夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

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著者 : 乙一
  • 集英社 (2000年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471984

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夏と花火と私の死体 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 今更読んだ、乙一さんのデビュー作。
    若干16歳で!というのは知っていたけれど、読んでみると改めてすごいなぁと思う。
    文章はこなれていないかもしれないけれど、乙一さんの世界観の原点があり。
    (淡々と紡がれる、ぞわっと不思議に気色悪い世界観…)

    表題作の「夏と花火と私の死体」
    幼馴染の兄への恋心を打ち明け、幼馴染に木から突き落とされて死んだ「私」。
    その死体をばれないように兄と妹が奔走する姿を、死んだ「私」の視点で見る。
    怯える妹と、冷静かつ大胆な行動に出る兄。
    二人の隠ぺい計画は、大人にばれずに完遂されてしまうのか…。

    乙一さんの物語は勧善懲悪ではない。
    妙な余韻と妙な救いを残し、静かに幕を閉じる。
    こんな客観的で冷静な目を、16歳の少年が持っていたのかと思うと、
    なんか話とは別に、それもそれでぞくっとするものがある。

  • 乙一さんのデビュー作。
    これはかなりやるせない気持ちになった。死体の視点から物語が語られるのは面白いが、他の登場人物(弥生、健、緑)が救いようがない酷さ。子供のくせに!早く見つけて!と思いながら読み進めたのに、結局その想いは届かず。(当たり前か…(^_^;))
    読後の気分の悪さが半端じゃない。

  • 「死体になった私」が主人公であること、そしてその主人公がやけに淡々としていることが、すごく奇妙で違和感があり、魅力的だった。
    ただ、この表題作も収録作「優子」も、お話の決着は軽く、雰囲気を楽しむものなのかなという印象。

  • 以前The Bookという、乙一さんが書かれたジョジョの奇妙な冒険のノベライズを読みました。そのとき他の方のレビューで、夏と花火と私の死体の方がジョジョっぽい(背後にゴゴゴやドドドが見えるような雰囲気)ということが書いてあったのを見て、それは読まねば!と思いました。

    スタンドも波紋も出てこないけど(当たり前)、わたしにとってはこっちの方が紛れもなくジョジョでした!(`・ω・´) 夏と花火と私の死体はもちろん、優子も「その血の運命」ってところがまさにでした。


    (´・ω・`) ココカラネタバレアリ〼


    【夏と花火と私の死体】
    魅力的なところがたくさん詰まっていました。殺されてしまった五月ちゃんが淡々と物語を進行させるところ。健くんと弥生ちゃんが死体を隠しているのが、ギリギリのところで見つからないあのスリル。(田んぼでカミナリじいさんに見つかりそうになったところなんて、まさにゴゴゴゴゴという文字がはっきりと頭に浮かびましたw)健くんの異常なまでの冷静な判断力。緑さんは、絶対このお姉さん誘拐犯だろって思って読んでたから驚かなかったけど…健くん似の男の子ばっかり誘拐してたとわかったときにはぞくっとしました。もう登場人物はだいたいおかしい人って感じで、大好きです。16歳のときにこんなものが書けてしまうなんて。

    【優子】
    優子が本物の人間だったとわかったときには、本当に鳥肌が立ちました。旦那様の方がおかしくなっていて、人形を奥さんと思い込んで愛でているものと信じきっていたわたしは、すっかり騙されました。素敵です。

  • 初めて読んだときは衝撃を受けました。
    ネタバレかもしれませんが、主人公は死にます。しかも割と?!とても早い段階で!!
    死体目線で地の文が進み、一番最後に回収された伏線には鳥肌がたちました。
    友人に推せるNo.1です。
    貸したあと返ってこなくて4~5冊は購入してます

