神の手 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 319
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476910

作品紹介・あらすじ

文芸誌編集長・三村は、高岡真紀と名乗る女性から投稿原稿を受け取る。その原稿は、突然姿を消したある作家志望の女性が、かつて彼に見せた作品と全く同じであった。「盗作か?」謎を探るため、高岡真紀に面会した三村の前に、驚くべき事実が…。電子出版で大ヒット、話題を呼んだ大型新人のデビュー作・待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 『殺人者』が面白かったので、筆者・望月諒子さんのデビュー作を読んでみた。幼児誘拐事件を追うルポライター・木部美智子が友人のフリージャーナリスト・高岡真紀から話題の小説が盗作である可能性を知る。さらに盗作の裏に、オリジナル作者・来生恭子殺害があるかも?最後100ページぐらいは、あっという間に読破したが、それまではちょっと読みにくかった。

  • 望月諒子のデビュー作品にして、後のライフワーク的キャラクターとなるフリーライター木部美智子シリーズの一作目。
    失踪した作家志望の来生恭子が物語のキー。彼女を担当していた文芸編集者誌の編集長、彼女の書いた小説を自分が書いたとと語る謎の女性、その主治医。そして別な事件を追うフリーライターの木部美智子。
    サスペンスホラーの様相を呈した感もありながらのミステリー。
    複数の登場人物の視点から語られるストーリーは絡まりまくって、どこに向かっているのか見通しが立たず、中々ストーリーに入り辛いし、荒削りな感はある。
    ただ著者の作品の特徴は一度ギヤが入るとそのままラストまでのスピードが落ちないところはこの作品でも味わえた。

  • 小説という「怪物」に呑み込まれてしまった一人の女性と、その燃えたぎるような情熱と夢に魅せられてしまった二人の男性の話 だったと思います

    この作品が木部美智子シリーズの第一作であると同時にデビュー作と知って納得
    文章から火傷しそうなほどの「熱」が伝わってくる作品でした

    「小説を書くとは心の中に怪物を一匹飼うこと。その存在により書き続け、そしてそれに喰い尽くされる。」
    彼女は自らの怪物に喰い尽くされてしまったのかもしれない 次第に精神を病み 現実と妄想の境目がわからなくなっていく
    深淵を覗いてみたい その結果 彼女は何を得て何を失ったのだろうか
    たとえ「神の手」を持っていても情熱と夢だけでは小説家にはなれない 遅かれ早かれ彼女は自滅していただろう もしも何かを生み出す もしくは創り出すことが 心の中に怪物を飼うことなのだとしたら それを上手に飼いならすことこそが 「神の手」を持つ資格なのかもしれない
    (やってみたかったという理由で 殺人の正当化はできないし 最後まで なぜ? という疑問が残る
    なぜ 彼女は 見も知らぬ子どもを誘拐し 殺さなければならなかったのか? 怪物のせいだと? 神の手に唆されたとでも? 神はそんなにも残酷なのか?)

    人は自己崩壊や狂気への憧れから逃れられない
    それこそが「怪物」の正体かもしれない

  •  文芸誌の編集長・三村に奇妙な電話がかかってきた。高岡真紀という女性を知っているか、と。全く覚えのない名だったが、その高岡真紀から小説の原稿が送られてくる。それは過去に三村と交流のあった来生恭子という女性が書いたはずのものだった。驚いた三村は高岡と会うが、現れたのはやはり恭子とは別人。しかし高岡の語る言葉は恭子そのもので……。
     同じ頃、受賞作家の盗作疑惑を追うフリーライター・木部美智子は、違うルートから来生恭子という女性にたどり着く。
     来生恭子と盗作疑惑の行方は……?


     読んでも読んでも終わらない作品だった。悪い意味で。
     下手なわけではないのだが、取り立てて必要の無さそうな描写が多く、読むのに非常に時間がかかる。そのくせ、言葉足らずで理解に時間を要する部分もあったり。
     表現も堅苦しく、夏目漱石の方がよっぽど読みやすい。21世紀にこの文体でエンタメ系デビューが叶ったというのは、少々驚き。
     タネ明かしパートに入ってからはツッコミどころも目について仕方がなかった。

