- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087480948
作品紹介・あらすじ
建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び起こすが…。一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。柴田錬三郎賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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北畠顕家の骨太の生涯を描いた小説。戦国時代の大谷刑部と重ねながら読んだ記憶がある。初期の北方はレイモンドチャンドラーの真似のような甘い言葉の羅列で読むのがきびしかったが、歴史小説を手がけて開花した感があった。大好きな小説。
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北方が歴史小説に転身した割合初期の作品。それまでお得意にしてたハードボイルドが時代に合わず、リァリティが失われるのを、人間として芯の通ったカッコイイ男を描くためにこの分野に転身したのだろう。
その試みは作品の中では見事に成功し、熱い気持ちが滾らされる。顕家もそれを取り巻く主従も、仇方の斯波家長、上杉も見事にかっこいい。ただ、歴史的事実としては、顕家は10代後半、家長は二つ年下。年齢を考えると、思考回路があまりに老成しており、途端に現実味が薄れるのが弱点か。 -
個人的に室町時代の歴史小説は敬遠しがちですが、これは面白かった。室町時代は鎌倉幕府倒幕からずっとダメだったんだなぁ。ある意味、江戸幕府や明治政府をつくった人たちはこの時代を反面教師にしたのでは。
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某有名な作家さんがYouTubeのゲストで出演していた時にお薦めしていたので、読んでみたら面白い顕家が凄くカッコいい⁉️この歴史小説お薦めです
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歴史上最強と謳われた公家、北畠顕家の短い生涯を北方謙三の硬派な筆致で描いた作品。全くの無知な南北朝時代だったため世界観が分からなくて最初は苦労もしたが、1度目の足利尊氏討伐のために京へ上る場面からはめっぽう面白くなった。戦国時代以上に何のために戦うのか?というのが問われる時代に無能な朝廷のために戦う姿はカッコよさがありつつも読んでいて寂しく辛くなる。彼の能力があれば陸奥の夢もかなえることが出来たかもしれないのだが「大義」がそれを許さなかったのだろう。まさに「一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子」だった。
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舞台は北条家の鎌倉幕府が滅び、後醍醐天皇による建武の新政の時代。16歳で陸奥守(むつのかみ)となり、奥州の統治をまかされた北畠顕家は次第に台頭してくる武門の棟梁足利尊氏との戦いを予感する。。。。
鮮烈でさわやかな読後感をもたらす歴史巨編。
歴史小説特有のもっさい文体がなく、現代小説のように読みやすい。北方謙三の歴史ものに興味を持っていたら入門には良いかもと思う。しかもこの著作1993年初版発行とは思えないほどに古さを感じない。この時代に興味なくても十分楽しめると思う。 -
若き天才の一生は星の瞬きが如く強く輝きどこか儚い。この星が強く永く瞬いていたら日本の歴史は変わっていたんじゃないかと思わせる、北畠顕家とはそんな漢だと感じます。
足利尊氏、楠木正成、北畠顕家、違う立場違う人生のおとこ達が見据える夢のかたちは一緒には為し得なかったのだろうか。
そう考えさせられる北方謙三が描く浪漫が詰まった一冊。
あっぱれ。 -
読めば君も”北畠顕家”推しになること間違いなし!一般的に複雑でとっつきづらいとされる南北朝時代の世界にハマるためのゲートウェイドラッグともいうべき快作。楠木正成や新田義貞のような時代を代表するスターも多数登場するため一冊で満足度は高い。
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内容覚えてない
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ほんの少年であった頃に鎮守府大将軍として奥陸奥に下向して以来、無敵の強さを誇った北畠顕家の生涯です。本当に強く、敵に恐れられた将だったのが分かります。
本領安堵という実利をもって勢力を拡大する足利尊氏に対して、親政の旗印という理念で戦うのは分が悪かった、といった背景もよくわかりました。にもかかわらず、知力を尽くして勝利を重ねる顕家の姿が、さわやかな一陣の風のように描かれています。