  • オチは読めたけれど、この文章を10代で書ける乙一さんってどんだけすごいんだ(苦笑)
    夏の風景と、死体の「私」にまつわるとくに「兄妹」の心理描写が絶妙で、とくに「兄」の性格(というよりセリフや、態度)には空恐ろしいものを感じた。
    お前いくつだよっていう……(苦笑)
    さらに「語り手」である「私」の口調が「生きている」頃から淡々としていて、なんというか人間らしくないというか(まぁ死体なんだけど)そこが一番ある意味恐かったかも。
    主人公が殺されている時点でハッピーエンドなど有り得ないのだけどこの結末は……むしろ妹のその後が気になるところ。たぶん兄はこうなるので、妹は復讐にでも走るのだろうか。それとも……?
    登場人物としては「妹」が人間臭くて好きだった。お兄さんへの切ない(……?)憧れと好意。ままならない自分の立場への憤り。

    ただ物語りが終わったあとはたぶん生きながら一番不運と不幸と絶望に恵まれる子になるだろうなとは最後に思った。そして恐らく「死体」の主人公はそんな「妹」を淡々と描写していくに違いない……そっちのほうが恐い。

  • 黒乙一はグロいと聞いていたので覚悟しながら読みました。そのせいか思ったより不気味な感じがせず、弥生に殺された五月が無邪気に語ることでグリム童話の残酷さを彷彿とさせます。内容は嫌な話だけど文章は面白いです。「優子」は江戸川乱歩の『人でなしの恋』に少し似ていますね。結末は全然違いますが、表題作より「優子」の方が好みでした。

  • 緊張感のあるシーンで一緒に息を詰めてしまうこの感じ。読み始めると引き込まれてとまらない。物語の季節ともあいまって、夏の夜にちょっとヒヤヒヤしながら読むのが一番しっくり。

    ちなみに乙一氏の作品は、読後のさっぱり感は、ないと思います。それを求めて読んじゃうと、きっと疲れるだけ笑。

  • 今さらながら、乙一のデビュー作。お~、なかなか読ませるね。子どもが主役のドキドキサスペンス。謎解きじゃないから、すっきりとはならないが、あっけにとられる幕引きが印象に残る。死体の私に語らせる意味も、最後の一節に収束する。中編だけど、短編の名手になりそうなキレを感じさせてくれる。ダーク系が苦手な人も、騙されたと思って一度ラストまで読みきってほしい秀作。

  • 久しぶりの乙一さん。夏に読むべき!と勧められていたのに二月に読んでしまったよ。
    死体が語るという今まで読んだことのない語り部が斬新です。死体として過ごすあれやこれを淡々と語るのかと思って居たのですがほぼご兄妹目線ですね。五月ちゃんは魂となってご兄妹の周りをうろついていたのでしょうか。
    緑さんのミステリアスな部分ももっと見たかったし、優子の方は私の読書力のなさで結局は誰が幻覚を見ていたのか分からずじまいでした……

  • 2016年54冊目。
    意外な視点からの作品でそれだけでまず面白い。普通に考えたら気持ち悪いのに、の目に浮かぶようなのどかな田園風景がそれを消してくれてるのかな。
    ラストも衝撃的。
    でもいちばん衝撃なのは、この作品が著者が16歳の時に書いたものだってこと!

  • 主人公の視点が面白かった。

  • 夏になったら読みたくなる本です。

  • 再読

    <夏と花火と私の死体>
    九歳の夏休み、少女は殺された。
    あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなくー。

    九歳の夏休み「わたし」五月は、同級生の弥生ちゃんと仲良しで、
    弥生ちゃんのお兄ちゃん・健くんが好きだ。
    「わたし」は、ある日登った木の上から突き落とされて弥生ちゃんに殺される。
    健と弥生の兄妹は、五月ちゃんの死体を隠す。
    度々ピンチが訪れて隠すと見付かりそうになり、それでまた移動させる…。

    この物語の主人公は「わたし」五月。
    五月は序盤に殺されて、死体になってしまうにも関わらず、
    初めから終わりまで語り手となっている。
    主人公の目線で物語が進行していくのが斬新で興味深かった。
    夏の長閑な田舎の風景や、集落の人々の姿や自分の母の姿、
    自分を殺した弥生ちゃんや隠そうとしている兄妹の姿を、
    恨むでもなく、その語り口調が余りにも淡々としているのが、
    何とも言えない気持ちにさせられた…。
    冒険を楽しむかの様に、事態を切り抜けていく健の姿が怖い。
    そして、ラストにはゾワッとさせられた。

