天帝妖狐 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.53
  • (705)
  • (880)
  • (2270)
  • (145)
  • (17)
本棚登録 : 8734
感想 : 769
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087473421

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ホラーと言えばホラーなのかもだけど、純恋愛のようラストは泣いてしまった。杏子との思い出は夜木をどこまで支えてくれるのかな。A MASKD BALLも良かった。

  • 表題作良かったです。夜木…。心が寂しくなりました。
    最後に泣きそうになりました。はい。

    A MASKED BALLもよかったです。とても読みやすく、次のページをめくるスピードが速かったです。物語の登場人物になれた感じで読めたので、凄く好きです。

  • 夜木の手紙の最後の文章が印象的な作品でした。 彼はこれからの長い時間、孤独と絶望の中で過ごしながらも、きっと杏子との思い出を胸に生きていかなければならないのでしょう。 それは幸せなことのようでもあり、寂しいことのようにも思えます。 どうか神様、夜木を救って下さいと、お願いですから彼を呪いから解放してくださいと、思わずにはいられませんでした。 哀しいですが、優しく胸を打つ作品です。

  • もしも私が人間であったなら、ずっとあなたのそばにいたかった。
    さようなら、ありがとう、私に触れてくれた人。

  • 表題作の「天帝妖狐」が素晴らしいです。乙一の作品は文庫であれば大抵読みましたがその中でも5指に入るのではないでしようか。

    読み始めてまず「こころに似てるな」と思いました。手紙での罪の告白という形式的な点と、それから語り口。そう思った人は多いのでは?

    そして山月記のようでもありました。これは夜木が怪物の如き容貌であり、それゆえに人から自ら離れて暮らすところに虎のその後を重ねて読んでいました。


    全体的に暗い印象ですが、それでも情景を鮮明に思い浮かべることができるのはやはり乙一の描写力の凄まじさがあると感じた作品です。

  • 『天帝妖狐』を読み終え、改めて「やっぱ好きだなぁ…乙一」と思った。 悲しいけれど、美しい。 言葉の選び方や並べ方が私のツボにぴったりとはまり、心地良い。 最後の一文がとても好き。 思い出すと、なぜか心がふんわり癒される。 ただ、そこにはほんの少しの痛みを伴う。

  •  とても恐ろしく哀しい作品。決してくどくなりすぎず、じわじわと攻め立ててくるような恐怖を感じる筆致が秀逸。
     誰もが一度はやったことのあるこっくりさん(今の子どももやってるのかな?)で、早苗と名乗る得体の知れない何かを呼び出してしまった男の物語。『失はれる物語』もそうだが、一筋の希望もない世界で孤独に生き続けなければならないなんて、死ぬよりずっと恐ろしい。東野氏の『変身』にも似ているが、この絶望感は突出している。綾辻さんや小野不由美さん、我孫子さん等々、有名作家さんがこぞって絶賛するだけある。 
     トイレの落書きで盛り上がるのは、SNSが発達した今は起こらないだろうな。

  • 『A MASKED BALL』の方はとても読みやすかったし面白かった。最初のうちはただのトイレの落書きだったのに、だんだんと不穏な雰囲気になってきて…。とても読んでいてドキドキした。『天帝妖狐』の方は、タイトルから想像していた話とは全然違った。結局タイトルの妖狐とは、あの仮面だけの話?それとも狐狗狸さんから来ているのか?夜木は結局早苗に何者にされてしまったのだろうか…。

  • 『こっくりさん』を皆さんご存知だろうか。
    幼少期に誰もが一度は遊んだことのあるあの遊びから物語は始まる。
    この作品の一番の見所は夜木という青年の外見とは裏腹に『人』としての醜さ、脆さの中にある誠実だから故の孤独感、そして愛を求める力である。また、その愛に触れた瞬間の人の心の温もり、情動が乙一の独創的且つ繊細なタッチで克明に描かれている。
    乙一ならではの表現力で残酷ながらも最後にどこか心暖まる愛のあるホラーファンタジーを是非。

  • 触るのも憚られる、むしろ見ただけで悪寒が走る、そんな奇妙な男を、恐怖を堪えながら拾った少女と、その男が、共に過ごした時間の話(表題作)。あと他の短編も入ってる。
    表題作くっそ泣いた。乙一作品の中で、に限らず、これまで読んだ本の中で今のところこれがダントツ首位。だってこれ表題作のラスト数行を思い出すだけでこみ上げて来るものがある。場合によってはそこだけで泣ける。設定とかマジ好みどストライクですし。読み終わってもう何年も経つけど好きだ。

著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乙一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×