宵山万華鏡 (集英社文庫)

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著者 : 森見登美彦
  • 集英社 (2012年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468458

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宵山万華鏡 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 京都に生まれ育って23年、宵山には高校生の時に一度だけ行ったことがある。
    もちろん彼女連れなんてことはなくて、いつもつるんでいた友人五人と街に繰り出した。
    どこまでも続く人の波、むせ返るような暑さと湿気、ほんとうに方向感覚を見失うようなあらゆる方向からの音。
    この宵山万華鏡はその全てをありありと私に思い出させた。
    ほんとうに妖怪くらいいてもおかしくない。お祭りの夜だし。

    今年ももうすぐ祇園祭の夏がくる。
    数年ぶりにあの万華鏡の夜に繰り出すのも悪くないと思えた。

  • 永遠に終わらない「祭り」の物語。

    祭りは賑やかで楽しい。けれど祭りが賑やかであればあるほど、終わる時の寂しさもひとしおだ。いや、むしろ終わる時の寂しさを知っているからこそ、祭りは賑わうのかもしれない。せめて今はあでやかに咲けとばかりに、短いハレの日を祝うのかもしれない。祭りはどこか青春と似ている。また人生とも似ている。

    もともと祭りは神事であり、「ヒト」と「ヒトでないモノ」の交感の場であったという。今は宗教性より娯楽性が増したとはいえ、その起源を考えると、祭りの雑踏の中でふと異界へ迷い込んでしまう気がして不安になるのは、あながち迷信とはいえないのかもしれない。祭囃子の笛の音にどこか憂いを感じるのも、じつはヒトの本能なのかもしれない。

    賑やかなのに寂しくて、美しいのに恐ろしい。『宵山万華鏡』は、そんな祭りの本質を、ぎゅっと濃縮して一冊の本として封印したような作品だ。全6篇の連作短編集だが、同じ《宵山》を見ているのに、登場人物によって全く異なる世界が展開されてゆく。ある者にとっては壮大な茶番劇であり、ある者にとっては青春最後の打ち上げ花火であり、ある者にとっては異界への入り口であり、さらに、異界の入り口で踏みとどまる者、異界で永遠にさまようことを選ぶ者、異界と現世の境界に立つ者、完全に異界の存在と化した者がいる。文字通り魑魅魍魎の跋扈する世界。

    祭りの終わりは寂しいが、終わらない祭りほど虚しいものはないだろう。「死は悲しい。しかし、死がなければ人は死を望むに違いない」と言った人がいる。還るべき日常を失った祭りは、もはや祭りとは呼べまい。それは既に「ヒトでないモノ」の領域だ。

    どんなに美しく楽しげに見えても、永遠に変化しないものにはヒトは本能的に恐怖を抱く。一方で、抗いがたい魅力をも感じる。《宵山様》の弄ぶ玩具が万華鏡だというのは象徴的だ。あの無限に続く美しい模様に心奪われた経験のない者はいないだろう。だが、自分があのような鏡の中に閉じ込められたら正気を保てるだろうかと、恐怖を覚えたことのある者もまた多いだろう。にもかかわらず、或いはそれゆえに、万華鏡も《宵山様》も私の心を惹きつけてやまない。

    たった一冊の文庫本の中に、森見先生は《宵山》をまるごと閉じ込めてしまったみたいだ。本を開けば、溢れんばかりのイマジネーションの奔流を覗くことができる。まるで内田百閒か泉鏡花のような幻想的な世界を、どうして平成の舞台と文体で作り出すことができるのだろう。こんな作品が読めるなら何年でも私は待つ。だからゆっくり休養してください、森見先生。

  • 現実の世界と宵山様がいる別の世界とリンクしてその境界が曖昧でクルクルと万華鏡のように変化し、幻想的な世界を醸し出しているのが魅力的。あとがきで著者自ら祭りの神秘性について語られていますが、確かに祭りというのは異世界とまでは言わなくても、この世と別の世界とが何かの拍子に繋がってしまうような非日常の感覚がありますね。幼かった頃、人混みで迷子になるんじゃないかと思った怖さ、それを上回る祭りから得られる高揚感、そんな感覚を久しぶりに味わいました。恐るべし宵山、恐るべしモリミー!