    突っ込み所が満載でしたが、この小説を書いたのが、
    著者が16歳の時だという。
    16歳のデビュー作でこれを書くって凄いって思ったので★3つ


    〈優子〉
    見事に騙されたーーー!!って、思っていますが、
    どちらが正しいのか…本当に、混乱してるのは誰なのか…。

  • 今まで味わったことのないような違和感。なぜならこのストーリー全体が『わたし』の死体目線だで書かれているから!この世界観は本当に独特で面白い。作者がこの話を16歳のとき書きあげたというのには驚いた。
    ここからは個人の趣向の問題だけどストーリー全体を見て私はあんまり好きじゃない。人を殺しておいて罪を問われないなんて。妹の弥生ちゃんなんてほんの一瞬湧いた衝動的な嫉妬に身を委ねて五月を木から突き落としたのに結局なんの罪にも問われてないんだから。

    もう一つ「優子」という短編もなかなか不気味な話だった。でもこの不気味さは嫌いじゃない。

  • 乙一作品はどれも面白いが、一番を決めろと言われれば、これを選ぶだろう。自分が本の中にいるかのように思わせる情景描写、ゾクゾクとワクワクが交錯した気分に浸れる。個人的には二編目の「優子」も好きである。

  • 余計なものがなくガツンと突き進むような作品に魅了されてしまう。
    乙一ワールドですね。

  • 私の持ってる本の表紙は、現在表示されているのとは違う。
    暗い、神社の石段のようなイラスト。そっちの方がいいな。
    死体が語る、死体を隠そうと奔走する子供たちの行動が実にシュール。
    でも、この状況ですべてを一人称で語れるのは死体しかいない。
    オチが、また衝撃。
    でも、軽く読める。

    『優子』
    は、一体、登場人物誰の言葉を信じて良いのやら分からなくなる。
    最後の、医者の言葉さえ、信じていいのかどうかさえ…
    今でも信じていません。

  • サスペンスではなくどちらかといえばホラー!死体はただいるだけ、死んだことに恨みもない。そのまま話が進むそれが違和感。変なかんじでした。とても変わっていると思います。また作者のお話を読んでみたいですね! 優子についてはよりホラーですね。

  • あまりに無邪気な殺人者、その単語に目を奪われて、ぜひ読んでみようと手に取ったものの、実際に目を奪われたのは健くんの子供らしからぬ動向だったという…。
    子供にしてはよく考えられているようで、だけど危なっかしい兄妹の隠蔽行動には毎回ヒヤヒヤ。
    オチも伏線があるので予想は出来るけれど、トータルで面白かった。
    大人が思う子供の無邪気さはここには無くて、私が感じたのは危うさでした。
    こうであって欲しいという大人の色眼鏡の向こうには、期待を裏切る子供たちの実態。
    殺人の罪深さ、良心の呵責なんてものは、まだこの年頃の子供たちには無縁なのだな。
    悪さを直隠したい、そこに、子供側の無邪気がうまく表現されていたように思います。
    罪を犯す子供は、きっとこのような感覚なのだろうね。
    それは、大人には理解できない。
    だからこそ、この作品は読み物として面白い。
    毎年花火を見るたびに、兄妹は今回のことを思い出すのかしら。
    …否。たぶんね。

  • 2編とも陰々滅々とした物語なのだが語り口によって内容の重さが軽減されている感じがした。
    やりきれない話しだが、スッキリした読後感が面白い。

    天晴れ!!

