生き方についての343の知恵 行動することが生きることである (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.62
  • (55)
  • (75)
  • (97)
  • (20)
  • (5)
本棚登録 : 886
感想 : 94
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087480870

作品紹介・あらすじ

人生は行動であり、行動が思考を引き出す-。人生の達人が贈る、幸福になるための343の知恵。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1.著者;宇野さんは小説家・随筆家。編集者・着物デザイナー・実業家でもあった。1921年、懸賞小説に「脂粉の顔」が一等当選し、作家デビュー。1936年にファッション雑誌「スタイル」創刊。1980年代から、女性向けの恋愛・幸福・長寿等のエッセイを多く執筆。「おはん」で野間文芸賞・「幸福」で女流文学賞・・等を受賞。多くの著名人との恋愛・結婚歴があり、波乱に富んだ98歳の長寿を全うした。
    2.本書;宇野さんの人生観を、着飾らなく素直な気持ちで語ったエッセイ。8章・45項の構成。「第1章;人生は行動である 第2章;幸福をはりめぐらせて生きる・・・第7章;暮らし上手は生き上手 第8章;人は死ぬまで現役」。最終項で、「老後の心配と言うものは、充実した生活にはない、私は自分がやがては死んで行くと思ったことが一度もない、80歳でもまだまだ生活の途中である」という。強靭な精神力を持った女性だったと思います。
    3.個別感想(心に残った記述を3点に絞り込み、感想と共に記述);
    (1)『“第1章;人生は行動である”の中の、「困難な事には自分の方から進んで這入っていく、すると道は開ける」』より、「或る困難な事態に出会うことがあると、本能的に、その困難を打開してみたい。・・私は、何か困る事があって、それを少しずつ直していくのが好きである。・・人間というものは、一旦覚悟を決めたとなると、どんなことでも出来るものです」
    ●感想⇒宇野さんは前向きで、強い意志の持ち主。羨ましい性格ですね。私事です。祖父は、ある期間、船員で世界を駆け巡っていました。私は子供の頃に、当時の話をよく聞かされました。「航海生活は困難な出来事の連続だった」。先端的な電子機器も少なく、「経験がものをいう生活で大変だった」と述懐していました。祖父に言われました。「困った事、困難な事があっても逃げない事、そうすれば、救いの神が現れるものだ」と。私は、困難な事態に直面した時、逃げずによく考えて行動する事の大切さ学びました。但し、物理的に危害を被るような時には退散という術も身につけなければなりません。どんな時でも、臨機応変に真正面からぶつかる位の気概を持ちたいものです。
    (2)『“第2章;幸福をはりめぐらせて生きる”の中の、「精神を積極的に保つコツ」』より、「謙遜は美徳ではなくて悪徳である。人の持っている良い芽は決して摘み取るものではなく、伸ばすことが大切である。芽は手当て次第でどんどん伸びる。伸びないなどとは、夢にも思ってはならない。伸びる、伸びる、どんどん伸びる」
    ●感想⇒ニュアンスが少し違うかもしれません。万能選手はそれほどいないと思います。人には“強みと弱み”或いは“長所と短所”があります。私は、強み・長所を伸ばせば良いと考えます。弱みの克服は、強みの発揮に比べ難しいと思います。試験を例にとれば、苦手科目は平均点を目指し、得意科目は高得点を狙うのです。私も色々な試験の際、得意科目を重点に勉強しました。まずまずの成果があがりました。偏った勉強を勧めているのではありません。すべての事に精力を注ぐのが理想ですが、例えば、子供に苦手な科目よりも、得意科目を楽しく学ばせるのも良いと考えます。好きこそ物の上手なれ。強みを伸ばせば、自信に繋がるでしょう。但し、弱みの補強は、人並みを目指しましょう。
    (3)『“第8章;人は死ぬまで現役”の中の、「心に張りのある人間はボケない」』より、「心に張りがあると、人間という者は、死ぬまで、ボケるものではありません。私の言う事は、あなたにとっては、少し大袈裟過ぎるかもしれませんが、ボケを防ぐには、たった一つ、この方法があるだけなのです」
    ●感想⇒ボケ防止だけでなく、心に張りがある人は活き活きしています。仕草さや会話に現れます。精神が充実していないと、後ろ向きになり、どんなことも悪く考えがちです。物事に失敗した時など、原因をあれこれ考え、悩み落ち込みます。心に張りがあると、原因よりも次に何をすれば良いかを考え、行動します。顔つきを見ればわかります。心に張りも持つ条件は、まず“健全なる精神は健全なる身体に宿る”です。体の健康に留意し、豊かな心を作る為に、読書等で疑似体験と先人に学び、思考の幅を広げましょう。それが心に張りを作る第一歩だと考えます。
    4.まとめ;宇野さんは、本書で最初に「考える前に、体を動かすこと」と言っています。私は、「行動する前に十分考える事が重要だ」と、教えられました。結果は、考え過ぎて中々行動出来ず、過ちを犯したこともあります。その時の教訓は、時と場合により「思考と行動の順序」を使い分けなければいけないです。まとめです。本書には宇野さんの生き方がギッシリと詰まっています。私達に生きて行動する事の大切さとヒントを与えてくれます。しかし、人間は生を受けてこの方、生い立ちや生活環境が違います。従って、先人の生き方を参考にしつつも、自分流の生き方が最も幸福と思います。暗中模索しながらでも、自分流を構築したいですね。(以上)

