屍の聲 集英社文庫

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471007

感想・レビュー・書評

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  • 久々の坂東眞砂子さん。やはり好きな感じです。
    田舎の因習と方言。 青く揺らめく情の焔。
    人の心の奥底に沈んでいる、真っ暗で重たい闇。
    本当は何を1番怖れなければいけないのか。

  • 呆けて孫のことが分からなくなったお婆ちゃん、でも時々呆けていないお婆ちゃんが出てきてそのお婆ちゃんは死にたがっている...これは孫の気持ちが分かりすぎてキツイ

    どの話も人間が生きる屍になっている
    でも同時に燃え上がるような生も感じていて、圧倒された

    雪蒲団はどうして繁さんが殺されなければならなかったのかが理解できない
    あの子はあのときどんな精神状態になったの...?

  • 相変わらず不気味な小説を書く作家。舞台は四国か。土臭い闇の世界がよぎる坂東のホラーは他の者の追随を許さない。短編集だがテーマとして共通しているのは“迷信”“ことわざ”“いいつたえ”など。これもおどろおどろしい雰囲気をかもしている。中でも、猫が死者を跨ぐと死者が生き返る、何ていうのは本当にあるようで恐い。

  • 人間の心の中にある妄執、殺意、憎悪などの暗い感情を題材にした物語。主人公たちの抱える闇はは誰もが持っているものであろうが、それが極まると恐ろしい結末を引き起こしてしまうのだろうか。幽霊のゾッとするとは違う、うすら寒いという感覚を覚えた。 幽霊だとああ怖かった。で終るんだけど人間だとすごい気持ちが悪い。後味も悪いし。なんだかんだで人間が一番怖いって言うのはよく言ったもの。 心の中にどろっとした物が溜まった感じ。心が重たくなったみたいなそういう感じの読了感。

  • 屍の声
    猿祈願
    残り火
    盛夏の毒
    雪布団
    正月女

  • 濃密な情念に満ちた重めのホラー短編集。血縁や婚姻による繋がりの中で、しがらみや重圧、自身や他者の欲望によって、心をすり減らしていく人々の物語。怪異が存在する話もそうでない犯罪小説的な話もありますが、人の身勝手さや嫉妬心、伴侶や家族に対する無意識の甘えがストレートに表現されて、ずしりとくるものがあります。
    それでいて、どの話もよくまとまっていて、すいすいと読めるのもよかった。

  • 2016年11冊目は1ヶ月の再読期間明け、坂東眞砂子のホラー短編集。全6編。

    屍の聲:惚けてしまったおばあちゃんと孫娘の話。ラスト一行で、二通り目の解釈が出来るようになってる。

    猿祈願:上司と派遣OLの不倫の果ての話。展開もオチも予想の範囲内ではあったが、30p弱で上手くまとまってる。

    残り火:地主一家に嫁いだ嫁の話Pt1。コレはこの中では、一番ベタなんじゃないかな

    盛夏の毒:山村で農作業中に毒蛇に咬まれた、新婚夫婦の話。ドロッとした淫靡フレーバーの、ある意味、王道パターン。

    雪蒲団:夫の死後、妻の実家へ戻った母子の話。コレは行間に注意しましょう。

    正月女:地主一家に嫁いだ嫁の話Pt2。コレも展開&オチは予想の範囲内。

    個人的好みは、「屍の聲」「雪蒲団」「盛夏の毒」「正月女」「猿祈願」「残り火」の順かな(?)。

    全体として、山村での、土着土俗的な感覚のホラー。短編ながら、伏線が上手くはられている。ただ、それがチョット気付き易いんで、比較的安易に展開やオチが予想出来ちゃうのも事実。その辺で評価伸び悩んで★★★☆☆。

    それでも、なかなかで、一晩読了。

  • ①屍の聲
    ボケてしまったおばあちゃんと、その孫のお話。お年寄りの介護って本当に大変。よく、子供や孫が真摯に世話をする様子が描写されるけど、本当に、偉いなぁといつも感じる。介護って、それだけ大変なこと・・・まだ中学生の布由子の抱える負担感は相当なものだ。なんとなく、気持ちもわかってしまうのは、自分への言い訳なのか、単なる同情なのか。

    ②猿祈願
    安産祈願のお猿さんの人形ってのは、さるぼぼとは違うのかしら・・・でも、奥秩父が舞台だし、岐阜のさるぼぼとは違うのかな?怖い姑がいなくて良かった良かった・・・

    ③残り火
    奥さんは大事にしよう。こんな風に、昔の風習のなかに、時代感覚の違う人が混じっているとやっぱりしんどいものなのだろうなぁ。何も感じず、考えずに、生きていた方が、時には幸せなのかも・・・しれない・・・

    ④盛夏の毒
    お盛んなお二人。貞操はいつの時代でも大事・・・と信じたい。

    ⑤雪蒲団
    母と子とのほっこり物語かと思ったら!嫉妬心は恐ろしい。

    ⑥正月女
    女の嫉妬!こわ~。

    多分・・・だけど、今回読んだの、これ二度目かな?
    なんとなーく覚えあり。だけど、改めて年取ってから、読むと、それも結婚が決まってから読むと、感じるものも変わってくるんだなぁとしみじみ。

  • 坂東眞砂子、どんな小説なんだろうと初めて読んだ。短編それぞれ共通するのは、田舎の生活やら風習が底にある都会にはない雰囲気。話の魅力は最後の「正月女」が頭一つ出ていた印象。

  • 正月の元旦に女の人が死んだら、その村の女を七人引いていくゆうがよ(正月女)…など、田舎の地縁と人の執着心が歪を生み出すバッドエンドなホラー短編集。
    方言での会話が作り出す風土風習に絡めとられるような陰の雰囲気に独特のクセがあって、キモ怖くて面白い。

    「屍の聲」「猿祈願」「残り火」「盛夏の毒」「雪蒲団」「正月女」の6編。

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著者プロフィール

高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築と美術を学ぶ。ライター、童話作家を経て、1996年『桜雨』で島清恋愛文学賞、同年『山妣』で直木賞、2002年『曼荼羅道』で柴田連三郎賞を受賞。著書に『死国』『狗神』『蟲』『桃色浄土』『傀儡』『ブギウギ』など多数。

「2013年 『ブギウギ 敗戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂東眞砂子の作品

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