- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087472509
感想・レビュー・書評
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非常におもしろいし、
為になる(笑
歴史の本を読むたびに思うんだけど、
なんであんなにも学校の歴史の授業はおもしろくなかったんだろう。
歴史なんて嫌いだと思っていたのに、
その割に、歴史の本はおもしろく読めているんですよね。
もっともこの本は
偽史とあるように、おもしろおかしくしています。
たとえば弁慶と義経の話では、
実は弁慶が義経で、自分の容貌では旗頭になれないだろうからと義経を見つけて
義経を担ぎ出したとか、よくできています。
秀吉と家康の話はなっとくです。
そうであるかなと思えてきます。
秀吉は人たらし、人転がしが上手であると、
家康が転がらない男であると。
なるほどなぁと思うことも多々あります。
そして一つ、大いになっとくしたのは
海外旅行が海外を視察するように見えて
結局日本のことをよくわかることになるのだという性質
納得ですね。
海外旅行にいって、
他国を理解できる人はどれほどいるのでしょうか、
日本と違うからといって理解をあきらめ、
結局日本のことを知る。
なるほどだなぁ。
私は異文化を理解したい。あくまでもしたいだけであって、壁をゼロにはできないんだけどね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
きっとこの物語は正史とされている歴史を知らなければ面白さが半減してしまうだろう。
本来の歴史ではこんなふうに描かれているけれど、もしかしたら裏にはこんな物語があったのかも・・・という遊び心にあふれている。
「転がらぬ男」「どうにでもせい」の二篇がとくに面白かった。
「転がらぬ男」
豊臣秀吉の死後、徳川家康が天下を手中にしたことは周知の事実だ。
また、秀吉が家康を配下の立場に追いやるまでの苦心も広く知られている。
本当に秀頼の行く末が気がかりだったのなら、もっと違う道があっただろうに・・・と思うのはすでに豊臣家の滅亡を知っているからだ。
あの人物をあそこで殺さなければ。
誰が考えても無謀にしかみえない戦いなどしなければ。
そして、どんな手段を使ってでも徳川を潰しておけば。
戦をろくに知らない人間たちが余計な口出しなどする事態を招かなかっただろうに。
家康の底知れない我慢強さと深謀をあらためて感じる物語だった。 -
歴史上の事件人物を、こうとらえたらどうなるかというフィクション。
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・おそるべき邪馬台国(昔、〇○銀座のように邪馬台国はたくさんあった。)
・大騒ぎの日(大化の改新テレビ中継)
・封じられた論争(清少納言体紫式部)
・苦労判官大変記(実は弁慶が義経だった)
・嵐(2094年の未来から、歴史を変えようとしてタイムマシンが送り込まれたことが元寇の原因となった)
・日本一のの頑固親父(北畠親房)
・種子島であったこと(鉄砲伝来)
・転がらぬ男(人転がしの秀吉が転がせなかった家康)
・戦国情報ウォーズ(真田幸村)
・人殺し将軍(尾張から見た徳川吉宗)
・天保ロック歌撰(旅の雨宿りで鼠小僧、高野長英、安藤広重、大塩平八郎たが集う)
・どうにでもせい(幕末に長州の殿様だった毛利敬親、そうせい候)
・人生かし峰太郎(坂本龍馬を暗殺から守ろうと未来から送られてきた人造人間)
・開化ツアー団御一行様(明治初期の米欧使節団) -
清水センセイの想像力とユーモアが炸裂。古代ほど史料が少ないおかげでセンセイの自由自在なギャグが暴れ回るので、後ろのエピソードはおとなしめ。後ろから時代を遡って読むことをオススメします。
冒頭、邪馬台国論争への鮮やかな結論はさすが。 -
なんか読みづらい
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1997.4 集英社より単行本刊行.
日本史の教科書は固有名詞のオンパレード(「いつ、どこで、だれが、なにを」)で辛かったが、勉強しておいてよかった.そのおかげで今この本を存分に楽しめているのだから.
著者一流の発想力によって、日本史の登場人物たちが動き出す.小説は教科書とは異なり、証拠はいらない.いや、むしろ証拠がないところにこそ、自由な想像力が存分に発揮できる余地がある.
自らの外見にコンプレックスを抱いていた義経が自分の影武者に美形のチンピラをたて、自らは弁慶として横に付き続けた…かもしれないではないか.
奇抜なアイデアだけでなく、著者の軽妙な語り口が読み手の心をとらえて離さない.
キープ本. -
義経と弁慶の話と、そうせいの殿様がお気に入り。
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偽史なれど然もありなん、いや、そりゃありえん。よくも思いつくなぁ。どうあれ、紛い物から大いに学んだんである。
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歴史をおもしろおかしくアレンジした短編集。切れがあって結構良い感じ。特に、大化の改新を題材にした「大騒ぎの日」、義経の活躍を描く「苦労判官大変記」は秀逸。その他、タイムスリップものあり、ちゃかしのないまじめなものありでバラエティに富んでいる。