    • koshoujiさん
      早速の返信コメントありがとうございます。
      私も宇野さんに負けずに、これからの人生、様々なことにチャレンジしてから死んでいく予定(笑)ですの...
      早速の返信コメントありがとうございます。
      私も宇野さんに負けずに、これからの人生、様々なことにチャレンジしてから死んでいく予定(笑)ですので、YouTuberも頑張ります。(^^)/

      およそ、人間として生まれてきた以上、世界中の美しい風景や絶景、素敵な建築物、芸術などを知らずに死にたくはない。
      と思っております。

      そして、その素晴らしさを私のチャンネルを通して日本中、世界中の方々に知ってもらえる新しいチャンネルにすべく、日本国内の場所やホテルの動画はもうじき公開する予定です。

      ご期待くださいませ。<(_ _)>
      2022/09/24
    • ダイちゃんさん
      コメント有難うございます。コロナで、海外旅行を我慢しています。最近はもっぱらテレビの旅行番組を見て、旅行した気分になっています。行動力に期待...
      コメント有難うございます。コロナで、海外旅行を我慢しています。最近はもっぱらテレビの旅行番組を見て、旅行した気分になっています。行動力に期待。
      2022/09/24
  • 「心の張り」
    「心に張りを持つ」は生きる、生き抜くための秘策である。それには思い立ったらまず行動すること。そこであったことに熱中できるほど好奇心を抱くことだ。心が健康であれば身体も健康である、まさに自分に暗示をかける生き方が素晴らしいもの、ことを作り出すと言うことだろう。

  • 宇野千代(1897~1996年)氏は、山口県玖珂郡横山村(現・岩国市)の酒造家に生まれ、岩国高等女学校(現・県立岩国高校)卒の小説家、随筆家、着物デザイナー、実業家。野間文芸賞、日本芸術院賞、菊池寛賞等を受賞。勲二等瑞宝章受章。文化功労者。作家の尾崎士郎、梶井基次郎、画家の東郷青児、北原武夫など、多くの著名人との恋愛・結婚遍歴を持ち、その波乱に富んだ生涯は、様々な作品の中で描かれているが、中でも『生きていく私』(1983年)は自伝的小説として有名。
    本書は、著者の様々な作品等から、「生き方についての知恵」に関する文章を集めたもので、1988年に出版、1993年に文庫化された。
    私は、著者については、大正、昭和、平成にかけて活躍し、女性の社会的活躍の先駆けともなった人として認識しており、今般新古書店で偶々本書を目にして、どんなポリシーで生きた人なのかを知りたくて読んでみた。
    沢山のセンテンスが目に留まったが、例えば以下である。
    ◆人生は行動である・・・「人間の考えることは、その人の行動によって引き出されることが多い」、「あの時は思わずそうした、考える隙間がなかった、と思うほど速い、速力のある行動ほど、「生きていた」という感覚が強い」、「感動は行動に結びつき、人生を愉しくする」、「そうだと思い込んだことは、その通りになるものである」、「人間のすることは、自然に同じことの繰り返しになる。そう言う風になりたくないと思っても、なりたくないという拘泥が、かえって事態をなりたくない方へ持っていくからだ」、「自信のない人間は、褒められた事項に対しても、また新しい不安を持つ」、「人生で一番面白いのは、事実では真っ赤な噓であったことが、心理的にはほんとうであった、そう言うことがあり得ると言うこと」、「忘れることが新しい道へ踏み出す一歩である」
    ◆幸福をはりめぐらせて生きる・・・「幸福というものは客観的判断にあらずして、主観の断定にある」、「私たちは何よりも、生活の中から、希望を発見することが肝要である。希望を発見することの上手な人は、生活の上手な人である」、「自信は成功の鍵である」、「自慢は自分を救う最上の方法である」
    ◆人と人を結ぶものは善意である・・・「褒めること、喜ばせることが人間関係の基本である」、「好意を受けたものは好意で返す」
    ◆健康は心がつくる・・・「自然な気持ちで、つまり、平常心をもって生活していさえすれば、ほんとうに長生きをすることが出来る」、「好い話は会う人ごとに自慢する。・・・つまり、自分の言葉で、繰り返し自分に暗示を与えるのである。この、繰り返される暗示くらい、魔法のような力を持つものはない」
    ◆暮らし上手は生き上手・・・「お洒落をする、或いは気持ちよく身じまいをすることは、生きて行く上の、生き甲斐でもある」
    ◆人生は死ぬまで現役・・・「どんなに大変なことでも、それが愉しいと感じられるときは、人は疲れないものです。成功感を持てたときも同様です」、「好いものだけを見分ける眼の訓練を、自分のものにしたかったら、好いものだけしか、見ないようにすることである」、「心に張りがあると、人間というものは、死ぬまで、ボケるものではありません」、「人生は死ぬまで現役である、老後の存在する隙はない」
    読み終えて、まず、宇野千代はこうした生き方をする類稀な才能を持っていたのだと強く感じたし、宇野さんのような生き方が全ての人に望まれるとは思わないのだが、どちらかと言えば慎重で自制的になりがちな日本人にとっては、刺激的で、色々な場面で背中を押してくれるようなセンテンスが多かった。
    宇野さんは、ある意味非常に女性的に生きた人とも言えるので、(年齢を問わず)女性が読む方がより心に響くと思われるが、私のような50を過ぎた男性が読んでも元気が出る一冊である。
    (2023年2月了)

