メルカトルと美袋のための殺人 (集英社文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784087467345

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  • メルカトル鮎シリーズ第4弾!

    態度は横柄で自分勝手。
    利益に繋がらない事件はどうでもいい。

    何ともレアな銘探偵…(^▽^;)

    すっかりメルカトル鮎の虜です(〃´-`〃)♡


    今回は短編集。
    美袋とメルカトルが携わった事件集です。

    正直、前3作は『メルカトル鮎』という人物像がはっきりしませんでした。
    物語中に、そこまでがっつり出てこないのです。
    何となく自分に自信のあるナルシストなんだろうなぁという程度。
    それでも『クセ強!』とは感じましたが…(^▽^;)

    ですが今回の『メルカトルと美袋のための殺人』を読めば、どれだけ風変わりな探偵なのかが充分分かりますꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)

    タイトル、確かに頷ける(*´艸`)

    まさかここまでとは!と、ニヤけながら読みました笑笑

    話の終わり方もセンスあり、好きです♡


    【遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる】

    美袋は「歴史クラブ」のメンバーと共に長野の別荘へ。
    メンバーの1人、佑美子と良い関係に…。
    しかしその後、佑美子は美袋を避けるようになる。
    そんな中、殺人事件が。
    美袋は、メルカトル鮎を呼ぶ。

    最初の話にして、メルカトルの性格が分かりますꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
    別荘モノの殺人。
    美袋は疑われ…。


    【化粧した男の冒険】

    大学時代の友人のペンションにくつろぎに来た美袋とメルカトル。
    そこで起きた殺人事件。
    死体には、濃いメイクが施されていた…。

    これはよくある推理小説の基本っぽい事件。
    犯人当たらなかったけどね…(^_^;)


    【小人居為不善】しょうじんかんきょしてふぜんをなす

    メルカトルの探偵事務所に、有名な画家、神楽祐尋が訪れる。
    遺産を狙う甥と姪から命を狙われていると言う。
    メルカトルに身の安全を守って欲しいと依頼する…。

    これ、凄い。
    全然分からなかった。
    それにしても、来る客をも操作するメルカトル…。
    さすが天才(^▽^;)


    【水難】

    美袋は執筆のため気分転換に旅館へ。
    そこにメルカトルも同行。
    その旅館では女子学生の幽霊が目撃されている。
    はたして本物の幽霊なのか…。

    これも面白い。
    過去の事件との兼ね合いがあるのだが、幽霊騒動や不気味な雰囲気も、メルカトルと一緒だと和らぐのは何故だろう笑
    しかも、彼のシルクハットさばき。゚(゚ノ∀`゚)゚。

    ずっと被っていたシルクハットを、ぶんと投げる。ハロルド坂田の帽子のように弧を描いて再びメルカトルの手に戻ってきた。(本文より)

    めっちゃウケた笑笑
    年中着用しているタキシードとシルクハットは、彼のユニフォームらしい笑


    【ノスタルジア】

    メルカトルが執筆した密室殺人の推理小説を、美袋が読んで犯人当てする事に。
    当たれば、いとこの角膜移植にメルカトルがひと役買ってくれるという。
    負ければ美袋の作品として発表する事に。
    美袋は解決できるのか…。


    わざと小難しい表現の作品でしたが、結末好き♡面白い!メルカトル天才!
    らしい作品でした笑


    【彷徨える美袋】

    美袋が目を覚ますと、どこだか分からないが、藁クズの上にいた。
    どうやらさらわれて山奥に捨てられたらしい。
    一体ここはどこなのか。

    これも面白い!
    メルカトルの魅力が集結してます(*´艸`)笑


    【シベリア急行西へ】

    メルカトルがタダ券を手に入れたので『ロシア・ロマンティック・トラヴェル〜シベリア急行の旅』へ2人で行く事に。
    そこには桐原豪蔵という人気作家が乗り合わせていた。
    そして、列車内で殺人事件が起こる。

    この話が1番好き( ˶'ᵕ'˶)
    オリエント急行ぽい雰囲気の作品でした。
    終わり方も良い♡


    メルカトルは、事件の詳細を聞き終わるとだいたい犯人の目星を付けている。
    安楽椅子探偵のよう。
    それを証明するために聞き込みの時に色んな仕掛けをするのだが、何ともまぁクセのある笑
    絶対友達になれないタイプ(^▽^;)