     物語の焦点となる来生恭子を、稀有な才能の持ち主と大半の人物が称賛するが、全く共感できず。
     作中に出てくる恭子の短編小説、「緑色の猿」。幻覚か妄想と思われる緑色の猿……ファニュの「緑茶」? 某シリーズにも「ミドリの猿」ってあったよね?
     既視感が凄くて、これで来生恭子に才能があるとか言われても素直に頷けない。他作品と被らないモチーフを選んでほしかった。

     来生恭子をどう思うかで、この作品の評価が変わるのではないだろうか。彼女に興味を持てれば良いだろうが、私のように「うわ~お近づきになりたくねぇ~」と感じてしまえば、その後のモチベーションが保てないと思う。
     主要登場人物が傲慢というか、他人を表面だけ見て決めつけてくる感じなのも気分が良くなかった。
     『本格ミステリー長編』と書かれているものの、謎解きによるカタルシスも特に無いので、そういうのをお求めなら止めておいた方が。



     ところで、来生恭子の様々なエピソードからは、ある症状が連想された。
     終盤、恭子のある事実が明らかにされるのだが、その時の恭子の反応が完全に予想通り。
     まさに!こういう態度取るんだよねえ……。
     この手の人物に悩まされている方、読まない方が! もうメッチャ腹立ちますわ。イライラMAX。
     その辺のリアリティは十分ある、ということなのか……。

  • TVドラマ化されると知って原作も探して読んで見た。この著者のデビュー作との事であるが、読みにくい小説であった、時系列も分かりにくいし、今誰が喋っているのかも分かりにくい、辻褄が合わない事や放ったらかしの事もある、これは余程しっかりした脚本家でないとドラマにならないかも知れない、だが上手くいけば極上ミステリーになるかもしれない。だがこの作家の次作を読むかと言えば遠慮しときますというレベル。結局ある編集者が作家志望の女性を陵辱したという話でその女性が精神に異常を来たし殺人事件を起こしたと言うありきたりな小説。

  • うーーーーん。

    前回読んだ大絵画展が結構読めたから読んでみたけど。重苦しいミステリで、真剣に肩肘張って頑張って読まないと楽しめないミステリ。

    関係性や、それぞれの思惑を読み解いてめちゃくちゃ楽しめるのかなー?

    なんか眠いなー時間余ったなーなんて空き時間にちょこちょこ読んでる程度じゃ、入り込めない感じ。笑笑

    どーなんだろ?とは思うけど、あれなんでこれこんなんなったんだっけか?まいいや、先進もう。みたいなね。笑笑

    ちゃーんと集中してバババババと読まないと、なんとも繋がりが途切れてね。わたしにはちょっと肩こりました。

    あと、立ち登るようなリアルな情景っていうのがあんまりなかったのと、引き込まれるような筆力もないなぁ。

    2ページくらいであくび。早く終わらないかなぁ。って思うくらいの勢いだった、、、

  • ちょっと読みにくかった、デビュー作らしい。

  • ものすごいものを読んだと思った。オカルトか?と思うような節があるも、あの二人が手を組めばできると予想しつつ、来生恭子と幼児誘拐事件がどう絡むのか、はたまた絡まないのか、どう転ぶのか全然わからない小説だった。読み応えがあった。

  • とにかく読みにくい。
    主観がコロコロ変わるからか?

    小説がテーマだからか、
    自分の文章に陶酔し過ぎでは。
    特に会話パート。
    恭子のディテールに拘り過ぎていて
    途中ストーリー展開が雑な気が。

    うーん。

  • フリーライター木部美智子シリーズの一作目。
    読み友さんからおススメされたシリーズもの。

    電子出版で大ヒット、話題を呼んだ大型新人のデビュー作・待望の文庫化!とのことで期待高まるも、かなり読みにくかった…(^◇^;)

    なんだろう?文学的っぽい感じ?の視点や描写、考察なんかがちょいちょい挟まれて書かれてるからかな〜?

    やっと面白く読み進められたのは3/4程も過ぎた辺りから。
    なかなかに根気を強いられましたが、おススメされたシリーズなので頑張りましたw

    筋立ては面白いと思えたし、シリーズ2作目は連続猟奇殺人事件らしいので、続けていってみたいと思います!w

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。銀行勤務の後、学習塾を経営。デビュー作『神の手』が、電子書籍で異例の大ヒットを記録して話題となる。2011年、『大絵画展』(光文社)で、第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。

「2023年 『最後の記憶 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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