恋愛太平記 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471274

感想・レビュー・書評

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  • 何回めになるのかな。たぶん、5〜6回は読んでいると思う。長いものだけど、金井さんの小説の中で一番好きかも。四人姉妹のそれこそ「恋愛太平記」なのだけど、これが何回読んでも面白いんだよねぇ〜〜〜。四人にそれぞれの連れ合い、恋人、そして実家の両親が絡んだ10年ほどのお話で、お互いがよくしゃべる、しゃべる・・・。もちろん、みんな、人格者というわけではなく、金井さんが確信犯的に欠点を作っていて、失言も多いところがなんか笑えてね。そして、それに買い物好きの実家の母親が、なんというか、「うざい」ながらもいい味を出していて。お洋服や調度品、食べるものの細かい細かい描写には、時にうんざりするけれど、カメラがパンするようにただ見たままの書きっぷりって金井さんならでは。(#^.^#) 上二人は離婚して家に戻ってくるんだけど、下の二人も、結婚相手の火遊びを匂わせ、また自分も、なんていうこともあり。でも、読者にさえそれが真実なのか、杞憂なのかを教えてくれないところは、そんなのつっつかない方がいいのよ、と金井さんは言いたいのか??金井さんを思わせる「目白のおばさん」が珍しく、未亡人(しかも金持ちの!)として登場するのが可笑しい。「噂の娘」に出てきていた理容院の先生らしきおばあさん(林長次郎に修学旅行の際会いに行って退学になった)が出てきているのはサービスかな。というか、そっか、あの商店街は、彼女たちの実家のある町の話だったのか、なんて。(#^.^#)

  • 谷崎潤一郎『細雪』『台所太平記』に加えて映画『阿修羅のごとく』を思い出したと言ったら著者は嫌がるだろうか。

    本書を読みながら驚かされるのはその「多声」。登場人物のみならず、広告の声までがまぎれこみ、正体を現さない語り手がどんどんと相対化されていく。また、時間の流れかたも一様でなく、後半でふと、父親が亡くなった後、へと時間が飛躍する。この、微妙に行きつ戻りつする時間を追いながら読むのも面白い。

  • 主に四姉妹と母親からなる饒舌な会話の羅列。洋服やインテリアなどの説明が執拗につづく。とにかく説明だらけ。金井節がてんこもりで面白いけれどもだらだらと起伏のない文章を上巻だけで400P、まだこれから下巻があるのかと思うとちょっとキツい。間を空けるかもしれない。

  • 4人の姉妹が織り成す生活と恋愛模様。
    2巻の解説によると、刊行時に『細雪』『台所太平記』を挙げた書評が出たそうだが、文体のせいなのか、あまり先行作のことは考えずに読んだ。2巻も楽しみ。

  • 高橋源一郎と柴田元幸の共著『小説の読み方、書き方、訳し方』で、金井美恵子作品は、柴田元幸が選んだ「海外に紹介したい現代日本の小説」30冊に「兔」、高橋源一郎が選んだ「ニッポンの小説」30冊にこの「恋愛太平記」が、それぞれ挙げられていましたが、私はどっちの金井美恵子も大好き。

    「兎」のインパクトは絶大だったし、初期のとんがった作品やその後の実験的だったり前衛的だったりする作品も好きだし、目白四部作あたりの、饒舌な群像劇もとても面白い。本作は後者の路線。

    四人姉妹とその母の、それぞれの恋愛、結婚、離婚、出産、旦那の浮気、自分の不倫、近親者の死、もろもろ日常の悲喜こもごもがひたすら綴られていきます。どのエピソードひとつとっても、それをクローズアップしてドラマとして盛り上げることも可能だけれど、逆に生きていれば当たり前に起こる平凡な日常として、あくまで作者の視線は淡々と客観的。でもそれが心地よくて、「こういうことあるある」「こういうひといるいる」とちょっとづつ共感しながら、いつのまにか引き込まれてぐいぐい読まされてしまう感じ。下巻も楽しみ。

  • 読み返したい。

  • FUFU これをトラップで恋愛小説の棚に入れましょう。 昭和の「細雪」です。

  • 究極の暇つぶし本。ストーリーを読むのではなく、ディテールを楽しむ。母娘のショッピングの内容だとか、そういう小物の存在感を楽しむのです。2年に1度は読み返している。

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著者プロフィール

金井美恵子
小説家。一九四七年、群馬県高崎市生まれ。六七年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『文章教室』、『タマや』(女流文学賞)、『カストロの尻』(芸術選奨文部大臣賞)、『映画、柔らかい肌』、『愉しみはTVの彼方に』、『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(共著)など多数。

「2023年 『迷い猫あずかってます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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