生物としての静物 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087481297

作品紹介・あらすじ

亜熱帯の戦場で、氷雨の原野で、深夜の書斎で、一本の指となり、創造の起爆剤ともなるライター、パイプ、万年筆、ジーンズ、帽子…。時間と空間と、生と死の諸相の中を旅する作家。そしてそこにはいつも、物言わぬ同行者(小物たち)があった。死物を生物に変える日々の回想。

感想・レビュー・書評

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  • 開高先生、愛用の品を語る…という事で道具エッセイ。
    生物としての道具。人間の傍に寄り添い仕え、ある時ぷいと居なくなったり命尽きて壊れてしまう道具達。
    タバコやパイプなんかは一切吸わないけれど、ウイークリーパイプ(種類の違う7本のパイプセット)なんか見たら確かに欲しくなるよな…と思ったり、何故か他は壊れたり無くすものはあってもしぶとく残る物が居る…等共感もあり

    異国で譲り受けた、厄除けのお守り。傍から見ればただの木片だが、嫌な事があったりすると触る。そうして祖父の代から色んな厄を身代わりに背負い続け、持ち主を守って飴色の輝きを帯びた木片の美しさを想像する

  • 「節煙はできても禁煙は絶対にできない」

  • 自分とは全く違う世界に住んでいる人のエッセイ。酒、煙草、釣り、万年筆とか。こういう趣味が男らしいとされているんだろうと思いながら読んでた。

  • 文体は好きなんだけど、どれもあまり刺さらなかったな。

  • 物を愛するとはこういうことかってなる。男の魅力が詰まった一冊。素敵な中年になりたい人は是非。

  • 開高健の文章は、上手である(と言うこと自体がおこがましいのだけれども)うえに、文体も内容も題材も、そして開高健自身のそれに対する考え方みたいなものも独特で飽きることがない。

  • 「長い旅を続けて来た。
    時間と空間と、生と死の諸相の中を。
    そしてそこにはいつも、
    物言わぬ小さな同行者があった」‐前文より‐
    タバコ、ライター、万年筆、帽子、・・。
    著者と旅を共にした小物たちを通して語られる人、食、生。
    気さくで、深くて、面白く、ページをめくるのが惜しいと思った24のエッセイ。

  • 開高健の、いつも傍にいる小道具たちにまつわるエッセイ。物言わぬ静物たち(それは一つのオイルライターだったり、使いなれたパイプであったり、スパイスの効いたジャーキーであったりする)が、たしかに自分の生活を形作ってきたことを気持ちよく語っています。それは、自分の中のほんのちょっとのこだわりであり、ライフスタイルなのかもしれません。

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著者プロフィール

開高 健(かいこう・たけし):1930年大阪に生まれる。大阪市立大を卒業後、洋酒会社宣伝部で時代の動向を的確にとらえた数々のコピーをつくる。かたわら創作を始め、「パニック」で注目を浴び、「裸の王様」で芥川賞受賞。ほかに「日本三文オペラ」「ロビンソンの末裔」など。ベトナムの戦場や、中国、東欧を精力的にルポ、行動する作家として知られた。1989年逝去。

「2024年 『新しい天体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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