光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

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著者 : 恩田陸
  • 集英社 (2000年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472424

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光の帝国―常野物語 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 200年以上という長寿を生き、遥か遠くを見渡せる
    目や耳を持ち、未来を予知し、記憶と想いを保存する。
    大多数の人達と異なる能力を持つ常野の人々。

    異形のものは憂惧され淘汰される民主主義の国で
    散り散りになった常野の人たちは
    長い長い時間の川を越え、
    幽かな光の元に集まり始める。

    等しくきらめく生命の海。
    大きな営みの中に生かされていることを
    忘れてしまった私たち。

    星と夜明けを夢見ながら、
    全ては全てありのままに平行し
    存在していくための常野の人達の運命と戦い。
    光の生まれた場所が心穏やかに
    手を繋ぎ暮らせる場所であるよう
    祈りながら続きの常野の世界へ。

  • 不思議な常野一族にまつわる連作。
    春のきらめく海のようであったり、夜の激しい時化のようであったり。
    それぞれに違う色合いや温度を見せつつ、それでいて全体を通すと、常野という1本のまとまった波がうねっているよう。
    過去の話をしても遠いお伽話でなく、ごく自然に現在につながっている感じがした。
    宿命、ルーツ、優しさ哀しさ、怖ろしさとあたたかさ。
    これだけでも十分おもしろかったけれど、まだまだ話は広がりそう。
    シリーズ化されているようなので、そのうちに。

  • 予想以上によかった!
    いろんなところで涙がこぼれそうになりました
    ツル先生や亜希子の両親の話など、熱い文章では
    ないんですが、そこがまた頭にすっと染みこんで
    いくようで素直に没頭できました

    基本的に恩田陸さんの「人」に対する目は
    暖かだと思います
    その暖かさと透明感とそして根底にある寂しさと。

    遠野物語がベースにあるようですが、それよりは
    土着的でなく恐怖感もなく、東北地方独特の
    雄大な山々に吹き抜ける風のようなさわやかさを
    感じます

    続編があるようですので、それを読むのが楽しみです

  • 『きみが見つける物語 スクール編』というアンソロに冒頭の『大きな引き出し』が載っていて、雰囲気だけは知っていました。
    あらすじを見ると超能力者たちがどうのと書いてあるし、タイトルからするとスターウォーズみたいなSFを予見させるんですけど、和風の、ほっこりかつずっしりする話でした。

    表題作の『光の帝国』は、中でも重厚感があってとても良かった。戦争の悲惨な感じ、その頃の人が抱えている闇がこれでもかと書かれていました。
    だいたい和のテイストなんですけど、『オセロ・ゲーム』と『歴史の時間』は、何というか西洋のSF感。理系を駆使した感じがするというか(理系のワードなんてちっとも出てこないんですけど)。
    オセロ・ゲームの方は完璧にサイキックバトルですね。ここに出てくる人たちだけの続編があるようなので機会があれば読んでみたい。
    歴史の時間は、宇宙が誕生してから云々…みたいな悠久の時間を感じさせる不思議な話。亜希子の話は、あとに出てくる『黒い塔』に続きます。

    短い話が集まって一つの話になっているのでとても読みやすい。それぞれの断片が合わさり、ぴったりするのは、伊坂幸太郎みたいなあの感じというか。
    その、合わさってくるところに唸らされます。

  • 幻想的で夢を見ているような気分のお話もあれば、ドキドキハラハラして涙が出そうになるものもあった。
    少し暗い雰囲気が漂う感じもする。

    個人的に連作短編という構成が好きなので、
    「あ、この人は前回こういう事をやっていた人だなあ」と親しみを持ちつつ読むことができるのももうひとつの楽しみ。
    ストーリー、穏やかなんだけれど時に恐怖、でも最終的に優しさに溢れている。

    (物語最後の方、涙が溢れそうになって慌てた;)

    読んでいる途中で調べてみたら、常野物語はこの作品だけにとどまらず、他にも2冊出ているようで。
    確かにこの一族の物語はこれで終われない気がした。
    まだまだこれからあれらの話の続きが気になる。

    ※久美沙織の解説で、なんだかハッと目が覚めた感じ(笑)

