青のフェルマータ Fermata in Blue (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471496

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上前に読んだ本。

    友人から誘われて、夏休みにイルカと泳ぎに行くことになり、その前にこの本を渡された。
    (イルカと泳ぐことも、本を読むことも、あまり気乗りしなかったが、どちらも思ったより良かった。)

    傷ついた少女が、大自然のなかでイルカと泳いで癒される物語。繊細さと野生的なものの対比が印象的だった。

    実際にイルカと遊んでみたら、イルカはかわいくて、忘れられない経験になった。(大自然ではなく小さなプールにいるイルカでかわいそうだったが。)

  • 登場人物が外国人だとやはり人物把握に時間を要します。ゲイリーの印象が物語の中で何度も更新されました。
    読んでいる最中、常に海、そして青を感じながら読み進めていましたが作中で一番印象に残ったのは
    ”淡いピンク色の小さな粒が無数にわき上がり、波の動きに合わせてゆうらりゆうらり揺れながら、海面へ向かって浮かび上がっていく。~中略~数億の卵たちがたゆたい、揺れ、音もなく、果てしなく浮かび上がっていく。風に散って舞い上がる夜桜を、スローモーションで見ているようだ。”

    このシーンです。一年に一度の特別な夜の描写ですね。グレートバリアリーフに起こるこの奇跡のような光景をぜひ目にしたいと思いました。

    読了後、非常に心地良くなりチェロの音を聴きながら南の島で海にプカプカ浮かびたいと感じる小説でした。

  • 海とイルカと音楽。
    声を失った少女の愛と再生の物語。

    海に抱かれ、イルカと戯れ、チェロを奏でる。
    リオのそんな海外生活に少しの憧れを感じた。

    最終的に彼女が選んだ相手に正直驚いたけど、
    愛の形はそれぞれ。

  • 終わり方が・・・

  • クラシック音楽(作中にも出てくるし、ドヴォルザークのチェロ音楽)を聴きながら読んでほしい。
    海やイルカの描写がキレイでとても贅沢な気持ちになれます。
    読書×音楽は贅沢で、没入できる時間。

    村山由佳さんの異性を求めるシーンは、嫌らしくなくて女性の心にジーンと響く描写だなと思いました。

  • 良くも悪くも村山さんの作品って感じ。
    ムキムキ・マッチョな男と一見、貧相でか弱いカンジだけど芯は強い幸薄いカンジの女性とのあいだの恋。

    村山さんの作品を読み始めた頃に読めばもっと感動しただろうな。

  • 一緒にイルカと泳ぎたくなる小説。

  • 最後の最後で『えーっ!』と叫びました。

  • 小学校だか中学校の時だかあやふやだけど、ジャケット買い。
    月並だけどイルカが好きだったので、さぞかし瑞々しい青春ストーリーだろうと思って読んでみたら、相当エロくてびっくりした覚えがある。
    今思えば大人へのステップアップのきっかけになった本かも(爆

    ずいぶん昔に読んだのに結構内容覚えてます。
    主人公は声を失った女の子で、イルカセラピーを受けるためにオーストラリアに滞在。
    この人物背景からおとなしくて繊細な子なのかなと思ったけど、結構ギラギラしてる子なんだって思ったのが印象に残ってる。
    でも最後はいただけなかったなぁ。イルカ好きなだけにね。

    残念だったのは声を取り戻すシーンとかあっけなかった気がするなぁ。
    「えっ戻ったの?」って読んでて拍子抜けしちゃった。でも印象に残ってるけど。

    「お前の声、意外とアルトなんだな」って友人に言われるとことか。

    ドラマか映画にしたら面白いかも。

    関係ないけど、そもそもなんで主人公はオーストラリアなんかに行ったのでしょう?
    三宅島とか小笠原の方が癒される気がするけどなぁ。

  • 中学生の時に村山さんを知り、無我夢中で読んだ作品の中の一冊。
    最近出された「放蕩記」を読み終え、作者の思いや育った環境等を知り、また読み返してみようと思って再読に選んだ一冊。
    タイトルや、表紙、イルカのもたらす人への癒し、海の魅力、チェロの奥深さ、私のストライクど真ん中でした。
    私はこの作品でイルカに惹かれ、まだ実現できてませんが「いつか珊瑚の産卵を見たい」という夢を持ち続けています。
    ただ、今回読み進めていく中で、どうしても主人公理緒の恋愛面での行動は私には理解に苦しむところがありました。
    女として、男に惹かれる。その結果がゲイリーと関係を選んだとはいえ、「傷を負った」理緒があそこまで露骨に人を傷付けられるだろうか。それに激怒した彼の行動も、私には考えられないほどに残虐でした。彼がそこまで豹変するだろうか、と。
    そして、突然のFin。
    思わず、え、っと声に出してしまいました。
    終わり方が唐突過ぎて私には消化不良でした。その後の彼らは想像にお任せします、では無責任ではないか。と、少し残念に思いました。事件や色んな人の思いがやっと見えてきたところなのに、もう少し描いて欲しかった。
    ただ、理緒とBJの思いには温かなものを感じました。タイトルが「青のフェルマータ」、フェルマータは私のイメージでは永遠なのですが、人やイルカの命は永遠ではなく時間が限られている、その対比が悲しくもいとおしく思えました。
    欲しいと思った時に手を伸ばさなければ、手にいれることは出来ない。若い時は命の終わりなんて考えもしない。無意識にこの日常が毎日続いて行くものだと思っている。だけど、人にフェルマータは無いのだ。そして、手にいれたいと手を伸ばしても、全てを手に入れることは出来ない。
    そんなことをこのストーリーから感じました。

著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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