  • 「夜は短し・・・」が少し読み進め辛いという印象だったので、不安に思いつつも装丁がきれいで思わず買ってしまいました。

    祇園祭宵山の一日を舞台にした不思議なお話。
    少し怖くて不気味・・・でもその不思議な世界に引きこまれました。
    それぞれのお話の繋がっている部分、お話の裏側、最後の「宵山万華鏡」で「???」ってなったと同時に鳥肌が・・・
    ありえないのに、ありえそうという舞台設定と各編各編の繋がりの描かれ方がうまいと思いました。

    語り方が独特な作者ですが、お話はやはりおもしろいので、慣れたらはまりそうです。

  • 森見さんの書く文章ってわくわくする。
    もしかしたらこういう世界があるのかもしれない、
    と思えるぎりぎりの現実感があるのがとてもすき

    私が一番好きなお話は、一番初めと終わりの姉妹のお話と、真ん中の偽宵山を作るお話。
    学生の頃の下らない感じ、好きです。

  • 幻想不思議ワールド炸裂。
    京都にゆかりのない人間でも、一度宵山に
    行ってみたくなります。

    読むと、自分の頭のなかに不思議世界が構築される
    感じが好きです。

  • 奥州斎川孫太郎虫って、
    無闇に言いたくなる。

  • すっかりはまった森見登美彦作品。読むのは5冊目。
    京都祇園祭、宵山の夜を舞台にした6作の連作短編集。

    頭から宵山姉妹、宵山金魚と読んで「何だか今回のは期待ほど面白くないなぁ」と思っていたら、そこから一気に加速。
    まるで魔法にかけられたみたいにグイグイと引き込まれる。
    特に宵山金魚の宵山様への道の描写が何だか冗長だなと思っていたが、それをドタバタと作り上げる過程を披露する宵山劇場、不思議な舞妓と大坊主に連れられトレースする宵山万華鏡を読んですごいと思った。
    一度読んだ場面が後から後から別の角度で語られ、その度に場面を読み返して感心した。

    宵山劇場の高藪さんの登場ににやりとしたりして楽しんでいたら、宵山回廊と宵山迷宮では背筋がヒヤリとする恐怖を味わわされる。繰り返す宵山、15年前に消えた娘、世界の万華鏡。
    同じ日が繰り返す系は度々書かれた設定だと思うけど、連作短編で2作やるのはすごいと思った。そしてどちらもタイトルが内容にぴったりマッチしていて秀逸。迷宮は抜けられるけど、回廊は…。

    始めの宵山姉妹の姉のほうが出てきて、全てが収束する宵山万華鏡。宵山様はやっぱり寂しいのかな。そこを考えると少し切ない。
    最後の妹の言葉は、はじめは意味が分からなかったけれど、最後に読むととても意味深。

    何度でも読みたくなる、大満足の一冊でした。

  • うーん、面白かったし、怖かった。内容としては『四畳半神話体系』に近いところがあったかな。でも、宵山、というお祭りの日が舞台であることで、神秘性が増してる気がするし、おどろおどろしいかんじも増してる。私は四畳半よりずっと好きだな。そも四畳半は世界が狭すぎて、話が矮小になりやすかった気がして。これは短編連作集なこともあり、主人公が色々変わるし、立場も変わる。話の裏を観てる気分でニマニマしたり、今までの森見ワールドを味わってる人なら、おお!あの人が!というシーンもある。そういうのはたまりませんねぇ。

