無伴奏 (集英社文庫)

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著者 : 小池真理子
  • 集英社 (1994年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087482126

無伴奏 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 小説自体は25年くらい前のもので、舞台は1960年代後半の仙台。学園紛争やデモなどが激しかった時代の、ひとつの恋とミステリー。
    高校生の響子と大学生の渉。そして渉の親友の祐之介と恋人のエマ。四人の想いが交錯して、ある事件が起きる。

    小池真理子さんの小説を読むのは思えば初めてで、どうして今まで手に取らなかったのか自分でも不思議。
    全編通して美しい。人間の醜さが表れる場面もあるのに、なぜか穢れを感じない。始めに事件を予感させる描写があり進んでいくせいもあるのか、常に死の匂いが漂っていて、どこか物悲しい。

    勝ち気な高校生・響子と暗い過去を背負った大学生・渉の恋と一時の出来事を、二十数年後の響子が振り返る形で描かれていて、結果を知ったあとに過去について語る形式だから悲運を予感させる言葉がそこかしこに散りばめられてあるのに、それが何であるのか全く予想がつかなかった。そしてその事件は、個人的には想像もしなかったものだった。
    背徳的、というのか。
    最後の三分の一はとくに、先が気になって一気に読んだ。

    映像化、向いてるかもしれない。
    映画を観るつもりはあまりなかったけど、ちょっと気になり始めている。

    ミステリの感想は難しいからそこそこに。笑
    また読みたい作家さんが増えちゃったなぁ…と、嬉しい悲鳴。
    無伴奏というタイトルなのに、しっとりしてて哀しい曲がバックでずっと流れているような物語。「悲愴」を流しながら読みたい。

  • 小池さんの文章は、60年代にはまるのかも。現代が舞台で、携帯でメールがどうの…っていうのが何だかしっくりこない。手紙、とか自宅の電話、とかが良いですね。今よりずっと情緒に溢れていて、考えたり、想像する余地がある気がします。とはいえ、学園紛争とか集会とかっていうのは、全くピンとこなくて読んでいて疎外感を感じるので、その辺りのお話を読むのはそんなに好きではないのですが、メインの恋愛部分で渉の煮え切らない態度が不可思議で先が気になってどんどん読みました。ラストが切ない。小池さんには珍しく、『現代』→『過去』→『現代』という構造が新鮮で良かった。 【2009年5月9日】

  • 小池真理子さんの作品を読むのは、「愛するということ」「望みは何と訊かれたら」「恋」に続いて4作目。
    ああ、これも面白い。
    またもアノ時代なのです(というかこれは「恋」の前に書かれた作品で、「恋」につながっていく作品ということなのですね)。
    60年代後半。デモ、学生運動、ストーンズ、バッハ、ビージーズ、煙草、コーヒー、喫茶店。音楽は他にも色々。ラフマニノフとかも。
    チャイコフスキーも出てきます。チャイコフスキーは男色で「悲愴」はその悲しみを込めて作られたのだとか。
    「無伴奏」という喫茶店は本当に仙台にあったクラシック喫茶だそう。
    阿佐ヶ谷の「ヴィオロン」を思い出してしまった。筆談するところとか。
    小川洋子さんは「メロディアスライブラリー」で、「カノン」と書いた文字が滲んだところが、この先の展開を暗示させるとおっしゃっていました。

    舞台は仙台。主人公の野間響子は、小池さん自身あとがきで書いているように、小池さん自身がモデルです。

    渉と響子、裕之介とエマ。
    渉を愛し始めた響子。しかし渉には大きな秘密があった……
    「恋」で兄と妹という禁断の関係が描かれていましたが、この作品では男同士の愛が描かれています(といってもそれほど詳細に愛し合う様子が描かれるわけではない)。

    この先に何かが起こるぞ、何かあるぞ、と思わせる部分が、もっとも読み応えのある小説。滲んだ文字といい、不吉な予兆?が随所にちりばめられているのですね。

    いざ、隠されていた事実が明らかになってからは、ああやっぱり…と思わされます。読めました。この関係は。

    こんなに壮絶な経験を経ながら、普通に結婚して日常を営んでいる主人公……というのは「望みは何と…」もそうだし、「恋」もそうだなあ。

    小池文学はホント読み始めると止まらない。

  • 響子の心から渉やエマや無伴奏で過ごした若かった日々は決して一生消えないだろう。しかし、20年経った後、無伴奏もなくなり町も変わり、祐之助も勢津子も新しい人生を歩み始めている・・・。そんな中、響子は一人十字架を心に背負いつつ生きていくのだろう。衝撃的なお話。「恋」とはまた違う、心を揺さぶられるものがある作品。(08年4月20−21日)

