魚神 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1185
感想 : 135
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467864

作品紹介・あらすじ

かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。第21回小説すばる新人賞、第37回泉鏡花文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • なるほど。ここまで千早先生の作品を何作か読んできたが、全ての根源がここにある気がする。と思ってよくよく調べたらデビュー作だったようで、『しろがねの葉』『透明な夜の香り』を創作するのにもこの作品ありきだったのかと感じることが出来る内容。
    綺麗な文章で汚いものでも美しく伝えるセンスが凄まじい。特に『しろがねの葉』デビューの読者の方には是非とも読んで頂きたい作品でした。

    • かなさん
      にゃごさん、初めまして。
      この度はこちらへのフォローを
      ありがとうございます(^-^)
      こちらからもフォローさせて頂きますので
      どう...
      にゃごさん、初めまして。
      この度はこちらへのフォローを
      ありがとうございます(^-^)
      こちらからもフォローさせて頂きますので
      どうぞよろしくお願いします。

      私も千早茜さんの作品は大好きなんです。
      全部の作品を読めているわけではないけれど
      でも、文章を紡ぐ力ってすごいなって思います(^-^)
      2023/07/14
    • にゃごさんさん
      かなさん
      コメントありがとうございます。
      また、勝手なフォローにお応えいただきありがとうございます。
      本は読むけど千早茜さんの本しか読まない...
      かなさん
      コメントありがとうございます。
      また、勝手なフォローにお応えいただきありがとうございます。
      本は読むけど千早茜さんの本しか読まないという後輩から『透明な夜の香り』を激推しされ、結果いろいろ読み漁ってます笑
      今後ともおススメの本があれば教えてくださいね。
      2023/07/15
  • 好きになった作家さんのことを調べること、ってありますよね。
    どんな人なんだろうか、とか。

    たとえば宮下奈都さん。とっても好きな方なのですが、「あの1年」が彼女を大きく変えたことは間違いありません。そのときのエッセイも素晴らしかった。
    そのときに思ったのが、「読み終えるのが寂しい」。私だけかと思ったら、他の人も書いているんですよ。これはすごいエッセイだ。あの1年はなんだったんだろう?
    です。たとえばね。

    この本「魚神」の舞台設定は百数十年前くらい?でしょうか。
    お恥ずかしながら、ちょっと辞書を引かないとわからない漢字もありました。そういう時代設定のお話を描く、そんな新人賞をとる(デビュー作で)人はどんな人なのだろう?と思うのは自然なことです。

    で、ええええ???
    でした。2つの点で驚いたのですが。

    1.同郷でした。同じ空間を過ごしたことがあるのに、この違い(わたしとね)はなんだろう?と思うわけです。私は今も森に囲まれた暮らしをしています。そこから森に関するお話がかかれているのかもしれません(これは違う本「森の家」のことです)。
    まあ、ここまではたいしたことではないですが。

    2.でもさらに、驚愕の事実が。
    なぜ、このような文章が書けるのだろう、と。だから描けるのかもしれない(気になる方は是非ご自分でしらべてみてくださいな)。でもな~、違いすぎるよなあ。

    本作は、ちょっとかわいそうな生まれの白亜と特異な才能をもつスケキヨのお話です。誰も助けてくれない、自分で解決するしかない状況・環境に置かれています。その中で自分たちなりにみつけていきます。
    ここまで書いてちょっとだけ既視感が。60歳超えデビューしてベストセラーとなった「ザリガニの鳴くところ」。恵まれない、でも才能がある。そして誰も助けてくれない。自分で解決策を見つけ出すしかない、というお話なのですが。デビュー作というのも一緒だ。。。

    「運命的」とレビューされている方がいました。それも本書と共通しているかな。


    1冊の本で別の世界に入っていけます。
    この世界を創ることができるのも、彼女の生い立ちにあるのでしょうか。

    ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
    そんなあなたに「滝田明日香さん」をお勧めします!
    千早さんの生い立ちとも関連があります(ご職業とお勤め先ね。きっとそんな環境を過ごした(わけないか)?)。とにかく面白いエッセイです。