  • お祭りの中で現実と幻想が入り交じる不思議な話。

    初めての森見作品でしたが、独特の世界観に見事に引込まれました。
    ただ、合う合わないの差は大きいでしょう。
    合えばとことんのめり込むし合わなければ全く読み進める気が起こらないかと思います。
    私は前者でしたので、お祭りのどこか異世界に繋がっていそうな幻想的な雰囲気にまるまる呑まれて、読了後には京都に行きたいという思いが強まりました。
    また、作品全体の雰囲気は幻想的でありながら、仕掛けも用意してあって、悪戯の話は笑えました。壮大な悪ふざけに全力になる彼らが好き。

  • 京都の祇園祭が舞台の愉快でちょっと不思議なファンタジー小説。悪戯を仕掛けられる話は笑えるし、不思議な体験をしてしまう話も面白い。相変わらず万人受けしない世界観だと思うけど、この世界観を楽しめるのは幸せ。森美さんの書く本はどれも情景描写が綺麗ですごくいい。何を読んでも京都に行きたくなる。

  • むせかえるような暑さ、歪む視界。朱色とりんご飴。張り付く浴衣。提灯をゆらす不思議な風。花緒がちぎれる。-まるで自分が京都に住んでいてこの街で宵山を迎えているかの様。一緒に迷子になり、出口まで走りぬけました。読み終わっても不思議な感覚がぬけない、少し意地悪な小説。今年1。モリミーの中でも1番か2番だよ!これは!\(^o^)/

  • 祭りの夜の、恐ろしさと妖しい匂いに満ちた物語。
    各章が重なり合いながら、ぐるっと一回りします。
    ただし、全く同じにはならないのが、正に万華鏡。

  • 6編からなる、京都の祇園祭の宵山を舞台にした物語です。
    森見作品ではよく見られる、1話1話自体独立しながらも登場人物や設定が少しずつ絡んでいます。ついでに言えば、夜は短しとも絡んできますが、、、

    宵山金魚のめまぐるしい感じや、宵山劇場のバカバカしい感じが好きです。あとの4編は現実の背中合わせになってる宵山と言う世界が見え隠れして、微ホラー。

    話は繋がってませんが、収録順に読むのがおすめめです。

  • 京都の宵山を舞台に
    不思議だったり、ちょっと怖かったり
    バカバカしかったりの連作短編集。

    キラキラのお祭りを万華鏡でくるくる見てる
    不思議感覚

    他の作品の人もちょっと出てきたりして
    嬉しくなります

  • 情景描写にとさせられることが何度もあり、読み応えのある作品。
    どんどん先を知りたいけれど、元に戻ってもう一度読み返したくもなる。
    不思議な感覚で、時間をかけて読みました。

  • 毎年夏になると読み返す本。色鮮やかにクルクルと展開していくこの本自体が万華鏡の様である。読み進めるにつれて夢中になり、私までもが宵山に迷い込んでいるような気分を味わえる。お祭りが生む非日常感はあるはずのないものを見せたり、ずっと魅力的に思わせたりする

  • 宵山万華鏡

    あまりイメージのなかった宵山での祭りですが、光輝く神秘的なものとなった。
    微妙に繋がりのある短編集で、ハチャメチャな楽しさ有り、少しの怖さ有り、神秘的なストーリーも有りと、面白いと感じられる話が何個かはありそうです。

  • 現実のどっきりをこんなに気合入れて仕掛けてくれたら嬉しいかも、と思ったけど、それだけじゃなかった。
    妖しい世界と宵山は繋がっている。
    迷い込んだら絶対出られない。まさに万華鏡です。