  • 特殊な能力を持った「常野」の人達。
    能力を隠し、普通の人々の中でひっそりと生きる。
    そんな彼らのお話が詰まった短編集。

    どの物語にも「常野」の人が起こす奇跡がちりばめられている。
    ただ残念なのは短編なので、あっさりとしていて物足りない感じも。

    文庫あとがきに書いてあったが、今回の短編集にある、いくつかの作品は、独立した長編で書こうと考えていた物らしい。
    表題作「光の帝国」も、その一つだ。

    特殊な能力を持つが故の苦しみ、迫害。
    寄り添って生きてきた子供達と先生達。
    最後は、思わず涙が出てしまった。

    「常野」の人達、一人一人の長編物語を早く読んでみたいと思う。

  • 不思議な能力を持った一族の物語。

    長編にすれば良かったと後書きに書いてあったけれど、私も短編ではなくガッツリ長編で読んでみたかったです。
    今回出てきた常野一族のその後があるそうなので、
    続きも読んでみます。

  • SF?ファンタジー?ホラー?
    う〜ん、不思議な小説です。
    奥田陸氏の書籍って読んでる時と読み終わった後で違う印象なんですよね。

  • 深読みせずに、日常に特別な力を持つ人がいるんじゃないか、そんな地があるんじゃないかとワクワクしてしまう。そしてそんな非日常に憧れてしまう、そんな気持ちになった。こんな不思議なことが沢山潜んでいて欲しい。

  • 以前読んだものを再読。

    最後の久美沙織さんの解説で作品をパッチワーク・キルトに例えている部分が印象に残ったので一部まるっと抜粋。

    -----------------------------------------------
    ひとつずつのピースがそれぞれ、別々の工夫をこらした作品になっている。
    どの一枚をみても、針目は美しく、図柄は楽しく、布のあわせかたが絶妙で、みごとなのだが、さらに素晴らしいのは、やや目を遠くして、複数のピースをいっしょに眺める時だ。そこには、近視眼的にみていたのでは気付かない思いがけない絵がいつのまにか描かれているのである。
    -----------------------------------------------

    この解説が「光の帝国」の全てを表現していると思う。
    一つ一つの作品が無理につなげられているのでなく、それぞれが独立して美しく、本一冊を全て読み終えると別のものが見えてくる。

    そんな素晴らしさがこの本にはある。

  • はっきりそれという形で存在しているわけではない「常野の人」というくくり。やたらに遠くが見える「遠目」、遠くの音まで聞こえる「遠耳」、信じられないぐらいご長寿なツル先生など、それぞれに特殊な能力がありつつも現代日本の日常に溶け込みながら暮らしている様を描いている。
    今検索してみたら続編のようなものがあるみたいだからそれも読んでみようと思う。何かが起こりそうな予感で締めくくられているような篇が多く(短編集)、わくわく感があおられた。
    収録作の中では「手紙」「光の帝国」が良かった。ゼナ・ヘンダースンの作品の本歌取りだとか。

  • 残虐な内容は全く受け付けないのに、「光の帝国」の中でもっとも残虐な「光の帝国」に心うたれました。作者は何を言いたいのだろう、と考えると胸にこみあげてくるものがありました。

  • 「常野」の世界に一気に入り込みました。特殊能力を持った一族にまつわる話なんだけど優しいようでとても悲しい。
    架空の世界なんだけど、きっとあると思う世界。
    現実の世界に漬かっている人ほどシンジナイ世界。
    僕は信じる。静かに優しい「常野」の存在を。

  • 超能力者集団、常野の人々の様々な物語。短編構成だが、キャラクターだけではなく、物語にもそれぞれ少しづつ関連性があり面白い。とはいえ多彩なテーマやストーリーの変化に、章ごとに新鮮に読み進められる。
    作者を後書きで書いているが、大きな引き出しを持つ家族のお話をもう少し読みたいと思った。
    黒い塔には思わずポロリ。

  • 常人を遙かに圧倒する特殊能力を持ちながらも人々から迫害を受け、異能の力をひた隠しにしながら人間社会に紛れてゆく一族の物語。
    マイノリティに対する世間の風当たりはいつの時代も厳しいもので、罪のない人たちが一方的に駆逐される様は読むのが本当に辛かった。表題作「光の帝国」では久々に号泣してしまった。
    中学生の頃に読んだ時とは感想ががらっと変わっていることが新鮮だった。社会人となった今では、亜希子の仕事に対する姿勢や生活の疲労に共感する部分が多かった。また何年か先に読み返した時、今度は誰に共鳴するのか楽しみにしたい。

