あの日、君と Boys (あの日、君と)

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制作 : ナツイチ製作委員会 
  • 集英社 (2012年5月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468304

あの日、君と Boys (あの日、君と)の感想・レビュー・書評

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  • 8編収録のアンソロジー。
    集英社文庫創刊35周年記念の文庫オリジナルだそうです。
    初出はすばるが多いけど、もともとこのテーマで書いたのかな。伊坂さんのは書き下ろし。

    「逆ソクラテス」伊坂幸太郎
    やはり別格で、すごくよかった~ほとんど覚えてしまったぐらい。
    転校してきた男の子・安斎君が、教師に何かと軽視されている級友を守ろうとする。
    いくつか面白い手を考え出し、そして当人には「僕は、そうは思いません」と言うんだよ、と。
    多くの人に読んでもらいたい内容。
    出来れば子供の頃に! でも大人でもいい‥

    「骨」井上荒野
    幼馴染の陽と幸太。
    骨がみしみし音を立てるような成長期だ。
    サイクリングでキャンプに行くという計画だったが、幸太が来るかどうか陽はあやぶんでいた。
    サッカー部の出場辞退という件に関わったため、幸太は怪我をしているのだが‥

    「夏のアルバム」奥田英朗
    小学2年の雅夫は、自転車の補助輪無しで乗れるようになるのが目標。
    親がまだ早いとはずしてくれないのだったが‥
    その夏、母の姉が入院していて、従姉妹たちは自分で家事をしているという。

    「四本のラケット」佐川光晴
    太二はテニス部。
    朝練で荒れたコートを昼休みにならすのは、1年生の役目。
    当番はグーパーじゃんけんで決めるのだが、ある日‥

    「さよなら、ミネオ」中村航
    学校では透明人間のように孤独な自分。
    ミネオという友達だけがいれば、いい‥

    「ちょうどいい木切れ」西加奈子
    やたらと大きな身体にコンプレックスを抱いてきた青年が、ある日、電車の中で出会ったのは、とても小さな人。
    風変わりでとても面白く、印象に残りました。
    この本のテーマとしては、かなり変化球だけど。

    「すーぱーすたじあむ」柳広司
    元野球部の竜次が補導された。
    小学生のときに地元の少年団でスターだった彼。
    ところが身長が伸びず、弱くなったのに気ばかり強くて、持て余しものになってしまったのだ。
    ヤケか嫌がらせかという感じの、破天荒な行動の意味は‥?!

    「マニアの受難」山本幸久
    昭和が終わりかかっていた頃。真輔は22歳になった。
    映画が大好きで、やはり映画が好きだという女の子と付き合っていたが。
    真輔の選ぶ映画はマニアックすぎて、不満を抱いた彼女にはきっぱりフラれる。
    映画雑誌への就職を考えるが‥

    男の子たちって面白いなあ。
    女の子の話は出なさすぎなぐらい?
    運動部の話が多く、テーマとしてはかなりまとまっている印象でした。

  • 少年がメインのアンソロジー。

    ・逆ソクラテス/伊坂幸太郎
    「自分が無知であることを知っている」と言ったソクラテスと比べて、自分は万能だと(無意識に?)思い込んでいる教師の固定観念を覆そうとする少年たちの話。
    予定調和過ぎる結末と言えばそこまでなんだけど、いいなーと思うのはこの策略の真ん中にいた安斎くんの存在の儚さ。
    ヒーローが最後に消えたままなのは、寂しくて切ないけど、却って心の中に思い出として残るものなんだなぁ。


    ・骨/井上荒野
    仲がいいのに殴り合いのけんかをすることになった少年たちが体験した一晩の自転車旅。
    最後に主人公が「もう骨の伸びる音は聞こえないな」と思ったのは、ひとつの成長の証なのかな。


    ・夏のアルバム/奥田英朗
    親心、子心。
    親を亡くした従姉妹を間近で見たり、補助輪付きの自転車にまつわる体験などを通して、子の目線での親心みたいなものを感じた。


    ・四本のラケット
    これも、子供から見た親心をちょろっと書いてある。学校と、家庭と、それが子供時代のすべて。
    最後にチョキを出すシーンはとても爽やか。


    ・さよなら、ミネオ/中村航
    一種の叙述トリックものと言っても差し支えない話。
    心の中に別人格を作って救いを見出したり自分を客観的にみたりする行為は、思春期の誰もが無意識にやっていたりするのかもしれない。


    ・ちょうどいい木切れ/西加奈子
    背がすごく高いお兄さんと、すごく小さいおじさんの話。
    最初は、主人公も登場人物も成人してるのになぜ「Boys」がテーマの本に入ってるんだうと思ったんだけど、読んでるうちに腑に落ちました。
    主人公は背が高すぎることを子供の頃から引きずっていて、そのわだかまりが、小さいおじさんに会うことでようやく解けた。つまり、この話は少年から大人になるための「青春への決別」をしている話の典型なのだと思います。