  • 宵山に来た人々をめぐる、少しだけ馬鹿馬鹿しくて、とても不思議で、どこか物悲しい連作集。
    森見さんというと恋せよ乙女とか四畳半神話とかのイメージがあるが、文体はそれらとはかなり違い、癖のない感じになっている。だからあれが苦手って人でも楽しめるかも。本の後半になるにつれ、祭りに漂う喧騒の裏側、例えば普通のお祭りへ続く道の脇道に潜むひっそりとした静けさみたいな、そんな怖さを含んだ話になった。こういう雰囲気すごく好きだ。話の順番としては、話の賑やかさが山なりになる感じ?こう、祭りが始まるよー、最高に盛り上がったよ!、段々祭りが終わって静かになってくよー、っていう。宵山劇場って話が盛り上がりの頂点かな。私が好きなのは宵山回廊と宵山万華鏡だなあ。元々こういう不思議で、なんとなく怖くて、少し哀しいって話の雰囲気が好きなんだ。これ当たり!

  • 森見氏お得意の「京都を舞台にした
    夢ともうつつともつかない不思議世界」のお話。

    「宵山の日の京都市内」を舞台に、
    各編ごとに登場人物が交錯しながら主人公が入れ替わる。

    これまたお得意の「お笑いファンタジー」もあれば、
    珍しく「ファンタジーの舞台裏をバラす」作品もある。
    かと思うと、もの悲しい余韻を残して終わるものも。

    夢かうつつか、真面目か不真面目か、お笑いか恐怖か、
    全ての事柄や登場人物が複雑に絡み合いながら進むも、
    結局は「宵山の日」だけが舞台となっている。

    そして、象徴的にそここに登場する赤い金魚。
    時に金魚すくいの水槽の中に、時には風船として、
    はたまた赤い浴衣姿の女の子の集団が
    「まるで金魚のように」人混みをすり抜ける様として、
    繰り返し「赤い金魚」が描かれる。

    短編それぞれに違う色合いを見せつつも、
    これはきっと京都が舞台だから成立するんだろうな、
    と思わせる奇妙な「根っこが同じ感」をも内包する。

    とにかく、本作の魅力を言葉で説明するのは無理だ(^ ^;
    少なくとも私には(^ ^;

    ご興味のある方は、読んでみてとしか言いようがない(^ ^;

  • 森見登美彦の本を初めて読んだ。
    言葉の使い方がとてもきれいで驚いた。
    初めてだったので短編集のこちらの作品から読んだが、宵山の怪しい雰囲気にすぐにのみこまれてしまった。赤い浴衣を着た少女たち、髭もじゃの丸坊主、巨大な金魚、そして宵山様...物語がつながり、展開していく中でわたしの脳内でも、宵山が何度も繰り返されるのだ。
    なんとも上手い。

    祭りに赴いたらこの不思議な空間をふと思い出しそうだ。その時は、時を超えて迷子にならぬよう気をつけておかないと、ね。

  • 祇園祭宵山を舞台とした話。
    背筋がゾワッとするミステリー調かと思えば、「やりすぎ!」とツッコミたくなるギャグ調になり、最後には唸ってしまいそうな素晴らしいオチになる。タイトル通り、正に万華鏡のようにクルクルと変わっていく。
    結末まで一気に読ませてしまうのは、さすがです。じっとり蒸し暑い7月に、ビール片手に読み返したいな。

  • 宵山。筆者の祭りに対するミステリアスな部分を楽しめた。
    関西付近に数年住んでたけど、祇園祭には一度も行ってなかたんだよなあ・・・もったいない。

  • 祇園祭の宵山を舞台にした物語である。
    様々な登場人物から見た同時刻の宵山が描かれており、群衆劇のスタイルをしており、読み終わって初めて物語の全貌が見えてくる。

    感想としては、現実と非現実が交錯しており読んでいて不思議な感覚に陥った。また、森見登美彦の作品でよく見られる他作品の登場人物が他の作品でも関わっているというのが、この一冊の中に収められているのも魅力的な点である。

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祇園祭の京都を舞台にした森見登美彦の連作中篇集「宵山万華鏡」(ヨイヤママンゲキョウ)が文庫化!表題作ほか計6編収録。森見流ファンタジーの新境地

宵山万華鏡 (集英社文庫)のKindle版

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