カルチェ・ラタン (集英社文庫)

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著者 : 佐藤賢一
  • 集英社 (2003年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (519ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476033

カルチェ・ラタン (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • のっけから、『三銃士』のパロディめいた勿体ぶった「序」ににやにやしてしまい、テンションが上がった。

    主役2人がとても魅力的でなんともいいコンビ。この人の書く「男」は本当にかっこいいなと思う。
    余談だが、ミシェルは私の知人に似ている。頭が良く、享楽的で人をくったようなところがあり、大勢の人を惹きつける人間的魅力と人望があって自信に満ちているように見えながら、実は自己評価が低く、人生観や社会観がどこか悲観的。はたから見れば得られないものなどなさそうなミシェルの厭世的な様子を読んで、その知人にも本人しかわからない闇があるのだろうな、などと思ったりしてしまった。

    難をいうならば、女性の登場人物がステレオタイプで魅力がない。男はあれほどいろいろ個性的で深みがあるのに、女はなぜ「男とは思考回路が違う生き物」的に片付けられ、パターン分けしたかのような単純な人間に描かれてしまうのかなと残念に感じた。

    全体を通して「昔のパリ」の猥雑な雰囲気も伝わってくるようで楽しかった。終盤はやや切ないが、温かい結末と爽やかな読後感はさすが。(2008.8.10)

  • 謎解きあり、哲学あり、青春あり、友情あり、一冊で何度も美味しい素敵な本だった。でも、女性が本当にロクでもないのしか出てこなくて…ちょっと残念。また、最後ラスボスとの対決と決着も何だかもう少し練れたんじゃないかなと思う。あっさりしてるというか、物足りなかった。

  • フランシスコ・ザビエル、イグナチオ・ロヨラ(作中ではイニゴ・デ・ロヨラ)更にはノートルダムのせむし男・カジモドまで登場。パリ大学を中心舞台にし、なにやら神学論争まで盛んに出てきますが、読むのに苦労するほどのことはありません。
    主人公のドニ。泣き虫で落第生で小男、何の取り柄も無さそうです。一方で相手役のミシェル。頭脳優秀で美男子で大男で女にもてて喧嘩に強い不良。しかも元を正せば貴族の息子。その対比で事件を解決します。
    ミシェルがホームズ、ドニがワトソンの役廻り。しかしこのドニ、何の取り柄も無いようで、向上心と人を思う心はたっぷりです。そしてユックリながら確実に成長していきます。一方のミシェル。どこか余りの自尊心があだになり、身近な人間も救えずに。。。そのあたりの爽やかさが良いですね。

  •  1536年のパリ。新米夜警隊長のドニ・クルパンとその元家庭教師ミシェルは、パリで起こる様々な事件に挑む。
     しかし、ある事件でミシェルが犯人として疑われ、ドニはカルチェラタンの神学生たちとともに、パリの裏にうごめく陰謀に挑むことになる。

     主人公のドニは、他の佐藤作品と違い女性にかなり奥手。そんなドニに事件の指南と共に、女性指南もするのがミシェルです。このミシェルの女癖はかなり悪く、それだけにドニとのデコボココンビぷりが際立ちます。この二人のやり取りが面白いです。

     そして、登場人物たちも豪華です。神学生として登場するのは、フランシスコ・ザビエルやイエスズ会の創立者、グナチオ・デ・ロヨラ、といった実在の有名人も登場させるなど、歴史とフィクションをごちゃまぜとしたエンターテインメントになっています。彼らがドニと共にパリの街を右往左往し、巨大な陰謀に迫る姿もいいです。

     泣き虫かつ女性に奥手のドニが、徐々に成長していき、ザビエルたちと友情を深めていく様子や、ミシェルとの師弟関係、そして、女性に対しても成長していき、そしてそれぞれの岐路を迎える。舞台はヨーロッパで、神学や宗教の話も出てきますが、しっかりとした青春小説になっています。

     佐藤さんらしい女性と性に関する独自の観点にも注目です。ここの切れ味も何というか、相変わらずですね(笑)

  • 凝った枠組みの中で展開される西洋歴史小説。
    パリ観光の経験がある当方からすると、ちょっと聞いたことのある登場人物などへの親近感と相まって何となく身近に感じられる。この辺りは娯楽小説としてのツボを押さえているということ。
    またこの間読んだ『チェーザレ』、そして日本の戦国時代と同じような時代と考えると、日本の思考がいかに狭い場所で蠢いていたか(あるいは現在形のいるか)、本書がおそらく意図しないものであろうが思い知らされる。
    しかしこの作家のポルノチックなエロ描写、少々何とかならんのかと思わなくもない。

  • 小説って面白いなと思う一冊。
    西洋歴史小説なんていう分野があるんだ…という新鮮さを感じる。
    小説の中で神学論争やってるんだ…という好奇心を覚える。
    ザビエルとかカルバンとか有名人もでるんだ…というキャッチーさがある。
    古い書物の回顧録みたいだけど全部創作なんだ…とかっこいいと思う。
    しかもミステリーなのか… って、最後エログロじゃん!
    娯楽小説ってなんでもありで面白いなと教えてもらいました。

  • 2013年89冊目

  • 一五三六年、パリ。ある靴職人が行方不明になった。その事件に着手した新米夜警隊長ドニ・クルパンは、元家庭教師で天才的推理力を持つ神学僧ミシェルに協力を求める。二人が捜査を進めるうちに、やがてパリの闇夜にうごめく巨大な陰謀が明らかに……。宗教改革という時代のうねりの中、セーヌ左岸の学生街「カルチェ・ラタン」を舞台に繰り広げられる冒険と青春群像。西洋歴史小説の傑作。

  • 深淵なるかな。私は、見切ったほうだ。

  • 実在の人物の回想録という形式をとっているが、実は嘘っぱちらしい。この小説のテーマは何だ?探偵もののようであり、宗教を題材にもしてるし、ちょっと、エッチな話もある。何だか楽しい小説である。肩肘張らないで、読む小説である。

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