- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087475852
作品紹介・あらすじ
情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!恋愛は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、かろやかに、大胆に、きょうも恋をする女たち。主婦。フラワーショップのオーナー、モデル、OL、編集者…etc.9人の女性たちの恋と、愛と、情事とを、ソフィスティケイトされたタッチで描く「恋愛運動小説」。
感想・レビュー・書評
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もっとも感情移入したのは陶子。
陶子の感じている、家の中にいる時の安心やくつろぎ、それと孤独感には胸が切なくなるほど共感した。
なにが正解、というのではないのだけれど、こんなふうに生きても良い、これもまた正しい、と思わせてくれるような物語たちだった。女性たち(男性たち)の感じ方、生き方が、皆それぞれ気持ちよかった。 -
これぞ江國香織さんという美しさ。
全てがお洒落。
ていねいって言葉がよく似合う。
正直内容は読了直後の今は鮮明なものの
数ヶ月経ったらこれどんな内容だったっけって忘れてそうだけれど、読んでる時の心地良さは最上級でした。
江國香織さんの本は読んでいると心が癒されます。
結構これは今まで読んだ江國香織さんの本の中でも個人的に好きでした。広尾に住む人々のお話という私のまさに憧れの住人が登場人物なのでワクワクがとまらなかったです。この設定本当に好きでした!!!
言葉選びや出てくるもの、舞台がきれいなので小説との相性がいいお話だなあと思いました。 -
#3333ー156
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最初登場人物の多さに混乱したけど途中から一気に読めた。起承転結はなくそれぞれの日常が淡々と描かれている。
文章が素敵なので読んだ後は心地よさが残り何度でも読み返したくなる作品
「大好きなものが多いのではなく大好きなものだけを言葉にするようにしているのに」
個人的には衿が一番好き。
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恋愛が日常茶飯事的に、誰かの心に入り込んで、誰もが主役で、そして誰もが自分勝手で。
柔らかい言葉で描かれていて、潤いがある。
終りのない物語。また読み返したくなる。 -
登場人物が多くて最初着いていくのに苦労した。
私の生活には恋愛というものが存在しないから、世間でいう「恋愛」がどんなものなのか理解したくてこういうものを読んでしまう節がある。
どんなにありふれた日常の描写からも必ず江國さんの文章らしさをひしひしと感じた。 -
朗らかで豊かで、滑稽で狡賢い。これだけの人物を登場させ、生活を淡々と追いながら、みごとに美しく書き上げるのはさすがとしかいいようがない。登場人物の名前や背景を忘れてこんがらがることは、よくあるけれど、そんなことはまったくなかった。花屋、犬の散歩、パーティ、妻のランチ。江國さんが描く登場人物たちは、幸福そうなのに、淋しさがあって切ない。不倫も浮気も離婚も、不幸めいて憎らしいものなのに、江國さんがかくとどうして余裕のあるような感じがするんだろう。
衿や陶子が感じた、自分の言葉でこれほどうれしく大切に思う存在がいたのかと、感動した、というのが理解できた。衿が結婚の決め手としたのも。
唯川恵さんが書いた解説、江國香織の文章は金の粒子が散りばめられたよう、という表現かなり気に入った。江國香織の文章は、金の粒子とかラメとか腐った花とかが混じった、ハーバリウムだよな。光に当てても綺麗だし、影がかかってくすんでいくのも綺麗なんだよね。
みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいるみたい (266)
春の花は色とりどりで、店の中には不思議なしずけさがみちている (320)
衿は昔から九月という月が好きだ。なんだかさっぱりしている、と思う。物事をあきらめるのに、九月ほどうってつけの月もない。(163)
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登場人物が多いので、ほうっておくと途端にわからなくなってしまう。わりと一気に読みました。陳腐(?)な言い方だけれど、恋愛とは、結婚とは、女の幸せとは、を考えたくなる小説でした。誰にいちばん共感したか、みたいな話を、読んだ方としたくなります。わたしは衿の生き方、言葉えらび、暮らし方のどれもがすてきだなあと強く惹かれました。陶子は「真昼なのに昏い部屋」を彷彿とさせました。登場人物それぞれにしっかりとした芯があり、妹や、姉や、友人の考え方に納得できないわ、といいつつも、それを真っ向から否定するのではなく、認め合っている(のか、あきらめているのか)ところが読んでいて気持ちがよかった。最後の恋のゆくすえが気になります!
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登場人物全員自分勝手だなぁと苛立つ場面も多かったけど、まぁ恋はそういうものなのかな〜とも思う。衿が好き。
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愛じゃなくて恋ばっかり。恋は自分勝手だから。
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江國香織の本はなんというか凄く清潔感がある。
うまく言えないけれど、汚れた物やだらしない物迄、秩序の中にある感じだ。
それは、文章の力だろうか?
寄って、お洒落な読み物の様に見えるけれど
そうではなく、感情を揺さぶるのに不快ではないのである。その力に私は読み進めていき、起承転結のないドラマに不満も無く、気持ちよく読み終えました。 -
群像劇、という表現が一番しっくりきます。
しかし、誰1人として共感できる登場人物がいない。ある意味それがこの作品の面白さなのかも。
皆が皆現状に満足していなくて、状況が変わっても物語は延々と続いて行きそう。
初めて読んだのは結婚を間近に控えた頃で、陶子の優雅な専業主婦生活に憧れも抱きましたが、いくら専業とはいえ夫・水沼氏の支配的な態度に苛立ったし、そんな夫に従順な顔をしつつも他所の男性と関係を持ってしまう陶子の言動も理解不能でした。
浮気体質な夫・土屋氏に文句の一つも言えない「できる女」風のれいこも、育児書にべったりで夫にも息子にも真正面から向き合っていない綾も、最後まで好きにはなれませんでした。
その中でも草子の苛立ち、桜子の無謀さは多少納得できたし、衿・真理江・道子の割り切りぶりにはまだ好感が持てましたが……。 -
何回も読み返しては楽しんでいます。この本を読むと、日常の
細やかなところに目が向きます。窓や靴が汚れているのが
気になったり、たばこの煙を目で追ったり・・・。そういう、
些細なことに意識が向いていく感じがすごい好きです。
この本には、たくさんの人物が登場します。1回読んだだけでは
登場人物の個性や人物関係が把握しにくいかもしれませんが、
読めば読むほどに登場人物に味が出てきます。
個人的には江國さんの小説のなかでは最高傑作だと思います。