女たちのジハード (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 207
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471489

作品紹介・あらすじ

中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。直木賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと積んでいた本…こんなに面白いのに何故早く読まなかったのだろう?

    はじめから最後まで本当に面白かった。20才からアラサーまで男女とも大きく環境が変わる事が多い10余年間。
    こういう話を読むと、男性に比べて女性の選択肢が意外に多くて、その10余年間のちょっとしたきっかけが、その後の人生の振れ幅に簡単に大きく響いてしまうのも男性より女性の方なんだろうなぁと思う。だからこそのジハード。
    OL5人がそれぞれの強い思いを持って奮闘する。10年後20年後、この5人はどうなってるだろうか?幸せになっていてほしい。

  • 一気に読みました。

    篠田節子さん、第117回直木賞作品。私は篠田さんは初めて。

    5人の個性あふれる女性の良い意味での現代女幸福論の数々。
    解説の田辺聖子氏も『いい意味での女手(男性作家の手に合わぬ分野)の小説群』とおっしゃってます。

    痛快で面白かった。
    結婚が幸福のカギとならなくなって久しいが、さりとて何がそれなのかと悩んでいる人間の性が女性となると戦いとなる!!
    しかし、深刻な人生論をぶつのではなく、実際的で、頭脳を働かせつつ、かつ色気もあって、この作品は飽きさせない。

    5人の中で私は誰が好きか?
    康子。どじな観音様みたいなんだけれども、実務派。
    ひそかにオムニバスでなくて、康子が主人公ではと思いました。

    それに、田辺聖子氏の解説がすばらしい。
    私は解説マニアでもあるが、こんなにぴったりなのは初めて。

    ところで、田辺聖子氏の作品いろいろ読みました。
    「感傷旅行」も好みですが、
    「姥ざかり」シリーズがとてつもなく面白うございましたよ。
    今、手元にない(人にあげなきゃよかった)ので残念!
    はや姥予備群でなくなり、もう一度読んだら面白いのかしらん。と思う。

  • 6月-14。4.0点。
    直木賞。損保会社の一般職女性4人の奮闘を描く。
    結婚やら、夢やら。面白い。吸い込まれるように読んだ。
    さすがの筆力。時代は少し前だからOL像も少し古いが、心理描写が秀逸。

  • 25年振りに再読。
    ぞくぞくするほど面白く、(ほぼ)忘れていたエピソードのお陰で新鮮な気持ちで読むことできました。
    それにしても高々25年で世相ってこんなに変わるものでしょうか。
    若い世代にも「歴史書」くらいな感じでお読みいただきたいです。

  • 発売当時に読んだので、当時はとても感動し、やりたいことにチャレンジするための勇気をもらい、背中を押してもらった。
    (当時は腰掛け気分で就職して、寿退社を待つだけの時代だった。)
    時代は変わったかもしれないが、リスクをとって、チャレンジするのか、しないのかは自分次第であることは変わらない。
    何にチャレンジするのかも、それぞれの個性で違っていたのが、小説として面白かった。

  • 面白かったー!爽やかな読後。特に、康子の競売の話から一気に面白くなった。そして、5人の女性(主人公でない純子をいへたら6人だけど)が出てくるから、思わず自分に似ている人を探してしまった。ちなみに私は紗織8割リサ2割位のタイプかな…笑 そして、紗織の当初の自己研鑽の中途半端さは非常に耳が痛い話だった。康子、リサ、紗織のそれぞれの転機は正直出来過ぎな気もするけど、それにしても面白かった。痛快でした。

  •  『プライベートライアン』が現役軍人に刺さるがごとく、『桐島、』が現役高校生に刺さるがごとく、結婚適齢期に差し掛かかりつつある私には、この『女たちのジハード』がものの見事に刺さってしまった。

     お話の主人公は、ある損保会社に勤める5人のOLたち。女の幸せは結婚か、はたまた仕事か。この絶対命題の間を揺れる20~33歳の女性たちの生き様を描いている。
     男社会の色が未だ根強い日本。会社は「華やぎ」要員の若い女性社員だけを求め、年をとったら使い捨て。さらに不況で男性社員さえリストラに遭うような状況で、女性が生き残る道は会社にはない。だから「売り手市場」の時に結婚して寿退職か、自活の道を自ら切り開くしかない。
     そうした背景のもと、それぞれがそれぞれの信念に従い、自己実現のためのプランを立てては見るものの、なかなか思うようにいかない。社会にはこういった、女にだけ向ける厳しい顔というものがある。
     主人公たちは厳しい現実に泣いて、悩んで、苛立って、もがいて、ズタボロになる。がむしゃらになって、つまずいて、ぺしゃんこになって、またべそをかく。そうしてその先にようやく自分の生きる道を見つけ出し、現状を乗り越えていく様は勇ましく、読むものの「生」を力強く鼓舞してくれる。
     彼女たちから感じた強さとはいったい何なのだろう?よく、「人生は選択の連続だ」と言われる。選択の裏には必ず捨てるものがある。彼女たちが新しい扉を開くことができたのも、大きな「選択」ができたからこそ。つまり捨てることができた。みな、決断の時には各々に巡ってきた出会いによって、これまで自分がもっていた凝り固まった考えや信念を捨てて、新しい道に歩み出して行った。そういった意味の強さが、ひいては生きることの強さでもあるのだろう。
     そして人生は思うようにいかないものでもあり、思いがけないものでもあるようだ。その「思いがけない」ということを、恐れず楽しむのも彼女たちの強さなのだ。
     様々な生き方を通して女の生の辛さと、生本来の喜びや楽しさを教えてくれるというところが実に魅力的な作品だった。

  • 女性たちが元気である。
    その元気さは、この小説を読んで理解した。

    康子という女性が、鮮やかな生き方をしている。
    バラを作っている「男の品位」のなさ
    女性の位置とマンション購入をめぐる闘い
    ボランティア活動のあり方。ファーストクラスの客。
    個人のネットワークの大切さ。

    女性が生きていく上での方向性。
    英語を勉強して。

  • 何の気なしに図書館で手に取った一冊。
    読み始めたら、止められない。
    5人のOLの生き方。
    それぞれ迷いながら自分の生きる道を見つけて行って偉いなぁ~
    遠い昔のOL時代、何の疑問も持たずに過ごしちゃった(@_@;)
    そして今があります・・・

  • 最高。とても爽快で読み終わって気持ちの良い本

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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