海を抱く BAD KIDS (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476132

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  •  サーフィンが大好きで、サーフィン以外にイマイチ興味の持てない光秀。
     一方、まじめで成績優秀、生徒会の副会長まで務める優等生の恵理。
     この二人がひょんなことから関係を持つ。

     というのが、主な話のメイン。
     光秀は、まぁ、サーフィン以外に興味がなくて、適度に流されて、適度に彼女もいて、でもやっぱりサーフィンが一番で、毎朝毎晩、波に乗っている。
     一方の恵理は、基本的にはいい子なんだけれど、自分の中の気持ちを持て余していて、それをどうしたらいいのかわからない。
     という感じで、どっちかというと、恵理の抱えている問題の方が大きそう。
     恵理の抱えている問題の一つは、同級生の女の子が好き、ということなんだけれども、もう一つが自分の性欲の問題。
     時々我慢できなくなる恵理は、すっきりさせるために出会ったばかりの男と関係を持って。
     それが自分の思ってたものと全然違っていて、ショックを受けてホテルを出てきたところを、光秀に見つかってしまう、という。
     口止めの対価を理由に光秀と身体の関係を持つけれど、それが思った以上によくて、お互いに止められなくなってしまう。
     という話でした。

     なんというか、光秀と恵理の関係もさておき。
     個人的には、女の性欲って何なのか、を考えさせられたような気がします。
     確かに、恵理が言っているように、女の人には性欲がありません、男の人がしたがるんです、的な文化があるのは事実で(まぁ、今はもう少しそういうのも認められてきたような気がするけど)。
     一般的に恵理みたいな軽率な行動はほめられたもんではないのだけれど。
     なんかなー……とうまく言葉になりません。

     まぁ、難しいですよね。
     久しぶりに思春期女子の割と生々しい葛藤にぶち当たった気がして、ちょっと複雑な気分になりました。
     話としては面白かったですけど、ある程度の年齢を超えると、面白くなくなってしまう本なんだろうなー……と思いました。

  • 描写が本当に綺麗な著者さんです。

  • 青春時代を思い出すような、どことなく懐かしい物語。
    自分は海の近くに住んでいたわけでもないし、サーフィンをしていたわけでもないが、それでも情景が浮かぶ文体は見事だったと思う。

  • 前回読んだ「BADKIDS」の続編。先輩に借りて。
    今回も二人の高校生の男女が語り手。
    厳格な父親と対峙しながらサーフィンに打ち込む光秀と、
    優等生だが性欲の強さに密かな劣等感を抱く恵理。
    前回の隆之、都がそれぞれの友人として出てくる。
    心の描写や、伏線の使い方が巧い。
    個人的に、光秀の父親の頑固っぷりが自分の父親にも感じる所があったので、「お父さん、死なないで」と願う自分がいた。

    恵理は親友であり同性の都に恋をしているのだが、何かその要素はもしかしていらないんじゃないか?とも思った。
    死という大きなテーマと、過剰なまでの性に対する興味、ふたつだけで山盛りなのに、同性愛というテーマまで盛り込まなくても良かったんじゃないかな?と。それに前回の主人公である都も、そこまで大きな存在にしない方がスピンオフストーリーとして面白かった気がする。

    以前読んだ著者の小説も、同性愛者が登場した。
    もしかしたら著者もその気があるのかもしれない、と余計なことまで思った。

  • つながるはずではなかった二人が出会い、暗くて醜い自分に気づかされた時、そんな自分を受け入れてくれるのはあいつしかいなかった。
    体から始まる関係もあるのだと思いました。

  • 前作『BAD KIDS』の同時間軸で展開される物語。

    性描写がディープで逆に興ざめしてしまった。

  • 兎に角、“海”が美しい。

  • 姉が持ってたので読んでみました。青春ってこんな感じ?もうあんまり内容を覚えてない…。

  • とても読みやすく、私は主人公の男の子に感情移入した。

  • 海、トランス、生温い性、で?

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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