メイン・ディッシュ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.73
  • (95)
  • (160)
  • (168)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 1182
感想 : 167
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087474244

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • お料理×ミステリはやっぱり面白い。

    舌では料理を、頭では謎解きを味わう。何とも忙しい、そして至福の時間だった。
    各ストーリーは順にコース料理が運ばれてくる感覚。
    しかも読み進めるごとに謎が拡がる、メインに向けて豪華さが増しミケさんの謎、存在等奥深い味わいも増してくる感じがたまらない。

    ユリエさんが自分だけのメイン・ディッシュを心に浮かべたシーンがとても好き。
    思わず頬が緩んだ。
    そして文庫だけに収録された「特別料理」の粋な計らいにニンマリ。
    クリスマスの特別デザートをいただいた気分。

  • ごめんなさい、どうもネコさんが苦手ですね。
    料理の描写も中途半端だったかな。
    まあ、ミケさんの設定上、余りプロ仕様にする訳にはいかなかったのかな。
    自分のなかでは、いろいろと惜しい作品ですね。

  • なんて飯テロ…美味しそうな料理のミステリにはハズレがない。面白かったです。
    特別料理の仕掛けも…!
    ミケさんのオリジナルの人がまさかの人物でびっくり。名前が合法的に全て違うとなると、知人が名乗っててもわからないな。お話を全て貫くミケさんの秘密はビターでした。
    紅神楽の面々も面白い人たち。ユリエさんと小杉師匠の夫婦漫才的なやり取りも面白いし、それをにこにこ見てるミケさんも容易に想像できて良いです。
    梅酒、ブランデーと蜂蜜で作るとどうなるんだろ。北森鴻レシピもどなたか。。。

  • くるくると状況が変わって、情報も増えるのに、筋の通ったミステリ。著作を読むのは4冊目。すっかりファンになった。あと、これは自分のジンクス。出てくる料理が美味しそうな作品に駄作はない。

  • ミケさんと香菜里屋の工藤さんが微妙に被ってしまうけど、内容はこちらのほうが面白かった。長身だけど猫のような男の人ってちょっと想像するのも難しい。

    絡繰り、時に嘘がたくさん仕込まれているので、作者の妖術にかかって思い込まされてしまう。謎が溶けた‥‥というかフェイクが明るみに出た時に、なるほど!騙されていた事が面白くなる。

  • おいしい!あ、いや、おもしろい!いやいやでもやはり、おいしい!
    連作短編、と見せかけての長編。最後にドン!
    短編集だと思って寝る前読書に少しずつ読んでいたのだけど、コレはまとめて読んだほうがいいね。
    小杉の推理、サイコー。

  • おぉ!最後はニヤッとする。これはフィニッシュのデザートですかね。最後まで面白さたっぷり。ご馳走様でした。ミケさんはテイクアウトしたいです(笑)

    拾ってきた同居人・ミケさんは料理で人を幸せにする天才で、推理力が高い不思議な人。ねこさんは小劇団を主宰する女優。個性が強すぎる座の作家・小杉。三人と団員を巻き込んで事件が起こる。が、華麗に小杉いや!、ミケさんが解決する。突如姿を消したミケさん。彼には秘密があった…。

    小杉とねこさんの会話がコントかっ!ってくらい笑える。料理がうまそうで腹がゴゴゴゴゴとうるさい。そこに苦い気持ちが突如挟まってくる。この混ざり加減がちょうどいい。こういうミステリー嫌いじゃない。
    北森鴻さんは料理の達人です。
    陶子さんのシリーズとはまた違った感じでした。

  • ちりばめられた遊び心が北森鴻らしいなあ。
    題名から勝手に「香菜里屋」シリーズだと勘違いしてたけれど、単発の連作短編で驚いた。いつ店主が出てくるんだろう、と思ってたから(苦笑)。

    あらすじ:
    小劇団「紅神楽」の看板女優、ユリエこと愛称「ねこ」の家にはもう一匹猫がいる。その三津池ことミケはねこが拾った飛び切りの料理の腕を持つ男だった。彼の作る料理はどれも絶品で、手放せない存在に。それだけではなく、ミケは探偵の才能にも恵まれていた。いくつかの事件を解決するうちに、ミケの過去へと踏み込むことに――。

    中盤過ぎから、「え、あれってこの伏線だったの!」と驚いたのはきっとわたしだけじゃないはず(笑)。なるほどなるほど、これは凄い本格だ。構成がすばらしいッ! 北森鴻にしてはちょっと、と思った箇所がああ符合するのか、と解った時の驚きと楽しさと言ったら! こんな楽しいことを考える人――考えられる人なんだよ北森鴻は。だから読むのを止められないし、ハズレがない作家でもあるからありがたい。
    短篇の一つ一つは大したことがないんだけれど、北森鴻はちょっとバカバカしくてもそれを楽しさに変えてしまう。そして読み心地のよさ。料理の美味しそうなこと!
    ねことミケさんと滝沢の話。それがどこで絡み合うのか、と思っていたら――。ふふふ。なるほどなるほどねっ。まるでマジシャンの如きの手さばきが心地いい。
    そしてラスト。もう北森鴻ったら、と他の本でもたびたび目にしてきた彼らしさに笑ってしまった。ああ、楽しい。

  • 女優・紅林ユリエが小杉隆一と作った劇団『紅神楽』は、推理劇を得意としている。座付き作者の小杉は大の推理マニアなのだ。ある雪の日に、ユリエは三津池修と名乗る男(通称ミケさん)と出会い、一緒に暮らし始めた。過去の経歴が全くわからないミケさんは、プロ顔負けの料理の腕を持っていた。ミケさんと小杉は、『紅神楽』が遭遇する事件で名?迷?推理を繰り広げるが、そんな折り、ユリエとミケさんの生活に大きな変化が訪れるーー。謎解きの深い味わいが重奏する垂涎のエンタテインメント。おいしくてせつない、シャープでトリッキーな連作ミステリー。
    (1999年)
    — 目次 —
    ストレンジテイスト
    アリバイレシピ
    キッチンマジック
    バッドテイストトレイン
    マイオールドビターズ
    バレンタインチャーハン
    ボトル“ダミー"
    サプライジングエッグ
    特別料理

  • ねこ視点の話と滝沢編の話がどう交差するのかという仕掛けは面白かったけど、あまりミステリーとしての楽しさは感じなかった。
    キャラもミケさんは魅力的だけど、ヒロインのねこさんはサバサバを通り越して、ただ雑な女にしか見えなくてあまり魅力を感じない。
    個人的には香菜里屋シリーズの方が好きだな。
    ただ、料理の描写は素晴らしかったです。

全167件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北森鴻の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×