    続けてメルカトル鮎シリーズ5弾目『鴉』読みたいと思います♡


    絶賛どハマり中♡(*´∇`*)♡



  • メルカトル鮎シリーズの第一短編集ですが、私は「かく語りき」を先に読んでしまいました。故に、美袋三条とは初対面が遅れたわけです。メルカトルに「ワトスン役」が存在するのがまずびっくり! しかも、学生時代からの付き合いの、推理小説作家だなんて! しかも某作家ワトスンと違って、メルカトルを堂々とネタにしているとは! そうでもしないと割に合わないことは、この作品、さらに新刊の「悪人狩り」を読んでよ〜く分かりますね。

  • 【収録作品】遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる/化粧した男の冒険/小人閑居為不善/水難/ノスタルジア/彷徨える美袋/シベリア急行西へ
     メルカトル鮎の邪悪さが際立つ短編集。
     ノベルスで読む。

  • メルカトル短編集。もしかしてこの短編集が美袋くん初登場なのかな?
    文庫の最後に初出一覧があるといいのにな。まさか「瑠璃鳥」が美袋くんのシリーズ初登場ってことないよね?だったらどうしよう……。しょっぱなからやばいやつじゃん。それはメルもだけどさ。

    麻耶雄嵩はこれを含めてまだ三作しか読んでない(しかもすべてメルカトルもの)けど、タイトルのセンスがすごく好き。「メルカトルと美袋のための殺人」というのも、殺人をほんとに道具か何かのように粗雑に扱うこの二人にはふさわしいタイトルで面白い。

    「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」 美袋の恋愛顛末。メルの説明に納得しちゃうのうそでしょ? メルの説明通りだとしたら、ワンナイトの相手としても選び方の無意識やばいでしょ。それに納得しちゃう人格でいいのか美袋くん……。でも大阪から長野までわざわざ車で来てくれるんだからメルも意外と友達甲斐があるのかしらね。

    「化粧した男の冒険」 メル、いくらなんでも……証拠の偽造でしょうが。無茶苦茶でひどすぎて笑う。むしろ犯人はよく納得したな。

    「小人閒居為不善」 これもひどい。というか、「小人」って、誰のことだろう? 暇を持て余してとんでもないDM送って殺人教唆するという不善をなしたのはメルだと思うんだけど、とすると、この「つまらない人」を意味する「小人」が示すのはメルのことだよね。「翼ある闇」が最後の事件となるメルにとって、その他の作品・事件は常にそれ以前に起きたことの振り返りになるわけで、その最後の事件で「ああ」なってしまうメルカトルに対する、「こんなに傲岸不遜な人間だけど、結局のところは小人である」という、作者のものすごく冷たい目線のように思えてびっくりした。麻耶雄嵩のタイトルセンス好きだけど、このタイトルは特に秀逸だと思う。

    「水難」 これも偽名名乗ってるから事件がどうなろうとかまわない、ってひどい(笑) ミステリ的には面白かった。幽霊の扱いは、メルの世界だとそうなのね、と納得しちゃうのがずるい~。メルの力技じゃん。でも面白い。

    「ノスタルジア」 メルの文章力(笑)作中作の中の警部の考え方に、メルの考え方がおそらく結構反映されているのが興味深い。メル、作中に王将に行きたいとか書いちゃってるけど、これそのまんま掲載されちゃうの?(笑)美袋くんも、まあ、裏でも表でも従兄弟のために角膜が手に入ればいいって、そんな無茶な。

    「彷徨える美袋」 これノックスが欲しくて仕組んだな……。うまくやった犯人に対する意趣返しにしたってひどすぎて笑ってしまった。「たぶん殺されたんだろうと思ったね」って、そんな冷静に言うなよ~、友達だったんじゃないの?? 美袋くんもねえ、なんでこんなひどい目に合ってるのにメルとつるみ続けるのか。「いつか殺してやる」って、「水難」で殺人未遂の未遂しかかってるけど(笑)、どっちが先だったのかな。