  • この本だったかな

    友人?の小説家の後書きがすごく良かったさすがプロ
    この本について言いたいことは全てそこに書いてあった

    登場人物はみんな走らないとか云々

  • 不思議な能力を持つという「常野」の人々でつながる連作短編集。

    この感じ、とても好き。
    優しさに満ちながら、哀しみがつきまとう作品たち。

    この本に触れて、生きていくうちに薄汚れてしまった心の掃除を、少し、できた気がする。

  • 膨大な書物や人間の生きてきた“記憶”までをも暗記する力、遠くの出来事を知る力、誰よりも早く駆ける力、見つめるだけで相手を燃やし尽くしてしまう力、誰にも教わらずとも素敵な音楽を奏でる力……など。

    様々な不思議な力を持つ“常野”の人々を描いた短編集。
    色々な力があり、それぞれの作品は独立しているようでどこかで繋がっている。
    世界観が果てしなく広く、途方もない。

    個人的には「大きな引き出し」「二つの茶碗」「国道を降りて…」が好き。
    「光の帝国」と「黒い塔」は涙なくしては読めない。

  • 不思議な力を持つ、「常野」と呼ばれる一族の不思議な話を集めた短篇集。
    年齢も性別も違う主人公達の様々な物語です。
    面白くてすぐに物語にどっぷり浸かってしまいました。
    後半になるとちょっとした繋がりが見えたりして嬉しかったり。
    「光の帝国」ではホロッときてしまいました。
    ツル先生、悲しいです。

    ひとつひとつが読み終わるたびに溜息が出てしまう、そんな話ばかり。
    暖かいのに切ない。
    でもすごく優しい。
    なんだか読み終わってしまうのが勿体なく感じてしまいました。

  • ふと再読したくなり、手に取りました。
    もう何度目の再読だろうか。
    何度も手を伸ばしてしまう程惹き付ける物がこの作品には詰まっているのです。

    不思議な力を持つ常野一族のお話。
    恩田陸さんの著作の中でも、この常野三部作は本当に好きな作品です。
    10編の短編ですが、それぞれの登場人物がリンクしていたりもします。
    『光の帝国』は何度読んでも涙が出てしまう。
    そのやりきれない哀しみを、最後の『国道を降りて…』が見事に回収してくれる。
    何度読んでも心に響く作品です。

  • 超能力を持つ一族の壮大な輪廻転生のお話。短編のようで、実は繋がっている。言葉の概念が覆されるような感覚。「新世界より」と少し重なる部分もあるが、断片すぎて設定を活かしきれていない印象もある。

  • すごく空気間漂う、美しいお話。一つ一つの特殊能力によって話が進んでいくので、面白く一日で読んでしまいました。

  • 短編なのでだらだらせずに一つ一つ惹きつけられます。それがだんだん繋がって・・・続きが楽しみです。表題の「光の帝国」は泣きながら読んでしまいました。

  • 表紙がしっくりくる、薄暗い中に一筋の光が通るような作品。
    膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちからーー不思議な能力を持つ「常野」の人々。
    表題作『光の帝国』、人智を超えて長く生きてきたツル先生の哀しい過去には胸を打たれる。そして『国道を降りて…』で光が強くなる。
    全く明るく楽しい作品ではありません。正直この手の薄暗さはひっぱられるから苦手なのだけれど、それでも彼らがどこか気になってしまう。読んだあとも本の世界に浸かっていられる、そんな本。


  • 大きな引き出し
    二つの茶碗
    達磨山への道
    オセロ・ゲーム
    手紙
    光の帝国
    歴史の時間
    草取り
    黒い塔
    国道を降りて…


    ずーっと遠くの音がひろえる
    先の未来が分かる
    どんなことでもすぐに覚えてしまえる

    そういった、人とは少しだけ違った力をもつ一族に関する物語。
    彼らは、普通の人達にまじって、ひっそりと暮らしている。

    『大きな引き出し』を別の本で読んで、すぐに好きになったため、こちらの本を購入した。

    表題作、光の帝国が悲しすぎて、また読むのが怖かったのだけれど、今日再読。
    登場人物とか、話が印象に残りすぎてやばい。
    何度読んでも泣ける。

    別々の話でも、ちょっとずつ繋がっているのがおもしろい。

    ツル先生を含め、彼らに出会ってみたい。

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光の帝国―常野物語 (集英社文庫)の作品紹介

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから-「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)の単行本

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)のKindle版

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