    • Kさん
      いいねとフォローいただきありがとうございます!
      辛4さんのレビューには+αで関連知識や情報がたくさん詰まっていて、読むたびに新発見というか…...
      いいねとフォローいただきありがとうございます!
      辛4さんのレビューには+αで関連知識や情報がたくさん詰まっていて、読むたびに新発見というか…未知の領域に踏み込んでいくみたいな感覚で毎度楽しませていただいております!
      これからもどうぞよろしくお願いします^^
      2023/01/18
    • 辛4さん
      Kさん
      おはようございます~♪
      こちらこそありがとうございます。大変恐縮です。
      Kさんもたくさん読まれていますよね。
      どんどんレビュ...
      Kさん
      おはようございます~♪
      こちらこそありがとうございます。大変恐縮です。
      Kさんもたくさん読まれていますよね。
      どんどんレビューしてくださいね。楽しみにしています。

      ドイツのモモを本棚でみつけました。
      時間を盗むわけですが、時間の概念が大きく変わろうとしています。
      そんなことをエンデは知っていたのかどうか。
      ばななさんは、いろいろ知って書かれているのでは???
      と読み進めていくうちに何か見えてくるのです。
      おもしろいですね。
      2023/01/19
  • 本土と離れた孤島。そこは遊郭で栄えていた。その島で幼い頃を共に暮らした姉・白亜と弟・スケキヨ。美貌の姉弟。弟が先に売られ、姉も売られる。姉弟間の愛憎が雷魚伝説と共に描かれる。ドロドロしたところもあるが、幻想的でした。

  • 読んでる間中色んな匂いがした。
    一気に読んでしまったあと、余韻が長く残る。

    こんなに面白い本を何故読まなかったんだろう。
    白亜儚い。
    剃刀男さん男らしくて好き。
    小舟のおじさんも一生懸命で好き。
    スケキヨもかっこいいから好き。
    みんな好き。

  • 不思議でおとぎ話のような世界。
    細かい描写で想像しやすい。じっとり暗く明るい未来はなくて…でも先が気になる。
    残酷で美しいお話しでした。

  • 閉塞感と名付けるにはあまりにも残酷なのに、汚さを感じさせず世界が描かれていました。

    「時間や生活、悩み、葛藤、矛盾、一切のものからふっと一瞬離れていける。」
    「どうして私達は試されなければならないのかしらね。」

  • 著者独特の世界観と描写の美しさで一気に引き込まれた。儚さ、もの悲しさに包まれながらも、この小世界であるからこそ成り立つ雰囲気がいい。ぜひ映像化して欲しい作品。白亜とスケキヨは誰が演じればいいかねぇ...。想像しながら余韻に浸る。

  • 千早茜さんが好きなので読んでみた。
    美しく幻想的なストーリー。
    でも泥のような質感や濁った海の匂いもする不思議な話。
    スケキヨと白亜。
    姉弟と呼ばれ共に育つが、血が繋がっているのかは不明。
    誰よりも大切に思っている。
    大人になってからは
    相手に嫌われたくなくて、お互いに近づけない。
    ずっと想いあっているのに、逢えない2人。
    夢を見ない島の人々。
    人身売買、廓、欲望、近親相姦、痣、痛み、歪み。
    ラストの展開は、スピード感がありドキドキした。
    夢の中のような浮遊感もあり、カッコよかった。

    遊郭の話なので、学校図書館は不向きだが、
    描写は美しい。

  • 圧倒されるカバーが印象が強くて手に取りました。序盤はファンタジーを思わせるような展開でしたが…これはミステリーなのでは?容赦ない表現もありますが、読みやすくてどんどん引き込まれてしまいます。欲を言えば、主人公以外のエピソードが物足りなかったです。

  • これが千早茜先生のデビュー作とは驚きです。素晴らしい。
    「しろがねの葉」や「透明な夜の香り」の要素がこのデビュー作から詰まってました。
    遊女屋、暴力、苦しい生活の中で唯一無二の愛だけを頼りに生きる姉弟(実際は不明)のお話
    それほど多くないページ数だが内容が濃く壮大で大満足でした

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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