    ・すーぱー・すたじあむ/柳広司
    野球部の厄介者、竜次と、主人公。
    誰にも理解されない竜次を、最後に主人公だけが理解する。竜次の孤独が、関西弁の持つどこかユーモラスな言い回しでしみじみと切なく書かれていました。


    ・マニアの受難/山本幸久
    映画マニアの主人公が、上手くいかない現実の中前を向く話。
    就職活動に出かけていくラストシーンはまさに「青春との決別」。

  • 「僕はそうは思わない」良いですね。

  • 8人の作家さんによる
    少年(青年)を主人公にした
    短編アンソロジー。

    ココロに突き刺さったのは、

    伊坂幸太郎 「逆ソクラテス 」
    痛快な 読後感✨✨✨
    「僕は そうは 思わない」
    先入観に惑わされず、
    そう 堂々と言える人間になりたい。。。

    奥田英朗 「夏のアルバム」
    胸にしみるお話。
    ジワジワっ〜と 泣かされた。

    西加奈子 「ちょうどいい木切れ」
    初めて読んだけど、不思議な作風に興味津々。

  • 伊坂さん目当てで、選んだアンソロジー。

    「逆ソクラテス」、よかったよぉ~、
    最高に好きだ。


    「僕はそうは思わない」
    と云う、小さくて大きな『爆弾』を炸裂させる、
    転校生『安斎』くんは、少年テロリストだ。

    教師の『決めつけ(生徒に対する評価)』が、
    クラスの『ヒエラルキー』に、微妙に影響を与える。

    そんな世界を、木端微塵にしようと、
    彼は、さまざまな爆弾をしかける。

    それに加担する僕たち。


    大人になった「幻」の安斎くんは、
    「ちっちぇ人間」土田の云うような『チンビラ』
    なんかじゃ、絶対ないね。

    きっと、ハードボイルド系伊坂作品に出てくる
    『蜜柑』や『檸檬』たちみたいに、
    ちょっと可笑しく、かっこいい~
    one of 「よからぬ職業」の人たち・・・
    …に決まってるのさぁ。

    『チンピラ』呼ばわりしやがって。

    土田の、っぶあ~かっ!

    詳細は、⇒ http://tschuss12.jugem.jp/?eid=412

  • +++
    あの日、君との出会いで、僕の人生は少しだけ変わった。不思議な聡明さで、教室に流れるいじめの空気を変えた君。風変わりな振る舞いで、僕のコンプレックスをほんの少し溶かしてくれた君。誰よりもがむしゃらに、夢を追いかけていた君―。人気作家8人がこの一冊のために描いた、不器用で、ナイーブで、ひたむきな「少年たち」の物語。胸をわしづかみにする青春が、ぎゅっと詰まっています。
    +++
    「逆ソクラテス」伊坂幸太郎 「骨」井上荒野 「夏のアルバム」奥田英朗 「四本のラケット」佐川光晴 「さよなら、ミネオ」中村航 「ちょうどいい木切れ」西加奈子 「すーぱー・すたじあむ」柳広司 「マニアの受難」山本幸久
    +++

    少年というのは、いい題材になるものだ、というのが第一印象である。大人になりきっていない男の子というものは、自分はとげとげなのに傷つきやすくて、そのくせ妙に無防備だったりする。自分のことが好きなのか嫌いなのかさっぱりわからないし、おそらくそのときどきでころころ変化するのだろう。そんなさまざまな――だが根底は同じのような気もする――男の子たちの物語集である。愛すべき一冊。

  • この本に収録されている、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』という話がとても印象的だった。

    人は期待されればその分伸びる。

    逆に、期待されなければ芽を摘み取ってしまう事になる。

    マイナス評価によって自分の限界はここなんだって思い込んだらそれ以上先にはいけなくなってしまうけれど、周りの大人たちは

    「お前は頭が悪い」

    だの

    「運動神経が悪い」

    だの、子どもに平気でマイナス評価を下してしまう。

    だから、「お前はダメだなあ」と決めつけてかかって来る人がいたら、『僕はそうは思わない』と自分に言い聞かせる。

    でも、『僕はそうは思わない』と自分に言い聞かせていれば、自分の力に見切りをつけてしまうような事はない。

    この考え方が、心に染みた。

    私は他人からマイナス評価を下されなくても、自分で自分の限界を決めつけてしまいがちだから。

    できるかできないかなんて、実際にやってみないと誰にも、自分自身ですらわからない。

    この物語の登場人物達と同じくらいの年齢の時にこの考え方に出会えていたら、もう少しポジティヴに物事を考えられる人間になってただろうなあ。

  • 青春アンソロジー4冊のラストはこれにしました。
    なぜって、伊坂幸太郎と中村航の作品が入っているからです。

    読んでみて、やっぱり伊坂幸太郎作品が断トツによかった。
    中村航もやはり好き。
    他の3冊に比べて、個人的に好き嫌いがはっきり分かれるものになりました。

