追想五断章 (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 466
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468182

感想・レビュー・書評

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  • 凝ってるな!
    しかし、通勤電車とかで、疲れている上に、更に途切れ途切れに、読むのには向かん…
    何度も読み返してしまった…(^◇^;)
    リドルストーリーっていうのは、答えを読者に任すみたいな感じで、明確な答えくれん話やけど、個人的には、本ぐらい答え欲しいな。
    常日頃が、答えのない世界やちゅうのに…

    父が書いたリドルストーリー5編の捜索依頼。
    お金に目を眩み引き受けたが…
    探していくうちに、依頼人と父との関係が徐々に明らかに…
    まぁ、お父ちゃんの気持ちも分からないではないけど…
    こんなん残すから…
    死んでから、依頼出されて…
    やっぱりか…

    になる。

    結構、練り込まれるので、
    じっくり読むのをお勧めしま〜す!

  • ある女性から死んだ父親が書いた5つのリドルストーリー(結末のない物語)を探して欲しいと依頼された青年。少ないヒントからその物語を集めていくが、ある事件の容疑者といつ繋がりが出てくる。文章も読みやすいし、謎が解けていくとまた読み返してしまう。「満願」や「儚い羊たちの祝宴」と同じような米澤さん独特の雰囲気がある。

  • カバーの上にもうひとつ黒いカバーが付いていて、そのデザインとキャッチコピーの妖しさに思わず手にしてみた。
    この小説の中に死んだ登場人物が書き遺した数ページの五つの断章が出てきて、その内容と結末が無いことでなんとも言えない変な心地にしてくれた。この結末が無いことがこの小説の結末に関係する。
    著者の作品にはいつも何だか惹かれてしまうようだ。

  • 米澤さん=青春 なイメージがあるが今回は全体的に昭和のどんよりした雰囲気。
    結末をはっきり書かないリドルストーリーなので途中から「これってそういうことなのかしらー?」感があふれるけど読みやすく面白かった
    結末にはあぁそういうことなんだろうな。と、この夫婦あるあるのちょっと複雑な関係がよく理解できた気がする

  • '21年5月3日、読了。

    お見事!面白かった!

    しかし…こんな話、よくおもいつくなぁ…凄いです!

  • これは凄い。
    プロットが精緻で、読み終えてびっくり。
    真相は序章に匂わせてあったけど、終盤に可南子が独白するまで辿り着けずでした。
    リドル・ストーリー本文と、「真相」を示す最終行の関係にズレがあるんだろうなあ、という点は、何となく察したけど。

    解説にもある通り、『アントワープの銃声』の雰囲気は、『ロス疑惑(疑惑の銃弾)』とそっくりで、もしもこんな真実が隠されていたとしたら、と思うと、ドキリとする。

  • なんだろう?今思い返せば、「特にここが!」ってポイントは全くないのに、読んでる時はすげー怖かった。
    幽霊も殺人鬼も出てこないのに、真実を知るのって怖いのね。
    あれか。暗闇を懐中電灯一つで進んでいく感じか。先に何が潜んでるかわからない恐怖。

    そもそも話が全体的に暗い。というか、薄暗い。
    登場人物も口数が少ない上に何か影を抱えてるし、舞台は薄暗い古書店だし、話の本筋以外も全部どんより暗い。
    プラス、5つの短編を探し解読するに連れて、どんどん真相の、しかも良くないニュースのほうが集まってくる。

    リドル・ストーリーの最後の一行を入れ替えると、話の意味が変わってくるというオチは容易に予想ができるけど、まさか今まで以上に暗い結末に持っていくとは、予想の上を行かれた感じ。
    これ、米澤穂信の作風を知らない人が読んだら、さぞやがっかりする内容だと思う。救いがなさすぎて。

    と、否定的な感想を書いたけど、自分は好きでした。ホラー好きだし。
    「こんな恐怖もあったんだ!」という感動がありました。

  •  私は、米澤作品は古典部シリーズのみ読んでいます。ミステリへの造詣はあまり深くありません。
     まず一つ、五つの断章(文章の断片のこと)と事件のリンクのさせ方が巧みです。読者には断章の全容も事件の全容も明かされておらず、同時進行で内容の解明が進みます。その過程に於いて具体と抽象の往来が行われ、要するにそれが謎解きとなるのですが、徐々に明らかとなって行く道程が心地良いです。(同時に怖くもあり、ミステリとホラーが表裏一体とされる所以をひしひしと感じました。)
     二つに、登場人物の解像度が高いです。菅生芳光による〝何者〟かになれた北里参吾への羨望を描写した上で参吾自身は何にも満足していなかった事や、娘を想っているハズの彼の矛盾した行動、北里可南子による好奇心(と呼ぶにはあまりに冷たい感情)など、無常的な人間観、アンビバレンツな心理描写がとても良かったです。
     青春モノから離れた作品を、という事で依頼されたそうです。米澤作品が好きな方は是非その新しさを、未読の方は少し変わった入門として、お勧めします。

  • ネタバレ有りの感想……に加えて、米澤先生の過去作長編についてもぼんやりと触れていますのでご注意を
    と言っても、本当にぼんやりとだし、そもそも米澤先生の作品を全て読んでいるわけではないですけども

    んで早速過去作と比べての感想
    先生の長編作品って「主人公がかかわった事件(出来事)によって、自身の人生に大きな影響(衝撃)が生じて終わる」みたいなイメージがあって、今作もそんな感じなのかなー、なんて思いながら読んでたんです
    そしたらビックリ、焦点はあくまでもリドルストーリーをめぐるお話そのものにあって、主人公はいわゆる狂言回し的な存在で終わるなんて!
    (この辺りは解説でも触れられていていましたが)

    全体的に暗く静かな雰囲気で満たされた作品だったけど、かと言って読んでいて陰鬱とするわけでもなく、絶妙な温度・バランス感覚の作品でした
    伯父の「妻との思い出のために守ってきた店だけど、金に転ぶ決断をした直後にはしごを外され放り出された男」って設定が特にすごいなぁ

    終章にあたる『雪の花』、この作品だけラスト一行が判明しても結局真実は藪の中、いや、永遠に凍りついたまま
    作者的には結末が決まってたうえでこの表現なのか、結末を決めずに書いてこの表現なのか
    それとも作者本人も真実がわからなくなって、真実がわからないという事それ自体が真実だったのか(ややこしい)

    というか作者作者って、それは叶黒白のこと?それとも米澤先生のこと?
    それはもちろん……

  • 大学を休学中の主人公がバイト先の古書店で、とある小説家の短編を集めて欲しいという依頼を受けることから始まる物語
    作中に実際に短編を埋め込むという変わった構成になっている本ならではの構成が面白く、スラスラと読めた。
    また、結末もリドルストーリーの特性を生かしたカタチになっていた。
    ただ、結末に至るカラクリが少しわかり易かったのが惜しいところ。
    米澤さんの新境地を見た1作でした。

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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