    「シベリア急行西へ」
    ずいぶんまっとうなフーダニット。でも一筋縄ではいかないのがこの作者らしい。
    この原型を大学一年生の時に書いてたのか。すごいなあ……。
    舞台がロシアってところも面白いな。解説のネタバレはひどすぎるけど。

  • 「なんだこれ!」
    読んでいる最中、読み終わった後、私の頭に浮かんでいたのはその一言であった。本のジャンルは何かと聞かれれば、もちろん『本格推理小説』にあたるのだけれど…ミステリに於ける常識を覆すどころか、引っ掻き回してしまっている!その理由は言わずもがな、探偵役である〈メルカトル鮎〉のせいだ。時に本気で腹を立ててしまうほど横暴かつ憮然たる態度で飄々と事件を解決していく様は読み応えあり。純粋に『本格推理小説』が読みたい方にはおすすめはしない。しかし昨今ありふれた『本格推理小説』にマンネリを感じている方には、自信を持っておすすめしたい。

  • 7編からなるメルカトル鮎シリーズの短編集。相棒?は作家の美袋。

    作中で本人も言っているけど、メルカトル鮎は短編向きだと思うので(登場したらすぐに謎解いちゃうもんな)私的にもサクサク読めて楽しかった。
    もう、ほんとにメルがクズで(笑)美袋も負けず劣らずやし、リアルでなら絶対にお近づきになりたくない二人やけど、掛け合いを見るのはすごい楽しい。
    謎を解くためならなんでもありやし、暇やから〜とかほんま理由がすごい。

    私的に読んでいて楽しかったのは「水難」と「シベリア急行西へ」かな。「小人閑居為不善」も好きだな。ブラックユーモア的な感じが。

  • 目次
    ・遠くで瑠璃鳥(るりちょう)の啼(な)く声が聞こえる
    ・化粧した男の冒険
    ・小人閑居為不善(しょうじんかんきょしてふぜんをなす)
    ・水難
    ・ノスタルジア
    ・彷徨(さまよ)える美袋
    ・シベリア急行西へ

    初めて読みましたが、多分シリーズの途中作です。
    キャラクターがすでに出来上がっている。
    でも、今一つ彼らを好きになれないのは、なんでだろう。

    語り手は売れない作家の美袋三条。
    行く先々で事件に巻き込まれるが、自らそれを解決する能力はなく、渋々学生時代からの腐れ縁であるところの探偵・メルカトル鮎を頼ることになる。

    探偵であるメルカトル・鮎がいったいどんな手段で生計を立てているのかは知らないが、人脈だけはものすごいものがあるらしい。
    自分の探偵としての才能には絶対的に自身があるが、人間性には問題多々あり。

    なんだか京極夏彦の「百鬼夜行」シリーズの関口と榎木津を彷彿させるんだけど、彼らに対して感じた好意というか、他人はわからないかもしれないけど、わたしにはわかるよ的な勘違いというか、そんな感情はこの作品ではみじんも湧いてこなかった。
    逆に軽く嫌悪感。

    ミステリとしては、非常に基本に忠実でわかりやすいのに、なんでこんなに登場人物が拗らせちゃっているのだろう。
    もったいない。

  • 「遠くで瑠璃鳥の鳴く声が聞こえる」がおすすめと聞いて。メルカトルを読むのは2作目。メルカトル短編集。

    メルカトル相変わらず傍若無人でクセ強。ワトソン役の美袋はすぐに事件に巻き込まれる。メルカトルと美袋の掛け合いが楽しい。

  • 短篇ものだと、メルカトルの人となりがより一層わかって、とても良いかと。本当に酷い男だな!倫理って言葉ご存知?といつも思う笑
    メルカトルと美袋のための、というより、メルカトルのために酷い目にあう美袋のための殺人ではないでしょうか。
    メルカトルが酷すぎて霞むけど、美袋も大概ひとでなし。でも「メルカトルかく語りき」より、毒は薄めなので、メルカトルシリーズ読んでみたいな〜という方には勧めやすいかもしれない。

  • 2021.7.20読了。
    細部を忘れており、楽しんで読めました。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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