  • "人生とは凡て言葉の暗示である"
    自分自身に暗示をかけて、こうでありたいと思う方へ進む。
    愉しくないこと、辛かったことは自分を夢中にさせることをたくさん考えきれいさっぱりと忘れる。

    "謙遜は美徳ではなくて悪徳である"
    自分の言葉が自分の耳に反射して、本当に自分は駄目だと思ってしまう。

    "人間は心配すると心配した通りになる"
    心配してびくびくしていると、自分で自分の心にわるい暗示をかけてしまっている。

    "上手になると言うのは続けてすることだ"
    嫌いなこと、苦手なことでも辛抱してやり続けるとだんだん面白くなる。

    いくつになっても愉しいこと、したいこと、出来ることを考え、行動する。宇野さんの生き方、素敵です。
    私も見習ってまずは『自己暗示』やってみよう…


  • 読書録「行動することが生きることである」3

    著者 宇野千代
    出版 集英社

    p202より引用
    “どんなに小さなことでも、飽きることなく、仕事として続けて
    いる間には、そのことが自分の体に定着して、本当の仕事として、
    働けるようになるものである。”

     目次から抜粋引用
    “人生は行動である
     幸福をはりめぐらせて生きる
     人と人を結ぶものは善意である
     愛は誰のためのものか”

     近現代の代表的女性文学者である著者による、人生の過ごし方
    についてのアドバイス集。
     行動と思考についてから心の張りとボケについてまで、90年以
    上生きられた著者の豊富な人生経験を元に書かれています。

     上記の引用は、上手になることと続けることについて書かれた
    項での一文。若いうちに色々な事を試して自分を探すというのも
    良い生き方かもしれませんが、一つのことをひたすら続けるとい
    うのもまた良い生き方なのではないでしょうか。
     著者の生年は1897年とのこと、生きた時代は全く違いますが、
    今より不便な時代を生き抜いた方の言葉故に、重みを感じざるを
    得ません。

    ーーーーー

  • 悪くはないんだけど、なんか違う気がする...私には。

  • 2023.08.26 朝活読書サロンで紹介を受ける。
    男遍歴。困難なほうを選ぶ。

  • 110828*読了

    初の宇野千代さん本!
    とっても愛らしく、かわいく、そしてアグレッシブなおばあちゃん。
    長生きされていたようですが、もうお亡くなりになっていて、会えないということがとてもさみしいです。
    でも、こうして数々の人生の教訓を本にして残してくれているので、わたしは宇野千代さんの恩恵を受けることができています。
    やっぱり本ってすばらしい!

  • とても真似できない。
    けれど、何かヒントが見つかるかもしれない。

    そんな本です。

  • これはいつも以上に時間をかけてじっくり丁寧に読みました。

    潔く力強い。
    年齢からは考えられないほどチャーミングで全てに前向き。
    おまけに嫌味がない!

    こういう生き方って素敵です。
    読むだけでスッキリします。

全94件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

宇野千代
明治三十年(一八九七)、山口県に生まれ岩国高等女学校卒業後、単身上京。自活のため、記者、筆耕、店員など職を転々とし、芥川龍之介はじめ多くの作家に出会い、文学の道へ。昭和三十二年(一九五七)『おはん』により女流文学者賞、野間文芸賞。四十七年、芸術院賞受賞。平成二年(一九九〇)文化功労者に選ばれた。八年(一九九六)死去。ほかの主な著書に、『色ざんげ』『生きて行く私』『宇野千代全集』(全十二巻)など。

「2023年 『九十歳、イキのいい毎日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宇野千代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×