    「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎)★★★★★
    「わたしは そうは 思わない」
    然るべき時に、私も毅然とそう言えるようでありたいと思いました。
    よかったな。最初の伏線も効いていてすごくよかった。

    「骨」(井上荒野)★★☆☆☆

    「夏のアルバム」(奥田英朗)★★☆☆☆
    ここで終わりなんだ?と少しビックリしてしまった話。
    まさに昔のアルバムを見ているように、その時だけの記憶を切り取ったような。

    「四本のラケット」(佐川光晴)★★★★☆
    主人公が女の子達だったら、きっとこんな風になってないだろうな(笑)
    男の世界だからこそのさっぱりした感じが気持ちよかったです。

    「さよなら、ミネオ」(中村航)★★★★☆
    あたたかくて少し悲しく、淋しい話。
    結末は少し意表を突かれました。がんばれ、ミネオ。

    「ちょうどいい木切れ」(西加奈子)★☆☆☆☆
    私の頭ではにわかに良さが分からなかった作品。

    「すーぱー・すたじあむ」(柳広司)★★★★☆
    竜次の、なかなか人に理解してもらえない不器用さが「男子」って感じで、1番このアンソロジーには合っていた気がしました。

    「マニアの受難」(山本幸久)★★☆☆☆

  • 読み終えてから「あの日、君と」という本の題名が染みてくる。

  • 「今まであちこちの学校に通ったけどさ、どこにでもいるんだよ。『それってダサい』とか、『これは格好悪い』とか、決めつけて偉そうにする奴が」
    「そういうものなのかな」
    「で、そういう奴らに負けない方法があるんだよ」
    僕はその時はすでにブランコから降り、安斎の前に立っていたのだと思う。ゲームの裏技を教えてもらうような、校長先生の物まねを伝授されるような、そういった思いがあったのかもしれない。
    「『僕はそうは思わない』」
    「え?」
    「この台詞」
    「それが裏技?」
    (「逆ソクラテス」伊坂幸太郎)

    安斎くんや僕や優等生で美少女の佐久間さんは、いつも担任の久留米先生に貶められる様な扱いをされる(結果的にクラスでいじめを受けている)草壁くんへのみんなの先入観を打ち破る為に、様々な仕掛けを画策する。

    大津のいじめ自殺(殺人)事件が喧しい。イジメで自殺した教室に、安斎くんは必要だったかもしれない。

    伊坂幸太郎は、参考文献に「超常現象をなぜ信じるのか」(菊池聡)をあげているが、この題名の権威と言えば、安斎育郎氏が有名な事は、伊坂幸太郎も知っているだろう。だから、隠れ主人公に安斎くんと名付けたのだと思う。

    更に言えば、これをきちんと理論だてて何度も言及していたのは、安斎育郎も敬愛していた加藤周一である。

    事実認定は科学の領域である。しかし、価値認定は文学や思想や「個々人の思い」の領域であって、それは明瞭に区別されなければならない、とずっと言っていたのである。イジメは価値認定を事実認定であるかのように押し付けられる、クラスの中の一つの運動だろう。

    更に加藤周一は、ベトナム戦争で「なぜ文学者や素人の市民が結果的に正しい判断をしたのか」という事も言っている。

    政治学、あるいは歴史学の場合には、学問が進めば進むほど歴史的な現象が現在起こっていることの必然性を理解することになるので、進めば進むほど批判力が低下する。そう考えると、なぜヴェトナム反戦運動が数学者と英文学者から出て政治学者から出なかったかが説明できる。(『私にとっての20世紀』)

    この「あの日、君と」という短編集、夏休みのためのオリジナル文庫である。伊坂幸太郎は今回この文庫のために、書き下ろしの短編小説を書いた。専門家が跋扈する「原発」時代の少年少女や我々に必要な「文学」を感じているのかもしれない。

    「僕はそうは思わない」
    それは、イジメから脱出するためにも、独りデモに参加するためにも、有効な呪文になり得るだろう。

    さて、
    この文庫、結局みるべき短編が載っているのはこの伊坂幸太郎と、奥田英朗「夏のアルバム」、西加奈子「ちょうどいい木切れ」だけだった。あと五人も中堅どころの作家がかいているのだが、なんだか小説家志望の作文の様に感じた。奥田英朗も、西加奈子も、初めて読んだが、やっぱり有名な作家は有名なだけはあるのだ。
    2012年7月8日読了

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あの日、君と Boys (あの日、君と)の作品紹介

伊坂幸太郎、井上荒野、奥田英朗、佐川光晴、中村航、西加奈子、柳広司、山本幸久。人気作家たちが描く、ナイーブでひたむきな少年たちの物語。

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