  • 怖かった、ただただ怖かった。何がこわいかというと、これを書いたのが自分と同い年のときの乙一であることだ。どうして、ここまで無邪気な残酷さを描くことが出来るのだろうか。良い作品ではあったが、おそらく二度と読まない。

  • 表紙のイラストが変わったんですね。イメージと違うのでちょっとガッカリです。漫画っぽいのはまだしも五月ちゃんの髪がなぜにキンパなんだ……。
    10代の人間が書いた作品ということを考えれば素直にすごいと思いました。同時に、こんな登場人物を生み出す人間とはお友達になれないだろうなぁとも。死体である私も含め、そろいもそろって頭のネジが落っこちてどこかへいってしまったような人間ばかりです。
    健くんの冷静っぷりの中に歪んだ冒険心みたいなものがあって、それを楽しんでいる姿にぞっとしました。緑さんと健くんのやりとりなんかは本当にもうゾワッとするくらい気持ち悪い。紅いマニキュアが嫌いになりそうです。
    でも一番気持ち悪いのは語り手である死体の私かな。
    感情らしきものが全く感じられないのです。憔悴しきった自分の母親の姿にもう少し何か感じてもいいんじゃないかなぁ、だって子供なんだもの。哀しいとかごめんなさいとか、憎いとか。それすら感じさせない死体の私が一番ゾッとしました。ある意味一番弥生ちゃんが子供らしい癒しポイントですね。
    2作品目の「優子」は、鶏が先か卵が先か、を考えている気分になりました。

  • 面白かった。短く平易でもあるので、一気に読んでしまったし
    それだけの力のある文章であったと思う。
    ただ、どうも事前に様々な評価を聞いて、期待し過ぎたらしい。

    タイトルや設定の目新しさはあり、面白いが
    ミステリー、ホラーとしての迫力は感じられなかった。
    オチも予想出来るものだったし、内容もイマイチだと思った。
    表題作より、『優子』の方がオチは綺麗だったと思う。雰囲気もあった。
    表題作は、キャラクターの魅力がどのキャラにも感じられなかったので
    特に誰に感情移入するでもなく淡々と読んでしまった。
    それが読みやすかったと言えなくもないが。

    確かに、解説で16歳の時に書いたものだと言われれば納得もしたが
    女子なら兎も角男子高校生がこれは書けない、というのには
    同意できなかった。
    友人が子供の頃に書いていた小説が素晴らしく
    何故発表しなかったのかと我がことのように悔しかった経験もあり
    それと比べても、これがそこまで絶賛されているほどの内容だろうか、
    と思ってしまった。

    小学生なのに決断力に溢れた兄や
    警察の捜査の杜撰さ。
    度々死体が見つかりそうになり
    兄妹をピンチに陥れる描写は面白いのだが
    足あとや夜中に抜け出すリスク、真夏に臭いもなにもないなど
    ご都合主義に秘されているところも多い。

    作品自体は良いものであるし、筆者も素晴らしいと思うが
    『ハリー・ポッターシリーズ』や『空の境界』を読んだときと
    同じような気持ちになってしまった。
    内容が読みやすくきっかけを与えるという意味では
    ライトノベルとしての役目を十分果たしているとは思うのだが
    読み手側が賞賛し過ぎて他の作品に手を出さない状況になるのは
    あまり歓迎できないと思ってしまう。

    繰り返すが、作品自体は16歳の子が書いたと思えば
    非常に面白く着眼点も新しい、面白いものであると思う。

  • 小学生の兄妹が、妹の同級生を殺害し、その死体を始末するのに右往左往する夏休み。

    この兄妹にとっては、スリリングな冒険なのだろうが、読み手の私は冷めた視線でいた。

    大人に気付かれそうで気付かれない。
    裏表のある人間味ない兄には、可愛らしさはない。

    従姉の緑さんの恩着せがましいセリフ。

    この作品の“登場人物”に、感情移入する余地なし。


    しかし、本文庫に収められている『優子』は良かった。
    狂人の話ですけど。

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夏と花火と私の死体 (集英社文庫)の作品紹介

夏と花火と私の死体は乙一さんが2000年に発売されたホラー作品です。
乙一さんが16歳の時に書かれたデビュー作品でもあります。9歳の夏休みに友達に殺されてしまう主人公。死体となってしまった主人公の視点で物語が描かれている一風変わったホラー小説です。衝撃のラストも見所のひとつです。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)の単行本(ソフトカバー)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)のKindle版

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