  • とても好きで、何度も読んでいるのに、いつも読み始めると呼吸が浅くなってしまう。あのシーンにたどり着くと、胸が締め付けられる。そして渉の手紙で泣いてしまう。
    この時代には生まれていないし、知らないのに、とても鮮やかに情景が見えるのは、やっぱり真理子さんの書く文書のが繊細だからだと思う。
    ここ数年の作品は好きになれないけれど、「恋」三部作は大好きです。

  • こんなにも胸が苦しくなる小説は久しぶりに読んだ。
    映画化され、そのCMでキャストと内容に興味を持ち、まずは原作と思って手に取った初めての小池真理子。
    一つひとつの文章が美しく、心理描写が丁寧で読んでいるとするっと響子に入り込める感覚が気持ちよかった。
    だからこそ、あの衝撃を響子と同じように感じることが出来たのだと思う。
    何となく予感はしていたが、あのようにまざまざと見せつけられるとは。響子の悪魔がここまで影響を与えるとは。
    これはただただ単純に愛の物語だと思う。混沌に溢れた世間で、2組の20歳そこそこのカップルが真剣に愛し合い、憎しみ合い、考えた物語だ。だから、この結末はあまりにも苦しく、美しい。
    自分はここまで、ひとりの人のことを将来愛せるのだろうか。

  • 私は、「心に重石をのせるような作品は必ず作者の経験がたっぷり含まれている」、と考えています。今回もそうでした。60年代なんて、わたしの親世代すら生まれていないような時代です。でも、それが目の前で息をしているかのように広がってきました。作者がその街で本当に息をしていたから、灰色の空を見ていたから、わたしもその街で息をしているかのように感じることができるのです。なんだか頬の横を仙台の風が通り過ぎていったみたいでした。

  • 擦れてるけど真っ直ぐな響子はとても魅力的でした。ありがちと言えばありがちですが、自分が不良であることに対して一種の諦めを持っているというか、どこか冷めた視点があるところが好感持てます。ああ育ちが良くて頭の良い子なんだなぁという感じ。小説における不良の描き方ってちょっと感傷的な面が強調されているというか、端的に言えば美化されているというか…そういうところが好きなのでむしろ大歓迎なのですが。
    その一方で、渉はあまり好きになれませんでしたね。中身が全然ない気がしました。現代のサブカル女子とか、こういう男性好きじゃないですか?みんなの流行には興味ない、物腰柔らかだけど掴み所が無くって飄々としてて、まあ文学も音楽もそれなりに嗜みますけどね~~みたいな量産型無気力系男子。終盤はもう、量産型無気力系男子がちょっとこじらせて量産型メンヘラ男子に進化しました、乙!どうせなら祐之介の方が清々しくて良いのでは、と思いました。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    学園紛争、デモ、フォーク反戦集会。1960年代、杜の都・仙台。荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店で出会い、恋に落ちた野間響子・17歳と堂本渉・21歳。多感で不良っぽい女子高生と男からも女からも愛されるような不思議な雰囲気の大学生の危険で美しい恋。激しい恋をひっそりと見守る渉の特別な友人、関裕之介。三人の微妙な関係が引き起こす忌まわしい事件はやがて20年後の愛も引き裂いていく。

    【キーワード】
    文庫・恋愛・映画化

    【映像化情報】
    2016年3月26日映画化
    出演:成海璃子・池松壮亮・斎藤工 他


    ++1

  • 映画化されると知り手に取った一冊。
    久しぶりの小池真理子さん。

    体験していない時代だけども、その焦燥的な時代背景や、登場人物たちそれぞれの想い、ファッション、煙草の煙や、レコードの音までも匂いたつような雰囲気にどっぷりと浸れました。

    いつの時代でも変わらないであろう恋愛での苦しみや妬み嫉妬、恋焦がれ翳りある愛もただただ切なく美しく感じました。
    映像化されるのが楽しみ。

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無伴奏 (集英社文庫)の作品紹介

学園紛争、デモ、フォーク反戦集会。1960年代、杜の都・仙台。荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店で出会い、恋に落ちた野間響子・17歳と堂本渉・21歳。多感で不良っぽい女子高生と男からも女からも愛されるような不思議な雰囲気の大学生の危険で美しい恋。激しい恋をひっそりと見守る渉の特別な友人、関裕之介。三人の微妙な関係が引き起こす忌まわしい事件はやがて20年後の愛も引き裂いていく。

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