い一冊だとは思うけど、主人公の女性が美化されすぎていて気持ち悪くなった。カマトトで仕事が優秀でベッドでは別人。出てくる男性がほとんど全員彼女に恋をするのだが、好意的に書かれている女性の登場人物は母親ぐらいってちょっと〜。

  • 岡本敏子さんという人はほんとうに素敵な人だったのだと思う。巻末のよしもとばななさんとの対談を読んでいても、自由で所帯じみた感じがまったくない、少女のように明るいのに、本当はあまり人に関心がないかのようなクールさ、ニュートラルさ、主人公の笙子そのままなんだろうと感じる。
    でもやっぱり、このモテモテで仕事もできる、素敵な主人公を描いているのが本人だと思うと一歩物語に入り込めず、冷めてしまう。描きたかったことは「太郎さんへの愛」それだけだとわかってはいても。心が狭いのだろうか。。。(>_<)

  • 岡本太郎の妻が、77歳で、処女作としてこれを書いた、という事実がまず凄すぎる。これだけで★3つ~

    そして大胆な描写が話題になったそうだけど、読みながら、年老いてからどうしても書きたかったんだなあ、としみじみ感じてしまった。寂聴さんみたいにさ。
    欲望の発露とか下世話な視点ではなくて、生の躍動、若さと創造の発露として、これでもかというくらい生々しい描写が確かにある。そこらへんは前向きな官能小説、といった趣き。

    そして意外だったのは、この小説の基底となっているのは、主人公が職業人として活躍していく話だということです。

    魂の伴侶を得て、奔放な生き方をしつつも、ビジネスとして男を支え、そして自立した職業人として羽ばたいていく、というそっちの話のほうが正直面白かった。うらやましい。

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